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小沢一郎・民主党元代表に聞く消費税と政界再編 @…朝日新聞2月24日15面より
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2012-02-24 16:49:50 文明のターンテーブル
自民と同じ制度で「カネがないから増税」では、国民は納得しない
このまま選挙なら民主党は惨敗だ 安定政権作らねば
民主党の小沢一郎元代表が衆院の解散・総選挙前の政界再編の可能性に踏み込んだ。消費増税に執念を燃やす野田佳彦首相に再考を促しつつ、折り合えなければ民主党に見切りをつけることも辞さない構えだ。一方で刑事被告人として自らの判決を4月に控える小沢氏。民主党政権は視界不良になってきた。
―政権交代から2年半。政治が機能していません。なぜですか。
「まだ日本では民主主義が定着してない、成熟していないということだ。国民以上の政治家は出ないというからね。2009年8月総選挙での政権交代は変化を嫌う日本国民にとっては大変な決断であり、夢をかけたんだと思う。でも民主党は期待に応えるだけの資質を身につけていなかった。『任重くして』ということかな」
−自民党を離党して19年。細川政権で小選挙区制を決めたのは政権交代可能な政治体制をつくることでした。それが失敗だったという指摘があります。
「それは全くの間違いだね。中選挙区制は日本人的なぬるま湯の仕組みだが、対照的に小選挙区制は一番政権交代のしやすいシステムだ。
自分たちの代表を一人選んで自分の意思表示をきちんとするという意味で、その目標と意義は全然変わっていない。民主党から人心が離れている中、まともな政党ならすぐに政権を取れる制度だ」
ー鳩山政権は8ヵ月余で倒れました。幹事長として鳩山由紀夫首相に「身を引こう」と説得したのですか。
「そう。どっちかと言えばね。役員会でも『参院選が戦えない』という議論が出てきて、参院の皆さんがわいわいとなっだので『とにかく待て。首相と話をする』と言った。
我々のこと(政治とカネ)が参院選に悪影響を与えちゃいかんということで、辞めることにした。最終的には『首相の決断』ということにしなければね。残念ながら、辞めても辞めなくても同じ結果だったけれど」
小沢一郎・民主党元代表に聞く 消費税と政界再編 A…朝日新聞2月24日15面より
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ー東日本大震災では地元の岩手が被災しました。すぐに沿岸の被災地に入るべきではなかったですか。
「それは本質的な問題ではない。情緒論だ。まず復興予算を手当てするのが僕の役割だ。現に知事はしょっちゅう来て、話をしている」
ー震災3ヵ月で菅内閣不信任案に賛成しようとした理由は。
「僕は原発が水素爆発した直後から『メルトダウンしている』『全ての情報を公開しろ』と言い続けてきた。政府が認めたのは何力月も後だ。
そういう隠蔽体質、役所も含めてきちんと整理できなかったのはトップの責任になる。何よりも国政選挙(参院選)に負けたのに辞めなかった。首相が何人目などというのは関係ない。
選挙の責任者が負けても居座るのは、議会制民主主義に禍根を残す。これらのことで(菅内閣は)国民の信頼を失っていた」
−震災から1年。原発の見直しの機運が失せています。
「原発はあくまでも過渡的エネルギーだ。新しいエネルギー開発に全力をあげてこなかったことは、我々も反省すべき点だが、今ここで放射能を完全に封じ込めないと日本の将来はない。
政府は『収束宣言』を出したが、何が収束したのか。避難した人たちが帰ることができるのかどうかさえ明言しない。こんな無責任な政治はない」
−自由貿易論者なのに環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を批判していますね。なぜですか。
「日米首脳会談の首相発言をめぐって日米で発表が食い違ったように、米国への発言と国内への説明を使い分けてはいけない。両方から信頼を失う。
そのこと自体がもはや、交渉の当事者能力がないということを露呈している。難しいことはできるだけ米国に任せた方がいい、という考えが根底にあるからだ。米軍普天間基地の移設問題もそうだが、日本がどういう役割を果たすかを明示しないと米国と対等に話せない。その交渉能力と体制が問題なんだ」
小沢一郎・民主党元代表に聞く消費税と政界再編 B…朝日新聞2月24日15面より
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ー野田佳彦首相は消費増税に突き進んでいます。
「国民に税負担を強いる前にやることがある。自民党と同じ制度に乗っかったまま、『カネがない。だから増税』では国民は理解しない。税と社会保障の一体改革と言うが、社会保障の青写真は全く示していない。それで消費増税では筋道が通らない。国民は絶対に賛成しない」
