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焦った増税派の「極秘トップ会談」ではっきりした野田、谷垣、そして小沢「三すくみの構図」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/31946
2012年03月02日(金)長谷川 幸洋「ニュースの深層」 :現代ビジネス
野田佳彦首相と自民党の谷垣禎一総裁の極秘会談が表面化した。当事者2人はそろって否定しているが、両党の関係者が認めており、もはや隠しようがない。テーマは言うまでもなく消費税引き上げと衆院解散・総選挙の密約だ。いわゆる話し合い解散である。
谷垣は2月29日の党首討論で「党内をどうまとめるのか。小沢(一郎元代表)さんは倒閣も示唆している。(解散・総選挙の後は)協力する道はいくらでも切り開ける」と野田に迫った。
谷垣の意図はこれに尽きる。つまり「まず小沢を切れ。そうすれば消費税引き上げを認めて法案を通してやるから、解散・総選挙をせよ。その後は増税に賛成する勢力で大連立しよう」という話である。
前回コラムで指摘したように、もともと増税派の谷垣は政策に忠実であろうとすれば、増税大連立を模索する以外にない。その条件として今回、はっきり「小沢切り」を挙げたところが目を引く。それはなぜか。
衆院で民主党・無所属クラブの勢力は291。過半数の241を50議席上回っている。だが、小沢グループが消費税引き上げ法案で造反し、他も合わせて50人以上が反対に回ると、法案は否決されてしまう。
谷垣が増税容認に転じて話し合い解散から大連立を目指すには、小沢の造反が大きな条件になる。なぜなら小沢が造反し、野田が苦境に追い込まれれば追い込まれるほど、方針転換する自分たちの値打ちが上がるからだ。
小沢グループが離反した穴を埋めようとすれば、衆院で無所属と合わせて120議席をもつ自民党会派が一番頼りになる。議席が120もあれば「50程度の小沢の造反は恐るるに足りない」という計算が双方に成り立つのだ。
だが、小沢が造反を口で言うだけで採決への態度が明確にならないままだと、谷垣は迷わざるをえない。もしも小沢が最後の瞬間で、それまでの方針を翻して賛成に回ってしまえば、それで法案は成立する。そのとき自民党が賛成に回っても、自分たちの値打ちは大きく減じてしまう。それどころか解散・総選挙も、その後の勝利の展望も危うくなってしまう。
谷垣にとって「法案賛成カード」は1回しか使えない虎の子だ。谷垣が賛成するといった後で、小沢があれこれと野田に注文をつけて法案を修正させ結局、民主党内が一つにまとまり、自民党の手を借りないでも大丈夫というような事態になったら、谷垣には悪夢である。
だから谷垣は小沢に主導権を握られる前に、まず野田のほうから「小沢を切る姿勢をはっきりさせよ」と注文をつけたのだ。
これに対して野田は極秘会談でも、はっきりした返事を与えなかったのだろう。それが党首討論にそのまま出た。「51対49の党内世論でも、手続きを踏んで決めれば、みんなでがんばっていく」と谷垣の追及を切り返し、言質を与えなかった。べつに野田は、いまから小沢切りを表明する必要はない。
小沢はどうするか。谷垣と野田の極秘会談が表面化する前から、小沢は2人が自分を切って「話し合い解散」に動く可能性を読んでいたはずだ。小沢はたしかに増税反対の姿勢を鮮明にしてきたが、だからといって、自分のほうから党を割って出るような話には慎重な姿勢を貫いてきた。
菅直人前首相に対する内閣不信任案が提出されたときも、小沢はぎりぎりまで不信任案に賛成する姿勢をみせながら結局、採決に欠席(棄権)した。このあたりは百戦錬磨の小沢である。土壇場でどう動くか、最後の瞬間まで手の内は見せないに違いない。
こうなると、もっとも苦しいのは谷垣ではないか。野田との極秘会談が表に出て足下が怪しくなってきた。党内からは「谷垣降ろし」の声が公然と噴出している。
会談をもちかけたのは「谷垣の側」という報道も流れている。そうだとすると、増税容認という本音と解散・総選挙への道筋をどうつけるか、我慢しきれなくなったのは谷垣という話になる。最初に手の内をさらしてしまうと、相手は俄然、優位になる。野田は谷垣の焦りを横目で見ながら、閣議決定に粛々と動くだろう。
そこで小沢グループが公然と反対し、たとえば閣僚引き揚げに動くなら、野田は閣僚の首をすげ替えても閣議決定に持ち込むだろう。だが、そこから先は読みにくい。
野田が閣議決定に持ち込んだとしても、だからといって造反者の除名のような荒技に持ち込むには、それなりの大義名分が必要だ。しかも谷垣に迫られて小沢を切ったとしても、それで谷垣と手を握り解散・総選挙に踏み切って、確実に政権を維持できる見通しはない。相手がつぶれてしまう可能性だってある。
かくて政局はきな臭さを漂わせながらも、野田と谷垣、小沢の三すくみ状態になってきた。互いが互いの出方をぎりぎりまで読みあって、当面は大きく動かない可能性が高い。閣議決定から最初の消費税引き上げ法案採決まで、少なくともまだ2ヵ月はかかるだろう。
増税派としては、人気の高い大阪維新の会や増税反対のみんなの党が選挙準備を整える前に解散・総選挙に持ち込んだほうが得策であるにちがいないが、どうも民主、自民双方とも増税派の段取りが整わない感じである。
ただ、最初の衆院での採決が最大のヤマ場になるのははっきりしてきた。
話し合い解散をめざす谷垣とすれば、それまでに情勢を見極めて態度を決めないと、後で参院に法案が回ってから、あるいは衆院の再議決になってから、最初の方針を覆すのは難しいからだ。それにはそれなりの大義名分がいる。こんな重要課題について、最初に反対しながら後で賛成するのは、大迷走のそしりを免れない。
極秘会談に動いた谷垣に「次の手」はあるのだろうか。
(文中敬称略)
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