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裁判の本質と「小沢裁判」(徳山勝)
http://www.asyura2.com/12/senkyo127/msg/283.html
投稿者 判官びいき 日時 2012 年 3 月 05 日 20:55:36: wiJQFJOyM8OJo
 

週末の3月9日に、小沢裁判の検事役を務める指定弁護士による論告求刑が予定されている。何度も書いたように、法曹界の人でなくとも少しは法律に詳しい人なら誰もが、本裁判は「公訴棄却」が妥当と見ている。だが、指定弁護士は、何が何でも有罪の論告をするようだ。そこで、彼らの論告内容の是非を考える上で参考になる、ある刑事裁判の興味深い判決を紹介したい。

新宿歌舞伎町の路上で警察官の職務質問受け、交番に連行され、身体検査をされた男性が、その直後の尿検査で、覚醒剤反応が出たため逮捕された。その男性被告の裁判の判決が先月27日東京地裁で下された。ここまで読まれた方は、100人中100人が有罪だと思うだろう。だが、東京地裁の伊藤雅人裁判長は、無罪を言い渡した。詳しく新聞を読むと、その理由と「裁判の本質」がよく分かる。

新聞報道によると、交番に連行された男性を、警察官3人が両腕を抑え、ズボンを脱がし身体検査。その直後の尿検査で覚醒剤反応が出たため逮捕・起訴された。男性は公判で「覚醒剤を使用した覚えはない」と否定。判決では、「令状なしに身体検査する差し迫った状況は一切なかった」と指摘。令状なしの身体検査は違法と断定し、尿検査の鑑定書は違法に収集された証拠に基づいており、証拠能力はないとした。

この判決を「そんな馬鹿なことがあるか。有罪だ」と考える人もいるだろう。だが、三権分立下の民主国家での裁判とは、こういうことなのである。三権分立は、主権者国民の基本的人権を、国家権力から守るためにある。裁判とは、警察と検察(=行政権)が法律に従って、公訴手続きを正しく執行したかどうかを裁くものなのである。即ち、司法権・裁判所が行政権をチェックする。これが裁判の本質なのである。

この裁判と比較すると、一連の小沢裁判が裁判の本質から遠いものだと分る。最初の「尿検査で、覚醒剤反応が出た」との情報が、「西松建設のダミー団体から違法献金を受け取った」に当たる。これで多くの人は「小沢は悪い奴」と刷り込まれた。その後の公判で「小沢クロ」を否定する証拠や証言を、マスコミがほとんど報道しなかったのは、有罪と思わせた第2段の1節だけしか報道しなかったのと同じことである。

次に「警察官3人が両腕を抑え、ズボンを脱がし身体検査」を、伊藤雅人裁判長は、令状なしの身体検査は違法と断定した。一方大善裁判長は、石川氏を取調べて作成された検察調書を「威迫による調書」と断定し、証拠として採用しなかった。この調書が石川氏と小沢氏の共謀を示すものとして、検察審査会は「起訴相当」の決議をしたのだから、これで「起訴相当」の根拠が無くなったことになる。

2月17日の裁判所による証拠採否の決定後、指定弁護士が「池田調書が証拠採用されたことで、これを間接証拠として有罪にする」との趣旨の発言をした。確かに池田調書には任意性があり、信用できるとされた。だがそれは「尿検査で覚醒剤反応」が正しいというのと同じである。池田氏は、謀議があったとされる時期には、陸山会の会計とは無関係であった。05年の報告書を作成した06年に関与しただけである。

ましてや検察審査会に、石川氏が言ってもいないことを、検察官が捏造した報告書が提出されたのである。指定弁護士が、弁護士法第一条(弁護士の使命)「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」を遵守するなら、有罪の論告はあり得ない。逆に、刑事訴訟法338条第4号「公訴提起の手続がその規定に違反したため無効であるときは公訴棄却」に基づく論告をするべきなのだ。

