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2012年02月22日
(1)竹森俊平・慶應大学教授
東電は、試算をすべて売却し、賠償責任を可能なかぎり果たしたうえで破綻させるべきだった。有用な資産のみ買収し、賠償・廃炉(「レガシーコスト」)から自由になった新会社が電力事業を担うのが最善だ。
原子力損害賠償支援機構は、東電を生かすでもなく殺すでもない生殺しの仕組みで、最悪だ。
電力不足問題は、電力会社が火力発電所やスマートグリッドに積極投資しないかぎり解決できない。批判の矢面に立ちリストラを要求されている会社が、最も投資を要求されている。このジレンマが続くかぎり、東電は優秀な人間を集められないし、十分な投資もできない。
(2)荒井聡・参議院議員
東電の再建は、どういう形にすれば福島の被災者への賠償が十分な水準でスムーズに行われるかを中心に据えるべきだ。
会社更生法にせよ、破産にせよ、法的整理が行われると、社債権者が被災者より優先弁済を受けることになる。
かといって、国が賠償を引き受けるのは、財政当局が納得しないし、法制化にも時間がかかる。その間、賠償が滞る。
東電が前面に出て政府が後方からバックアップする原賠機構のスキームは、既存の法律、制度の枠組みを前提に、被災者救済策にもっとも資する。
(3)奥村宏・会社学研究家
組織が肥大化した大企業は時代の状況にもはや適合できなくなっている。大きすぎる会社は分割する以外にない。
東電は抜本的に解体すべきだ。発送電分離だけでは肥大化はなくならない。発電部門では、各地の火力・水力発電所を独立させ、新会社へ払い下げるか、自治体による公営とせよ。発電網、送電網も地域別に独立させ、新規参入を促すべきだ。
国有化するなら、法的に破綻させるべきだ。りそな銀行のときのように、減資もせずに公的資金を投入するな。議決権のない株式取得も、タダでカネを差し出すようなものだ。
(4)橘川武郎・一橋大学大学院教授
東電のエリアに、なるべく安い電気をなるべく安定的に供給する仕組みを作ることがいちばん大事だ。経営者を交代させるため、一時国有化には反対しない。しかし、最終的には民間が担うのがふさわしいし、その担い手は現在東電で働いている人たちだ。
高い系統運用能力(需要と供給を瞬間ごとに調整して安定的に電力を送る)をもつ現場の力は残さなければならない。
原子力は電力会社から切り離したほうがいい。2050年ごろには世界の原発はゼロになる。必要なのは、長い目で見た「リアルな原発の畳み方」だ。
原子力比率が10数%しかない中部電力は、浜岡原発を切り離せば天然ガス中心の会社に生まれ変わる。24%が水力の北陸電力は、志賀原発を切り離せば、再生エネルギー会社として特徴を出していける。電気事業者が「原子力からの名誉ある撤退」をしていく道を作ることが求められる。
(5)河野太郎・衆議院議員
今のスキームより、破綻処理後にいったん国有化し、発送電分離、地域独占・総括原価方式の見直しなどを行ったうえで、再上場させ、資本回収を行うほうが国の持ち出しが少ない。
解決のメドがつかない使用済み核燃料や核燃料サイクルの件を含め、原発のリスクは国が引き受けざるをえないだろう。
今後の原発政策は、例外抜きに40年経たものは廃炉とし、原発再稼働についてはストレステストだけでなく、経営陣の総退陣や社外役員制度の導入など、ガバナンス改善も条件とすべきだ。
信頼を失った原子力安全・保安院の役割を新設の原子力規制庁が担うことになるが、経産省につぐ原発推進派である環境省より、もっと独立性の高い組織にすべきだ。
(6)久保利英明・弁護士
会社更生法を適用すべきだ。実質倒産だが、事業は継続する再建型だ。裁判官の管理下、資産売却や整理解雇など厳しいリストラが求められる一方、必要資金が不足すれば担保権よ優先する「共益債権」にすると裁判官が金融機関を説得してくれる。燃料購入代金なども同様だ。
組織的対応ができれば、早期回収につながる。他方、個人や中小零細企業など弁護士にたどり着けないところに対しては、東電は一方的な自社作成の請求書対応で、安く済ませようとしている。大体、加害者が被害請求の枠組みを決めるなど許されることではない。
かかる変な話は、すべて東電を破綻処理しなかったことから生じている。
更正法を適用すれば、債権者が裁判所の決めたごく簡単な債権届出書を提出すれば審理は進む。更生管財人の下に弁護士を大量動員して審査を行い、権利が認められればすぐに確定する。判決文と同様の効果があるから、今の原発ADRのように東電がごねるから進まない、ということにはならない。
それで賄えない分は、国が全面的に出てきて被害者救済を行うべきだ。もし国が動かないなら、十分に国家賠償請求訴訟を行える。
以上、倉沢美佐/井下健悟/鶴見昌憲/山田雄大/麻田真衣/長谷川愛/風間直樹/高橋由里(本誌)「東京電力 偽りの延命」(「週刊東洋経済」2012年2月18日号)に拠る。
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