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http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/120304/cpb1203041718000-n1.htm
AIJ投資顧問が年金資産約2千億円を消失させた背景には、運用を委託した企業年金側の役員・職員の大半が、資産運用をした経験のない「アマチュア」だったという現実がある。旧社会保険庁から基金に天下りした運用担当者も同様で、役所時代の人脈を生かした情報交換は行ったものの、運用先の危険性を見抜く「監視役」としては機能しなかった。
今回の問題では、AIJとコンサル契約を結んでいた旧厚生省と旧社保庁のOBの男性(74)が仲介役となって旧社保庁の職員が再就職している企業年金などにAIJの情報が伝わり、同社の顧客拡大に大きな役割を果たした。
厚労省などによると、株価低迷など厳しい運用環境を受けて積立金不足に苦しむ全国の企業年金は、役員や職員に資産運用の経験がないケースが半数以上を占めている。特に同業種や地域の中小企業でつくる「総合型」では、「専門家を雇う余裕もなく、よりその傾向が顕著」だという。
こうした企業年金が頼りにするのが、本来は年金の専門家といえる旧社保庁からの天下り役員らだ。
ただ、必ずしも天下り職員らが専門知識を持っているとはいえないようだ。厚労省によると、旧社保庁などを退職し、年金基金に再就職する際には企業年金連合会(東京)で研修を受けるが、「医療保険など現役時代は畑違いの部署におり、専門知識が不十分な再就職者も多い」。そもそも年金を知っていても金融知識がないと、運用先を選別できないという根本的な問題もある。関係者は「旧社保庁から再就職したなら、素人ではないと考えられるが、ちょっとだけならまだしも(特定の投資顧問会社に資金の)30%も預けてしまうのはおかしい」と運用方法に疑問を呈する。
AIJとコンサル契約を結んでいたOBと一時期顧問契約を結び、AIJに資産運用を委託していた中部地方のある企業年金の担当者は「素人集団だけに、OBのコンサルタントの言うことは信用してしまう部分があった」と打ち明ける。
社会情勢に照らせば異例の高利回りであることなど、AIJの不審さに気づかなかったのは、こうした「プロの不在」が影響しているといえそうだ。
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