これに加えて公判では、弥永筑波大学教授が「会計学上、陸山会が買い上げた土地が本登記された05年1月7日に、土地購入代を記載したことが正しい」と証言。これで訴因が否定されたことになる。こちらは、刑訴法339条第2号「起訴状に記載された事実が真実であっても、何らの罪となるべき事実を包含していないときは公訴棄却」に該当するのである。さて、指定弁護士の論告はどうなるのだろうか???
http://www.olivenews.net/news_30/newsdisp.php?m=0&i=1
 

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コメント
 
01. 2012年3月06日 09:21:35 : DGwPzwvcIs
証拠の違法性、手続の瑕疵を理由に公訴棄却を求めるのは理にかなっており、法廷戦術の一つとして批難される点は全くないと思います。

しかし、公訴棄却は小沢氏にとってはホロ苦い勝利になるのではないでしょうか。なぜなら、公訴棄却では、「小沢は本当はクロなのだが、検察のヘマによってシロとなってしまった」という「説」を潰すことが出来ないからです。このような「説」は、根拠が乏しければ乏しいほど論難のための攻め手を欠き、かえって宗教的ともいえる根強さを備えてしまうものです。裁判終結後でも小沢氏の政敵とその協力者はこれを利用することでしょう。

これを標語的にいえば、「裁判で勝って世論で負ける」とでもいえましょうか。

小沢氏の弁護団が、検察審査会の決議の無効性を争点の一つとすることに留め、犯罪事実自体がなかったことの論証にも力を注いでいるのは、合わせ技一本で公訴棄却を得るのを目標としているというよりも、無罪判決を勝ち取ることを最善の目標としているからだと思います。

もっとも、役人としての裁判長は、無罪判決なんかを書いて身内の司法官僚組織から白い目でみられるより、公訴棄却にして「オレのせいじゃない、もともと筋の悪い案件をもってきた連中が悪いのだ」と責を他に転じる可能性の方が大きいでしょう。


02. 2012年3月06日 10:31:25 : U9ju6hgBpc
こうみると、小沢氏の有罪判決はきわめて難しくなったと解りますが、にもかかわらず、苦し紛れとはいえ、有罪判決もありうるとされる根拠はどこにあるのですか?大手メディアや、記者上がりのコメンテーターたちには、この期に及んでも有罪判決を期待する息遣いが沈黙の背後に渦巻いているようです。こうした薄暗い背景も解説していただけませんか?
日本は今こそ、数少ない政治家小沢一郎氏の復帰を必要としていると私は心底から願っている一人ですが、また一方、小沢氏の裁判の喜ばしい決着の後も、残念ながら、我々は検察や裁判の闇と闘い続けねばならないと思われますので。
ここを良質な議論の場にしていただきたいと思います。

03. 2012年3月06日 10:55:32 : 5mLzBGNdZw
公訴棄却であれ、何であれ、早く政界に復帰してもらいたい。

政敵がどのように利用しようと、検察・裁判官の犯罪行為がこれだけ明らかになった今となっては、「小沢一郎」を責めてきた政敵・マスゴミの不明のほうが国民に問われると言うものです。


04. 2012年3月06日 15:19:46 : Zc4LsHROVM
<1>のお方の意見に反対
控訴棄却は小沢さんにとってベストである。なぜなら例え無罪を勝ち取ったとしても、控訴で延々裁判がつづけられる可能性がある。
控訴棄却は検察のヘマととられ、小沢の勝利にはなり得ないと言う説にも反論したい。控訴棄却とは控訴する価値も無いということであり、これ以上の勝利はないと考える。あなたの尤もらしい「裁判で勝って世論に負ける」これについても、納得がいかない。だれが考えても無理筋な裁判であるから、世論を二分するような事態には絶対なりません。

