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私を参考人招致せよ!
元大阪高検公安部長 三井 環
http://gekkan-nippon.com/?p=3270
『月刊日本』2010年11月号
村木事件の最高責任は検事総長にあり
―― 大阪地検特捜部の証拠ねつ造事件の捜査に乗り出した最高検は、事件の責任を大阪地検特捜部の検事たちに限定しようとしている。
【三井】 これは検察官同一体の原則に反することであり、最高検の責任逃れと言っても過言ではない。
検察は内部規則により、高級官僚を逮捕、起訴する場合には事前に上級庁と協議することが定められている。村木事件のような事件が起こった場合、まず大阪地検内で被疑者を逮捕できるか否か、あらゆる角度から協議される。そして、逮捕できると踏めば、その協議資料は大阪高検に送られ、同様の協議が行われる。そして、そこでも逮捕できると踏めば、その資料は最高検に送られる。そして、最高検が「逮捕すべし」という捜査指揮を行い、その指示が大阪高検、大阪地検へと下りていく。起訴に関する協議、すなわち処分協議も同様の流れとなる。これが検察官同一体と言われる所以である。
このように何度も協議をしたにも関わらず、検察内の誰一人として、改ざんされたFDの問題、そして、そもそも検察の作り上げたストーリー自体に無理があることを指摘することができなかった。それ故、決して前田恒彦主任検事や大坪弘道特捜部長ら、改ざんに直接関与した人たちだけの責任ではなく、共に事前協議に参加した検察官全員に責任がある。そして、最終決定は当時の樋渡利秋検事総長によってなされたのだから、当然検事総長にも重い責任がある。
検察は証拠品を全面開示せよ
【三井】 こうしたねつ造やストーリーありきの強引な取り調べは、大阪地検に限らず検察全体において日常的に行われていることだ。脇が甘かったために、たまたま大阪地検において表沙汰になったというだけのことである。
かつて私も検察官として、こうしたストーリーありきの取り調べを幾度となく行ってきた。高松地検の次席検事時代、独自捜査で四七人を逮捕したことがある。その時、次席検事である私が事件のストーリーを作り上げ、そのストーリーに合致する調書を取るよう、部下の検察官たちに指示を出した。ストーリーに合致させるために、中には全体の三分の一ほどをゴッソリ削除した調書もあった。
―― 裁判所は、検察の作った調書を無条件に信用しているように見える。
【三井】 判検交流(裁判官と検事の人事交流)制度がその一因となっている。また、裁判官と検事は法廷外で会合を開いている。こうしたことから、裁判官からしてみれば「検事は身内」という感覚がある。一方、弁護士と裁判官の交流はほとんどない。それ故、裁判官が公判での証言よりも検察官面前調書(検面調書)を信用するという傾向がずっと続いてきた。しかしこれでは、自分たちの法廷より検事の取り調べを信用するという意味で、自ら法廷を否定しているようなものだ。
ところが、今回の村木事件を機に、その傾向に一定の歯止めがかかる可能性が出てきた。村木公判では、証人が次々と調書に書かれていた供述の内容を否認し、裁判所も調書の大半を証拠として採用しなかった。その一方で、裁判所は上村勉厚労省元係長が拘置所でつけていた「被疑者ノート」を重視したのだ。この中には、嘘の供述調書を作られた経緯が詳しく書かれていた。
裁判所は今後も、こうした事件においては被疑者ノートを重視するはずだ。弁護する側としても、被疑者ノートを武器に検察の横暴と闘うことができるようになるだろう。
―― 取り調べを全面可視化する必要がある。
【三井】 取り調べの全面可視化だけでは不十分だ。可視化とセットで、残記録(検察が証拠提出しなかった調書)と押収した証拠品の全面開示が不可欠であろう。
