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民主党政権に大疑獄の噂 今、復興利権の奪い合いをする時なのか
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2012/3/7 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
復興予算4次までで20兆円も金があるのになぜ遅々としてカネが出ないのか、復興交付金はなぜ削られるのか、規律なき集団だから何をやっているか不明だ
東日本大震災からもうすぐ1年が経つ。本来ならば、被災3県のあちこちで復興の槌音が響き渡り、ブルドーザーがうなりをあげているところだ。復興需要が経済を押し上げ、被災者にも希望が見えてくる。こうならなければいけないのに、現実はひどいものだ。
ガレキ処理は2月末時点で、岩手県が8%、宮城県が5%。これしか最終処理が済んでいないのだ。1ケタ台とは唖然とするが、それでも2県はガレキをどけただけまだマシだ。放射能汚染にさらされた福島県では35万トンのガレキが手付かずで放置されている。どけるにしても行き場がないからだ。中間貯蔵施設もできていない。
今なお、仮設住宅で暮らす人は11万人。アパートや公営住宅などの「みなし仮設」に住む人は15万人。震災で損壊した防潮堤は3県で約190キロに及ぶが、今年度中に復旧工事が始まるのは18キロにとどまる。「なんだこりゃ?」という数字ばかりではないか。
震災から1年も経っているのに、なぜ、こんな惨状が続いているのか。実はカネが全然、回っていないのだ。
民主党政権は4回の補正予算を組んだ。1、2次補正で6・7兆円、3次補正で9兆円。2・5兆円の4次補正にも被災者の二重ローン対策など、復旧復興関連が盛り込まれた。今後も含めると、20兆円以上の金が復興につぎ込まれるのだが、こうした予算があろうことか、てんで執行されていないのである。
◆復興庁のフレコミはすべてが大ウソ
「1、2次補正は去年の7月に成立した。ところが、年末になっても復興のために使われた予算は2・7兆円程度で、40%くらいだった。そのうち道路や公営住宅の建設などのインフラ公共事業には1・4兆円の予算が組まれたが、執行されたのは2100億円だけ。執行率はたった15%です。被災者向けの公営復興住宅やダムの修理などに使われた予算はゼロでした」(関係者)
目をこすりたくなるような現実だが、驚くのは早かった。民主党政権は今年2月、鳴り物入りで復興庁をスタートさせた。復興のための省庁横断組織である。ここが1・9兆円の「復興交付金」を配る。自治体の負担ゼロ、しかも、自治体のやりたい事業に「ワンストップ」でカネをつける。そうやって、地域主体の復興事業をスピーディーに進めていく。そんな触れ込みだったが、大ウソだった。
カネを出し惜しみ、「不要不急の事業は削る」(平野復興相)と圧力をかけて、自治体からの申請を絞らせ、それもエラソーにばっさばっさと切り捨てた。結局、1回目の交付が決まったのは3053億円。ナント全体の6分の1である。これには各自治体の怒ったこと。
陸前高田市の戸羽太市長は「われわれに不要不急の事業などない」とカンカンだったし、宮城県の村井嘉浩知事は「復興庁ではなく査定庁だ。4月から一気に復旧復興に進もうとしているのに、国が後ろから袖を引っ張っている」と切り捨てた。
それなのに、消費税引き上げしか頭にない野田は、「予算の執行が十分進んでいないところもある」と他人事なのである。これじゃあ、被災地は踏んだり蹴ったり。復旧復興は永遠に進まないことになる。
◆中央省庁の官僚は復興予算で焼け太りしている
それにしても、民主党政権のお粗末、能天気はもはや犯罪的ではないか。大新聞は復興が遅れていることについて「自治体の職員不足」とかイロイロ書いているが、全然違うのではないか。
