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小沢一郎の「政治とカネ」
不毛な三年間の最大の責任は
「疑いなき者をハメた」検察とメディアにある
2012/02/18 :(誰も通らない裏道)
あの東京地検特捜部ですら起訴できなかった小沢一郎を、素人、かつ謎の集団である検察審査会が起訴議決したことで強制起訴に持ち込まれた小沢公判。
これは大林宏検事総長が「起訴できるだけの証拠がなかった」と言い切った案件である。
にもかかわらず、検察審査会に送られる操作捜査報告書が組織的に捏造(虚偽記載)されていたのだから、昨日の石川調書の証拠不採用は至極真っ当な結論という以外にない。
しかし、これで小沢無罪が決定したわけはもない。もちろん普通に考えれば無罪以外にあり得ないが、この小沢一郎をめぐる「政治とカネ」の“問題”は、そもそもが普通でないところからスタートしているから、何が起こるかは、まさしく裁判が終わるまで、下駄を履くまでわからないと思う。
ちなみに本日の東京新聞朝刊に掲載された元東京地検特捜部検事、高井康弁護士によれば、「有罪の確率は減ったが、必ず無罪になるというわけではない。裁判所が推認に推認を重ねて、被告が「将来、虚偽記載した報告書を提出することになる」と暗黙のうちに認識したと認定できれば、有罪となる可能性はある。」のだそうだ。
これは凄いコメントだ。これほど尋常でない裁判なのだから、そもそもこの公判のありようを問わなければならないはずなのに、そういう問題設定は一切なく、推認で有罪になる可能性はあるという。この人に弁護を依頼するには、よほど勝算の高い案件でも不安ですね。
同様に検察官役の指定弁護士のコメントも凄い。「(調書の不採用は)ほぼ予想通りの結果。有罪立証にあまり影響はない」とのこと。この人、本職は弁護士なのだから、「こんな裁判、もうやってらんない」というのならわかるが、有罪立証できるというのである。この人に弁護を依頼するのもまた勇気がいる。
さて、そんななか、昨日の私の最大の興味は、このニュースをメディアがどのように伝えるかということだった。
そこで最初に注目したのは、お昼のNHKニュース。
なにしろNHKこそは、2009年3月の大久保秘書逮捕から、一貫して検察のリークを垂れ流して小沢を叩いてきた筆頭媒体であるから、その伝え方は気になる。
が、実際に見てみると、これが拍子抜けするほど真っ当だった。昼の時間帯のニュース枠の中で、他局はそれでもまだ「小沢無罪の可能性が高くなったが、池田秘書の調書は一部採用されているから、有罪の可能性もある」という調子だったのに対し、NHKはそれには触れずに無罪の可能性を伝えていたのである。
夜7時のニュースも、まあそんな調子だったので、普段は決して見ることのない、一番問題の「ニュースウォッチ9」もついでに見ることにした。
そして、この番組がひどかった。
が、ひどかったのは小沢のニュースに関してのみでなく全体の構成だ。
番組では冒頭に野田佳彦が出演。キャスターを相手に「一体改革」とやらの重要性を喋る。これに対しキャスターは、いかにも視聴者代表のようなフリをして質問を投げかける。素直な視聴者は、野田を相手にキツイ質問をしているように見えるのかもしれないが、この男の役どころは単なる増税路線の露払い役でしかない。
「増税をするんですか? でも、その路線にはこんな反論、疑問がありますよ」と、増税という道に落ちているゴミの存在を指摘すると、それについて野田が答える。するとそのゴミは箒で掃き出されるわけである。結果、視聴者を「増税やむなし」という気分にさせる。
このコーナーの目的はそこにしかなく、これを繰り返すことで増税容認という空気を充満させようというのである。そして、もっとも効果があるのは、これを「みなさまのNHK」がやることだ(こちらも本日の東京新聞の記事だが、「野田が国民へ一体改革のアピールを始め、NHKのニュース番組に出演した」という内容の記事がある。つまりこの番組は政府広報としての価値ありと権力からも認定されているのである)。
