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「しんぶん赤旗」 2012年2月27日(月)
都OBゼネコン天下り/豊洲対策工事受注13社に
東京都築地市場(中央区)の移転予定地、東京ガス工場跡地(江東区豊洲)の土壌汚染対策工事を受注した建設会社15社中、13社に都OBが天下りしていたことが26日、本紙の取材で明らかになりました。
築地移転予定地
都総務局が公表した「都幹部の再就職状況」によると、2010年3月〜11年7月に退職した部課長9人が工事を受注した清水建設、大成建設、大林組、東急建設など7社に天下りしていました。(表)
さらに都の各種OB名簿(08年以降発行)などから清水、大成、鹿島、大林、戸田建設、熊谷組、東洋建設、鴻池組、銭高組、東亜建設工業、西松建設、飛島建設に都局長、部課長OBら計40人が在籍していたことが判明しました。
都総務局は10年9月に「都庁人材バンク」をつくり、09年8月以降に民間企業に再就職した都幹部を公表しています。しかし、「それ以前は各局の人事担当が対処してきたので、実態を把握していない」(同局)といいます。
豊洲の土壌汚染対策工事は11年8月に3区画に分けて入札を行い、清水、鹿島、大成など大手ゼネコンが中心となった共同企業体(JV)が総額541億円で受注。入札に参加した15社すべてが工事を受注し、落札率(予定価格に対する落札額の比率)は97〜94%と高率で談合疑惑が浮上していました。
解説 癒着構造断ち切れ
豊洲の土壌汚染対策工事をめぐっては、入札前から建設業界関係者が「大手がもれなく受注できるよう調整している」ともらしていました。都は入札前に談合情報を受けたものの、ゼネコンの言い分を聞いただけで、問題なしとして入札を強行しました。
ゼネコンに甘い体質の背景には、石原慎太郎都知事が強引にすすめる新市場の2014年度完成計画、3環状道路など大型開発推進路線に伴うゼネコンとの癒着構造があります。
東京都幹部の天下りは、バブル期に事業化された新宿新都庁舎、東京国際フォーラム、臨海副都心、幹線道路工事などの受注企業で際立っていました。
自民・公明が推した鈴木俊一知事(当時、故人)時代の1979年から93年までの14年間に、局長級幹部のうち5人に1人が建設業界に天下りしていたことが本紙報道(94年9月14日付)で判明。天下りした企業に都が大型工事を発注する「手土産天下り」や、OBが都職員から入札情報を聞き出すことも日常化していました。
大型工事の落札率の高さも問題になり、「都の発注価格が高いのは、天下りOBの人件費も込みだから」という幹部もいました。
バブル崩壊以降も、建設業界への天下りは続き、癒着構造は温存されています。豊洲の工事を受注できなかった大手ゼネコンに天下りした都元幹部は「新市場建築工事はぜひ受注したい」と本音をもらします。
いまこそ都は工事発注企業への天下りを禁止し、癒着を断ち切るべきです。(岡部裕三)
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