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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120308-00000001-jct-soci
大阪市役所における違法組合活動・政治行為などに関して、2012年3月1日、第3者調査チーム(代表:野村修也弁護士)は中間報告を橋下徹大阪市長に提出した。
この調査について、マスコミでは、全職員へのアンケート調査やメール調査など、調査手法の問題ばかりが取り上げられ、本人らの事前了承などがなかったことを理由として不当なアンケート調査とか基本的人権の侵害と報道されていた。
■調査チーム報告書にみる「ここまで酷い」実態
この程度の話で、なぜ人権侵害になるのか、さっぱりわからなかったが、中間報告書を見て、なるほどと思った。報告書の通りとすれば、ここまで酷いことが大阪市で行われていたので、調査せざるを得なかったのだ。その調査をなんとしても阻む必要があったともいえる。なお、報告書は、「大阪プレスクラブ」サイトにでている。
そこには、ヤミ便宜供与、実質的ヤミ専従、違法な政治活動、人事介入、規則に違反する疑いのある随意契約、区役所と地域団体の不透明な関係、頻発する不祥事と、大阪市役所で発覚した違法行為等について驚くべき実態が明らかになっている。
例えば、現業職の採用における口利きとして、環境局では「採用面接の際に利用する申込書(履歴書)に、市会議員・組合役員・人事部局幹部などの名前が記載されていたことを示す痕跡が多数見つかった。消しゴムで消されているが、大部分は役職と氏名の判読が可能である」とされ、交通局で「採用時の履歴書に、組合役員の連絡先を記載した紙が挟まれていた」とされている。
■地方公務員の政治活動、規制強化が必要だ
こうした無法状態がこれまで放置されてきたのは、職員の政治活動が最大の要因だ。中間報告では、地方公務員法36条で禁止されている政治活動が疑われる事象として、市の管理職職員が、「勤務時間中に、選挙対策を打ち合わせるために、市役所の公用メールを発信している事実」や「勤務時間中に、市長の選挙運動のために、市役所の公用メールを用いて、市長と国会議員との面談を調整していた事実」が見つかったとしている。
大阪市では採用後に入れ墨をして児童を脅していた職員がいたり、勤務中の不適切な喫煙が横行したりしているが、ヤミ専従などの地方公務員の無法ぶりは、決して大阪に特有の問題ではない。全国の多くの自治体において、公務員労組や役所ぐるみの選挙で当選した首長は無数に存在する。程度の差こそあれ、不健全な組織運営の問題が生じている。
地方公務員労働組合が選挙において強力なマシーンとなり、また、2期目以降は、市役所が組織ぐるみで現職市長を支持する。こうして、組合と組織に支持されて当選した市長は、組織内では部下・使用者である組合との関係で、厳しく対峙できない。市長、市役所幹部、労働組合が、いわば利益共同体化し、組織としてのガバナンスが失われる。すると、ヤミ専従などの問題がおきても、ゆるい対策ばかりで抜本的な解決にはならない。
地方公務員の政治活動に対する規制の強化が必要だ。地方公務員の政治活動規制は、地方公務員法上、国家公務員よりも緩く定められ、刑事罰はつかず、現業職員は規制対象外とされている。こんな生ぬるい法律を放置していたら、本当の地方分権なんてできない。橋下市長には大阪市の膿をすっきり出し、その活動を全国にひろげてもらいたい。
++ 高橋洋一プロフィール高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2005年から総務大臣補佐官、06年からは内閣参事官(総理補佐官補)も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「財投改革の経済学」(東洋経済新報社)、「さらば財務省!」(講談社)など。
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