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退陣か、それとも解散・総選挙での敗戦か。展望なき野田首相「消費増税決戦」の行き着く先
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/31849
2012年02月20日(月) 田崎 史郎「ニュースの深層」 :現代ビジネス
政府が消費税率引き上げを盛り込んだ社会保障と税の一体改革の大綱を閣議決定するなど、首相・野田佳彦は「消費増税決戦」に向けた準備を着々と進めている。だが、決戦で勝利する見込みはまるでない。戦いの結末として見えてくるのは今のところ、退陣か、それとも民主党衆院議員を巻き込んで敗戦に至る衆院解散・総選挙のいずれかだけだ。
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立ちはだかる壁は民主党元代表・小沢一郎だ。小沢は今月初め「党執行部に『無理やり法案を通すとなったら反対だ』と昨年のうちに伝えた。(国会の採決でも)反対は反対だ。最初から反対と言っており、何かの拍子に賛成になったらおかしい」(共同通信インタビュー)と宣言。17日に幹事長・輿石東、元首相・鳩山由紀夫と会談した後も、18日に鹿児島市内で開かれた会合で「約束したことを、どこまでも全力で頑張る政治家が少なくなってきている」と述べ、2009年衆院選マニフェストの実現を重視する姿勢を改めて示した。
3者会談後も小沢の姿勢が変化しないことは、野田が期待した「輿石カード」が機能していないということだ。輿石は野田と小沢の意向をそれぞれに伝える役割を果たしたにしても、両者の接点を見いだせない。
小沢には今、順風が吹く。東京地裁が17日、資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反(虚偽記載)事件で、小沢に虚偽記載を報告し、了承されたとした衆院議員・石川知裕の捜査段階の供述調書が証拠不採用となったからだ。小沢は4月26日ごろとみられる判決で無罪を獲得する自信をますます深めているに違いない。
判決が下されるころ、消費増税法案の審議がヤマ場を迎えている。政府は3月中に、社会保障・税一体改革大綱に基づき法案を閣議決定し、国会に提出する。衆院で法案は、定例日にとらわれず、毎日審議することが可能な特別委員会を設置して審議されるようになる。
竹下政権で消費税法案を審議した当時の特別委の審議時間は96時間半。これにならって審議しても、特別委員会での審議は3週間あれば足りる。特別委員会採決の環境は早ければ4月下旬、審議に手間取っても5月中旬に整っているだろう。
委員会採決は民主党委員に賛成派を並べれば可能だ。しかし、小沢が強く反対している状況で、衆院本会議で可決できるだろうか。衆院の過半数は240議席。民主党の勢力は291議席。民主党から52人が反対すれば否決されてしまう。
小沢と行動を共にする議員数について、執行部内でも「50人はいる」(幹部)という見方が強い。小沢が会長を務める勉強会「新しい政策研究会」には衆参合わせ100人を上回る議員が出席しており、同調者はもっと増える可能性がある。
となると、野党の一部が賛成しなければ、消費増税法案は否決されることになりかねない。野田が自民党か公明党の協力を得るのか、それとも否決覚悟で衆院本会議を開くのか、このあたりの展望がまったく開けていない。政権の命運を賭けた法案が否決されれば、退陣か、衆院解散かの道しかないだろう。
公明党が求める衆院の選挙制度「小選挙区比例代表連用制」をのみ、「禁じ手」を使ったにしても、「消費増税法案に賛成するわけにはいかない。選挙制度と消費増税法案を取引したように取られたら、公明党はおしまいだ」(公明党幹部)。唯一、残されているのは自民党内に強まっている「話し合い解散」の道だけだが、これとて民主党内の反発、自民党総裁・谷垣禎一の指導力を考えると容易ではない。
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小沢の壁、野党の壁に、新党と世論というさらに2つの壁が加わる。たちあがれ日本と国民新党は東京都知事・石原慎太郎を担いで4月にも新党を旗揚げする構え。大阪市長・橋下徹が率いる地域政党「大阪維新の会」も次期衆院選に向けて準備を進めている。こうした動きは民主、自民両党議員らの動揺を誘うのは確実だ。
一方、内閣支持率は朝日新聞、日本テレビ、時事通信などの世論調査で今月、2割台に落ち込んだ。他社の調査でも、支持率が発足以来一貫して下がり続け、不支持率が支持率の2倍前後に達した。支持率を回復する手立ては見つからず、4月の時点で2割台を割る可能性もある。
野田は年頭の記者会見でこう言った。
「ネバー、ネバー、ネバー、ネバーギブアップ。私は、大義のあることを諦めないでしっかりと伝えていくならば、局面は変わるというふうに確信をしています」(1月4日)
この言葉がむなしく聞こえる。野田が策謀をめぐらすこともなく、「大義」を訴えれば局面転換を図れると本当に考えているのであれば、政権は早晩、行き詰まるだろう。
(敬称略)
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