現在の裁判は、検察の提出する証拠に基づいて行われる。弁護側としては、検察がいかなる証拠を持っているか把握することはできず、それを提出させる術もない。検察は自らに不利な証拠は当然提出しない。実際、鈴木宗男氏を巡る裁判では、検察は鈴木氏の供述調書の約半分を証拠として提出しなかった。検察の作り上げた土台に乗って裁判が行われるのだから、被告は99パーセント有罪となって当然なのだ。
財田川事件や免田事件では、検察が隠していた証拠が出てきたことがきっかけとなり、再審において死刑判決が覆った。冤罪事件を撲滅するためにも、残記録と証拠品の全面開示が急務である。
検察の裏ガネを仕分けせよ
【三井】 強大な権力を握った人間は、往々にして道を踏み外してしまう。自らが正義であると信じて疑わず、その横暴を省みることさえしない。
こうした検察の体質がもっとも露骨に現れたのが、検察庁による組織的な裏ガネ作りの問題である。
検察には、「調査活動費」という名目の不明朗なカネがある。その名のとおり、検察の調査活動のために自由に使える予算だ。しかし、実態は違った。架空の領収書を大量に発行し調査活動費として適正に使った体裁をとることにより、幹部たちが宙に浮いたカネを自分のポケットに入れるという事態が横行していたのだ。
恥ずかしながら、私もその組織的犯罪に手を染めてきた一人だった。実際、現検事総長である大林宏氏と共に、この調査活動費で飲み食いしたこともある。
しかし、こんな不正をいつまでも許していいはずはない。私は大阪高検公安部長という要職にありながら、マスコミを通じて匿名で裏ガネ問題の告発を始めた。テレビ朝日の報道番組「ザ・スクープ」では、実名告発もしようと準備を進めていた。その取材のアポイントを取っていたまさに当日、私は不当にも逮捕されてしまったのだ。
実は、検察の裏ガネ問題を告発した検事は私が初めてではない。東京地検検事、福岡高検検事などを歴任した故・安倍治夫氏こそ、その先駆者だ。ところが彼もまた、欠陥車を口実にした自動車メーカーへの恐喝・恐喝未遂容疑で、不当逮捕されてしまった。
安倍氏の時代、どれだけ検察の裏ガネ問題を訴えても、世間は全く耳を貸さなかった。また、私を逮捕するという露骨な口封じを行ったにも関わらず、検察に対する国民の信頼が揺らぐことはなかった。
強大な検察権力を前にして、一個人の力がいかに無力であるかを感じざるを得なかった。しかし、時代は変わった。現在では検察の無謬神話は崩壊し、あと一歩で裏ガネ問題に手が届くというところまで来ている。
民主党政権は事業仕分けなどによって「無駄ガネ」を削減するより先に、検察の「裏ガネ」こそ仕分けするべきだ。無駄ガネは犯罪ではないが、裏ガネは犯罪なのだから。
菅総理よ、私を参考人招致せよ!
【三井】 私は逮捕される前、裏ガネ問題に関する内部資料を、当時民主党幹事長だった菅直人氏に持って行ったことがある。その時、彼は「これは大きな問題だ」として協力を約束してくれたため、私たちはあるストーリーを立てた。
大手メディアで検察の組織的な裏ガネ作りを告発した私を、菅氏が衆議院法務委員会に参考人招致する。そこで裏ガネ作りを証言した私は、自らもその罪に関わった人間として、検察官の証である「秋霜烈日のバッジ」を外し、職を辞す――。
結局、私の緊急逮捕でその計画は水泡に帰してしまったが、総理になった菅氏は必ずやこの問題に着手してくれると思っていた。
ところが、菅総理が検察問題に着手している様子は全く見られない。腐敗の実態を知っていながら、しかもそれに対処できる権力を持ちながら何もしないのは、一体どうしてか。権力と果敢に戦う市民運動家とは仮面にすぎなかったのかと、失望せざるをえない。
菅総理が為すべきことは極めてシンプルだ。8年前に私と約束したように、私を法務委員会に参考人招致する。それだけでよい。私は逃げも隠れもしない。そして、これから先も検察の横暴と闘っていく。それこそが、かつて検察の裏ガネに手を染めた私の責任だと信じている。
*本稿は編集部の許可を得て投稿しています。
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