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「売り家と 唐様で書く 三代目」
俗に言う「三代目が家を潰す」ということを皮肉った川柳である。
政権交代からその「三代目」となる野田総理。17日の閣議で、消費増税を柱とする社会保障と税の一体改革の大綱を閣議決定した。これを受けて「三代目」の野田総理は、政府インターネットテレビを通して10分強の「総理ビデオメッセージ『社会保障と税の一体改革について』」を放送した他、NHKのニュースウオッチ9に生出演。公共放送を利用して「増税の必要性」を約40分力説した。
しかし、その内容は「増税を 空言で説く 三代目」といったところ。
民主主義において多様な意見が存在するのは当然ではあるが、「三代目の演説」に説得力が欠けているのは、事実を都合よく捻じ曲げたり、都合の悪いことを隠したりすることが多過ぎるからである。
17日のニュースウオッチ9での「三代目の演説」も、「詭弁」のオンパレードであった。
この時機に消費増税を柱とする社会保障と税の一体改革の大綱を閣議決定した理由について、「三代目」は次の様に答えた。
「今の法律、これは自公政権の時に作ったんですけど、所得税法の附則のところに、社会保障を支えるための消費税を含んだ税制の晩本改革を、平成23年度中に法案を提出するという今法律があるんです。その線に沿って行くとこの3月末までに法案を提出しなければなりません。法案を作る準備を考えるとそろそろ閣議決定をして法案作りに入って行かなければならにという判断があった」。
自党が作ったマニフェストを平気で反故にする人間が、自公政権が作った法律の「附則」の遵守をことさら強調する姿勢をおかしいと感じないところが「三代目」の「三代目」たる所以。
しかも、この「附則」には「平成20年度を含む3年以内の景気回復に向けた集中的な取組により経済状況を好転させることを前提として、遅滞なく、かつ、段階的に消費税を含む税制の抜本的な改革を行うため、平成23年度までに必要な法制上の措置を講ずるものとする」と定められている。
「三代目」は、この「附則」に記されている「平成20年度を含む3年以内の景気回復に向けた集中的な取組により経済状況を好転させることを前提として」という部分については、自党のマニフェスト同様、完全に無視して「平成23年度までに必要な法制上の措置を講ずるものとする」という部分だけを取り出して強調しているのである。
「経済状況を好転させることを前提として」という「責任」の部分に一切触れず、「平成23年度までに必要な法制上の措置をこうずるものとする」が政権の「義務」であるかのように強調する行為は、「政治的な詐欺行為」だと批判されても仕方がない。
そして、NHKの大槻キャスターからの「消費税を上げるのではなくて、成長戦略で増収を図るべきだという意見があるが」という指摘に対しては、信じ難い回答を見せた。
「成長して増収はあるかもしれない、だけども、成長するということは、金利も物価も上がるということ。そうなると今膨大な借金を抱えていますから、その債務の残高は大変な嵩になっているので利子を支払うのも相当嵩むんです。ということは金利が上がったりすると歳出も膨らむんですね。利払いで。だから必ずしも成長だけを以って社会保障の安定財源を確保出来るかというと必ずしもそうではない」。
「三代目」が経済音痴であることは財務相のころから金融市場の「公知の事実」となっており、今さら少々のことでは驚かないが、経済音痴がここまで進行していることには驚かされた。
「景気の回復による金利の上昇」は、俗に言う「良い金利上昇」である。日本が避けなくてはならないのは、「財政破綻懸念に基づいた成長を伴わない金利上昇」という「悪い金利上昇」である。「三代目」は「悪い金利上昇」が起きる可能性を必要以上に強調して国民に不要な不安を与え増税を強いようとしているが、今回の発言で「良い金利上昇」と「悪い金利上昇」の区別すらもついていない、という実態を露呈してしまった格好。これでは一国の総理として資質に欠けると批判されても当然である。
一国の総理が、利払い費の増加を懸念して経済成長による税収の増加よりも、増税を中心とした歳入拡大を図るなど、聞いたこともない。「小さな政府」を目指す勢力が存在する米国でこのような発言をしたら、瞬く間に火だるまにされるところである。