05. 2012年3月06日 15:27:04 : mp6fw9MOwA
01さん

小沢さん裁判での公訴棄却は極めて重い判断です。
検察審査会を悪用して起訴相当議決を民主党代表選の当日に勝ち取り、裁判になれば有罪確定との読みで党員資格を停止している状況です。
この様な状況下で起訴すべき理由が見つからないので公訴棄却を選ばざるを得ない状況に追い込まれたと認める事になるのです。
総理大臣間近の人を裁判所に引き出し、起訴すべき理由が認められなかったとの展開では、この様な事態が何故生じたかを究明すべきだとの意見が民主主義国家では噴出する筈です。
司法関係者の違法行為が不問になる事はあり得ません。
原告が裁判で負けたなら、見解の相違との逃げも有りますが、公訴棄却では冤罪事件をを仕向けたが、その違法性を指摘され撤退を余儀なくされたとの負のイメージしか残りません。
司法関係者は公訴棄却で逃げようと考えているかもしれませんが、冤罪作りで政敵を追い落とせると考える論点の延長線上の発想であり、一般的には認められないと判断すべきです。
しかし、法的根拠のないもので起訴し裁判で負けても、違法判決で有罪としても司法の権威が保たれる事はなく、法と証拠で罪人はどちらかが判断される状況に入っています。


06. 日高見連邦共和国 2012年3月06日 15:31:24 : ZtjAE5Qu8buIw : Ihir5pcR5A
01さん

『控訴棄却』のケースの最も最悪な状況は、小沢一郎が保身を図りド・腐れ司法と“裏取引き”する事。

でも、俺は助言してるんだがな。
『空約束切って、すぐさま裏切って“裏取引き”をブチマケロ!』
ってね!

一ちゃんはあくまで“正道”で行くとさ!!!


07. 2012年3月07日 06:59:34 : DGwPzwvcIs
01です。>05 さん、>06 さん、日高見連邦共和国(>06))さん、コメントありがとうございます。>>04 さんへ
最近、JR西日本の元社長が福知山線脱線死傷事故の件で無罪となりました。この裁判は検察審査会の起訴相当議決を受け裁判が行われたものです。一審で無罪判決が出されましたが、遺族の心情を思い、また組織の犯した違法行為の責任のあり方を追及するため、元社長を控訴すべきという世論がありました。

記憶が正しければ、この控訴すべきか否かの検討は検察において行われました。そうです、不起訴とした検察が控訴を担当するのです。

ご存知のような小沢さんの裁判の経緯から、無罪判決に対して検察が控訴を行うことは極めて困難と考えます。

これ以外の異見については、アンチ小沢派についての私なりの見立てですので、アンチの方々が04さんと同じように考えてくだされば、それはそれでよいことです。>>05 さんへ
小沢さんの裁判を司法だけにとどまらない、より広い社会的視点から考えられておられるのだとお見受けしました。しかし、某司法関係者(複数)について巷間いわれていることが、その人々を刑務所に入れるに相応しいほどの違法性を帯びた事実であるということの証明はこれからです。確たる証拠のない「疑惑」だけで公権力を行使してはいけないことを、私たちは小沢さんの裁判を通じて改めて学んだわけですから、こと人権にかかわることには慎重でありたいと思います。極めて忍耐の要ることですが。

>日高見連邦共和国(>06))さん
いいかえれば覇道でなく王道。まさに「百術不如一誠」。


08. 2012年3月07日 07:07:20 : DGwPzwvcIs
01です。連投すみません。なんだか改行がおかしくなってしまい、申し訳ありません。

訂正もあります:

(誤)>05 さん、>06 さん → (正)>04 さん、>05さん

失礼しました。


09. 2012年3月07日 09:31:28 : rcOaKaUKZE
あと数日で論告求刑がなされます。
この記事の主張通りにはならないと思いますが、どんな内容か楽しみです。


10. 2012年3月07日 17:13:42 : SdbWlRY1Vs
Web上の西日本新聞の記事に下記の記述がありました。
指定弁護士は、訴因が否定されたとは考えてないようですね。

>共謀を示す直接証拠の中で最も重要な柱を失ったことで、指定弁護士は状況証拠を積み上げ、論告で有罪の意見を述べる予定だ。


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