国民だって、被災地のために増税を受け入れたのである。あとは自治体に任せればいい。そんな簡単なことができないのは、そこに怪しげな思惑があるからだろう。何でもかんでも仕切ろうとする中央省庁の官僚たちとその利権。それに連なる政治家たちの思惑。そんなものがチラチラする。被災地を取材しているジャーナリストの鈴木哲夫氏はこう言った。
「放射能の除染が進まない福島では、農民たちが農地に屋根をつけるハウス栽培を思い立ち、隣に加工工場を造る計画を立てて、復興交付金を申請しようとした。ところが、復興交付金がつくのは国交、文科、厚労など5省庁が仕切る40事業と決まっている。加工工場は経産省マターで5省庁に入っていない。『交付金が欲しければ工場のプランを外せと言われた』というのです。こんなバカなことがまかり通っているのですよ。しかも、復興庁がウンといっても、最後は財務省が出てきて査定する。これじゃあ、これまでの予算とどこが違うのか。金額が増えた分、財務省を筆頭に中央省庁の官僚の権限が拡大し、彼らは焼け太りしたことになる。中越地震のときには、国がカネを出して基金を組んだ。使い道は官僚ではなく、民間の有識者が決めた。今度もそうしたプランがあったが財務省が潰した。自分たちの出番がなくなるのは困るからです」
こんな連中が権限をかさに着て、復興を遅らせているのである。その財務省について、ある民主党議員はこんなことを言っていた。
「彼らは巧みだ。知らない間に自分の選挙区に有利な予算をつけて“やっときましたよ”などと言う」
予算をつけてもらった議員は地元で感謝される。選挙ではこういうことが効く。一方で、財務省には頭が上がらなくなってしまう。こんなことが多くの民主党議員の地元で行われている。なにしろ、20兆円の復興予算なのである。
◆原子力ムラのゼネコンが潤う除染事業の怪しさ
そういえば、小沢一郎・元民主党代表は本紙のインタビューでこんなことを言っていた。
「(復旧復興は)地方にカネを渡して、好きなように道路や橋、堤防を造ってくれと言えばいい。ところが、依然として、中央省庁が被災状況を査定して、霞が関に持ち帰り、紋切り型の事業にばかり予算をつけている。中央が補助金を渡すシステムだと、地方の大きな事業は中央の大手企業がとってしまうんです。仮設住宅にしても、大手プレハブメーカーが受注して、東京から人を送って造った。これでは地方経済に役立たない」
中央省庁が予算をつけて、いつのまにか大手企業が受注する。自民党政治を髣(ほう)髴(ふつ)とさせるような政官財の大癒着が今なお、横行しているということだ。放射能の除染の現場はもっと露骨だ。
「昨年9月、内閣府は日本原子力研究開発機構に『避難区域等における除染実証業務』を101億円で丸投げしました。機構はこの仕事を大手ゼネコン3社の共同企業体に81億円で発注した。この3社は原発関連事業を受注しているだけでなく、機構に大量の出向者を出していてズブズブの関係。しかも、公募期間がたった15日間しかなく、事前に準備をしていなかった他のゼネコンは応募を断念せざるを得なかった。除染の内容を決めているのは原子力ムラの関係者である原子力安全委員会。発注も原子力ムラの原子力研究開発機構。潤うのは、これまた原子力ムラの住人である関係ゼネコンという構図が出来上がっているのです」(ジャーナリスト・横田一氏)
復旧復興というと聞こえはいいが、舞台裏はかくも怪しげなのである(7ページに関連記事)。
さて、民主党にはさまざまな議員がいる。自民党からの鞍替え組もいれば、カネで苦労してきた労組出身組やヌエのごとく政界を泳ぎ回ってきた旧民社系もいる。彼らがこぞって直面しているのは、次の選挙での落選危機だ。そういう議員が巨額の復興予算を目の前にした時に、どう動くものか。民主党議員が自民党議員のようなことはしないという保証はないし、中央が仕切ろうとするあまり、まったく進まない復興事業を見ていると、やっぱり、腐臭が立ち込めてくるのである。
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