「三代目」は17日に発表したビデオメッセージの冒頭で「三つの待ったなし」の一つとして、「日本の信用」を挙げている。これは「増税による財政再建を早急に実施しなければ『格下げ』等によって市場の信認を失い金利が上昇、日本もギリシャのようになる」という「財政再建原理主義」の教義に従ったもの。
しかし、これは世界情勢に疎い「経済音痴の詭弁」でしかない。
米国の格付会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは13日、イタリアやスペインなどユーロ圏6カ国の国債の長期信用格付けを「欧州の景気悪化見通しが、各国の財政再建や構造改革に影響を及ぼす可能性」を理由に一斉に引き下げた。ポイントは、「格下げ」の理由として「景気悪化見通しが、各国の財政再建や構造改革に影響を及ぼす」ことが挙げられていることである。重要なことは、「景気悪化見通し」が「格下げ」の原因となっていることである。
国際社会が「増税を中心とした緊縮政策による財政再建」の副作用に気付き、「景気回復による財政再建」に軸足を移しつつある中で、「景気回復は金利の上昇を招き、財政支出を増大させる」などという信じ難い理由で「増税を中心とした緊縮政策による財政再建」という間違った方向に猪突猛進することは、「格下げ」に向けての自爆でしかない。
「三代目」の暴走はまだまだ続く。
「1997年の消費増税後に景気悪化した経験をどう総括するのか」、という問いかけに対して次の様に答えている。
「あの時はですね、消費税の問題というよりも、むしろアジアの通貨危機があったり、山一の破綻があったり、等々いろんな事情が重なって、まあ風邪を引いていた日本経済が肺炎みたいになってしまったという状況があったと思います。だけども、あのときよりも社会保障は待ったなしになっています。そして財政問題も待ったなしになっています。ということは、これは勿論経済の成長を図るために、円高、デフレを克服するために遮二無二やるべきことをやって行かなければなりませんが、同時に社会保障改革は待ったなしだと私は思います」。
「三代目」は1997年後の消費増税後の景気悪化は、消費税が原因ではなく、アジア通貨危機や山一の破綻といった特殊事情によるものだと考えているようだ。
日本経済は今、欧州債務危機の影響のみならず、東日本大震災と原発事故、史上最高水準の円高に見舞われ、その結果、「『不況型倒産』の構成比は83.1%となり、32カ月連続で80%台の高水準」(帝国データバンク)という状況に陥っている。
また、名目GDPでみても、1997年に記録した515兆6442億円をピークに、その後14年間一度もその水準を上回ることなく、2011年推計は469兆5452億円と、当時と比べて約50兆円、率にして約9%低い水準に留まっているのである。
1997年の日本経済が「風邪」だったとしたら、現在はもう「重篤な状況」にあることは明らかである。
誰がどうみても、日本を取り巻く経済情勢は1997年当時より格段に厳しいものになっている。従って、消費増税の影響が当時以上に出てくることは、総理大臣として当然想定しておかなくてはならないことである。「重篤な状況」にある日本経済にとって、「肺炎」は致命的である。
今優先すべきことは、「三代目」が自ら言うとおり「経済の成長を図るために、円高、デフレを克服するために遮二無二にやる」ことであって、「詭弁」を使って「増税を中心とした緊縮政策による財政再建」に向けての世論操作をすることではない。
「三代目は家を潰す」と俗に言われている。「初代が苦心して財産を残しても、3代目にもなると没落してついに家を売りに出すようになる」ということである。
政権交代後「三代目」となる野田総理も、「政権交代を潰す」さらには「日本経済を潰す」ことになりそうである。日本国民が不幸なのは、「初代から政治的な財産を残していない」ということ。政治家自身が「身を切ること」の重要性を強調する「経済音痴の三代目」。一日も早く「自らの首を切る」ことを期待したいものである。
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