ーでも日本は借金まみれです。どうするのですか。
「予算編成は自民党時代と同じ各省の積み上げ方式で、政策の優先順位は全く入っていない。補助金と政策経費など優先順位をつけることのできる予算が毎年三十数兆円はある。いらないものを廃止すればよい。統治機構を根本から変えて中央集権体制から地域主権体制へと抜本改革すれば、二重三重の行政のムダを省ける」
−首相が消費増税を掲げて衆院を解散するとの見方もあります。
「全員道連れにして自殺するよらな行為だ。現実に支持率がどんどふ落ちてきたら、やれるものではない。ただ、首相は何とか(消費増税が)いけると思っているのではないか。気楽にしているようだから」
ーでは消費増税法案には反対するのですか。
「何もせずに消費増税というのは国民の理解を得られない。だから賛成できない」
ー閣議決定を阻止すると。
「どう判断するかはそのときだ。消費増税大綱だって(法案化に向けた)条件が付いている。国会はうまくいかないのではないか。野田さんが気付いて、初心を忘れずにもう一度努力してくれることを、私は最善の策として望んでいる」
−野党が野田内閣への不信任案を提出したらどう対応しますか。
「まだ考えていない。そもそも法案さえできてない。ただ、今の姿勢を続ければ国民の支持を完全に失う。リーダーはやっていけない」
ー野田首相に会ってアドバイスする考えはありますか。「僕は助言する立場ではない。(党員資格停止で)党大会にも呼ばれていない。党費だけは払わされているけどね」
ー仮に選挙になった場合は。
「やってみたら、惨敗だ。私が先頭に立って戦って勝ち取った政権だから、何とか成功させたいんだが、今年やっても来年やっても、このままでは民主党は勝ち目がない。心配なのは、過半数を取れる政党がなくなることだ。そうなったら、何も決められずに、日本は大混乱に陥る。そこへ大不況が来たら悲劇だ」
ーそれを避けるには。
「民主党か変わらずに(消費増税へ)突っ込むことになれば、民主党内閣、民主党自身の終わりだ。国家が混乱しない方策を考えないといけない」
ーどんな方策ですか。
「野田首相が解散するしないではなく、国民の支持がなくなり、国民が『選挙やって出直せ』となってくる。9月までには解散・総選挙になる」
−民主党がダメなら、政界再編を考えるんですか。
「民主党がどうなるかによる。選挙前にやらないとダメだ。選挙で安定した過半数の政権ができる結果を出すようにしないといけない。とにかく、国民が一番支持できる政権をつくらなければならない。なかなか大変だ」
ー党を割ることもありますか。
「歌を忘れたカナリアはいらないんじゃないの。僕らはまだ歌を忘れずに歌っている。野田さんがもう一度考えを変えてピシッとしてくれることを望む」
小沢一郎・民主党元代表に聞く 消費税と政界再編 C…朝日新聞2月24日15面より
http://blog.goo.ne.jp/sunsetrubdown21_2010/e/367247c25e15e5e2082545ce390c0515
「統治機構」
「自立」維新の八策に同感 旧体制壊さないと
ーこのところ大阪市の橋下徹市長がすごい勢いです
「彼は小泉(純一郎元首相)的な大衆を引きつけるカと、小泉氏にはない理念的なものの考え方を持っている。かなりの人物だと思う」
−橋下市長率いる大阪維新の会の「船中八策」は。
「見せてもらったが、『決定でき責任を負う民主主義・統治機構』『自立する個人、自立する地域、自立する国家』という主張は全く同感。我が意を得たりだ。旧体制を壊して新しい仕組みをつくらないと本当の改革ができないという考えも全くその通りだ」
ー小沢さんのグループが維新の会と連携する可能性はありますか。
「まだ解散まで少し時間がある。ハハハ」
ー17日の公判で、小沢さんの関与を示す元秘書らの供述調書が証拠不採用になりました。先が見えてきたと思いますか。
「全部終わってから話す。まだ刑事被告人の立場だからね」
−国会での説明責任を果たすべきだという声は根強いです。
「司法の場にあるのに立法府が干渉するのはおかしい。東京地検特捜部が2年間も強制捜査をやって、徹底的に調べた。国会の質問どころではない。聞きたければ検察庁に行って聞いてもらいたい」
−今年70歳を迎えられますね。最後の仕事は何ですか。
「政権交代で議会制民主主義のレールは敷けたと思っていたが、どうもうまくいかない。民主党がダメでも自民党がしっかりしてまた政権を取る力があれば、民主党をたたき直してまた挑戦すればいいが、自民党もおかしくなっている。
政権党だったからそれらしく見えただけなのか。困ったもんだねえ。政権交代を前提とする議会制民主主義を定着させ、あとは次の世代にたいまつを引き渡す。そのためにいい年して、もうちょっと頑張らなければと思っている」
(聞き手 与党担当キャップ・松田京平 政治部次長・藤崎優朗)
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