私はこのコーナーを見ている間、反吐が出そうになったので(こういう番組をきちんと最初から最後まで見て批判する植草一秀氏は本当に偉いと思う)、時折、ザッピングをすると、TBSでは「怪しく無気味な国、北朝鮮」という気分を煽り、空気を作る「バラエティ番組」を盛大にやっている。
まことにもって、世界一の情報統制国家・日本のメディアは、それぞれのポジションで本日も忠実に任務を遂行中である。
NHKに話を戻すと、そうして野田がえんえんと話したあとの次のニュースが天皇陛下のご入院(不敬な順番だ!)。そして、その次にやっと小沢公判である。
昨日の公判で石川調書が採用されず、小沢無罪の流れが強まり……というビデオが流れ、さて偏執的小沢叩きで有名なあのキャスターがどんなコメントをするのかしらんと期待していると、この男は判決の期日を喋ってサラッと次のニュースへ移ったからズッコケた。
「あんた、そりゃあないだろうよ。あれだけ、小沢をぶっ叩いてたんだぜ、何かコメントせいよ」
と思ったのは私だけだろうか。
それにしも──。
そもそも、昨日の小沢公判ニュースを見ていた視聴者のうちのどれほどの人が、この「陸山会の虚偽記載事件」は2009年、最初に大久保秘書逮捕された時の「西松事件」とまったく異なるものであるを理解しているだろうか。そして、「西松事件」はどこへ行ったかを正確に知っている人がどれだけいるだろうか。
私は今、2009年3月、大久保秘書逮捕から始まった、検察+メディアによる「小沢狙い撃ち」について、当ブログに書いたものをまとめて電子書籍にしようと思っている。そこで、当時のエントリーを読みなおしているのだが、もはや私でも「そんなことがあったな」と思うこともある。
そもそも、大久保秘書の逮捕時点では、「西松建設の巨額献金事件」とメディアは報じていた。大久保秘書の逮捕容疑は政治資金規正法違反という形式犯。だが、当時、宗像紀夫(元東京地検特捜部長)は「入口は政治資金規正法違反という形式犯だが、ここまでやるからにはその先に大きな疑惑があるはずだ」と言っていた。ところが、その先には何もなく、結局、大久保秘書は政治資金規正法違反のまま起訴された。
すると、次にメディアは検察の吹かす風にのって、「これだけで十分に悪質」と言い始めた。当時の総理大臣、麻生太郎は嬉しさを隠しきれずに、「悪質だ」とのたまった。
あるいは共産党の志位和夫。この人物も小沢一郎に対して、「形式犯での逮捕は前例がないというが、こういう悪質なことはこれまでにない。取り締まるのが当たり前だ」などと述べていたのである。
しかしいま、この西松事件は影も形もない。なぜなら、この公判では、検察側の証人が法廷で検察の構図を覆す証言をしたからである。その瞬間、西松事件は消え去った。
すると持ち出されたのが、陸山会の土地取引問題であり、しかしそれでも検察は小沢を起訴できなかった。
やっと起訴できたのは、検察審査会というこれ自体が十分に怪しい素人集団に、検察が虚偽記載した捜査報告書を送ったからである。
と、ここまでくれば、もはや事は明らかだ。
問題は小沢一郎の「政治とカネ」ではない。検察とメディアが一体となって小沢一郎の「政治とカネ」をでっち上げたことこそが問題なのである。
「疑わしきは罰せず」どころの話ではない。検察がメディアを利用して、「疑いなき者(しかも総理大臣の最有力候補)をハメた」のだ。
その結果、この3年間、政治は混乱するだけ混乱し、衆議院選挙で示された民意はネジ曲げらるだけネジ曲げられた。さらに、その間には東日本大震災が起き、福島第一原発の破局事故が起きたが、総理大臣が異なっていれば、その対処法はずいぶんと異なっており、放射能による被害も格段に少なくなっていただろう。
いまこそ、その責任が問われなければならないのであって、メディアが頬かむりすることは許されない。
元記事リンク:http://fusenmei.cocolog-nifty.com/top/2012/02/post-d0a1.html
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