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2012年2月17日 (金)
植草一秀氏が、枝野経産相「東電実質国営化」の背徳性をずばり指摘した 今回、枝野幸男経済産業相が示した、東電の政府直営化の方針は、その上辺の理由が政府の偽装であり、実は国民の側を全く向いていない、大利権創出の疑いが濃厚になった。この件の深層を最も的確に、最も鋭く衝いているのが、「植草一秀の『知られざる真実』」に、二日に渡って書かれた二つの記事である。それは最後に紹介する。福島第一原発プラントの大事故は、日本国民に取っても、他の国民に取っても、滅多にない自然の猛威が引き起こした不幸な天災だったと決めつけるわけにはいかない。これは人類未踏の大事故である。 それは自然環境との調和を無視した前提に基づく、科学技術絶対主義による原子力技術の無謬(むびゅう)神話を拵(こしら)え、それを半世紀以上も国民に信じ込ませてきた原子力行政の人類的、犯罪的な大失敗である。つまり、福島原発事故は未曾有の大地震がトリガーとなってはいるが、事故そのものの生起や経緯は百パーセント人災である。これに対応した菅政権と東京電力の犯罪的な処し方は、今後徹底的に究明されなければならない。広島と長崎に原爆を落とされて人類唯一の核虐殺を経験した日本は、核の平和利用を謳ったその核で、再び我が身と我が国土を傷つけている。歴史上、このような巨大なアイロニーがあるだろうか。 事故直後、当時の枝野幸男官房長官は、事故の深刻さを知りながら、政府発表として「ただちに影響ない、ただちに問題ない」を空しく繰り返し、実際に起こりつつある危機的状況から国民の目を逸らし続けた。ただちに問題はないと言いながら、妻子は海外に非難させ、4月には原発被災地の半径20キロ圏内を視察した折には、完全防護服と高性能防塵マスクを着用して、若者たちから「フルアーマー枝野」と揶揄(やゆ)された。彼が事故に対し極度の危機感を有していたことは、フルアーマーと車外視察時間がわずかに五分だったことからよく分かる。交通事故に遭って瀕死の人間に、耳元で「大丈夫ですから安心してください」と言いながら、心で「ただちには逝かないが、あと10分くらいかな」と思うようなものである。 この枝野氏が、いまだに経産省の大臣を拝命している事実も驚愕ものだが、彼が示している東電の政府直営化には、巨大な利権構造が付きまとう可能性を植草一秀氏がずばり指摘しているのだ。植草一秀氏と言えば、2003年5月にりそな銀行の破綻処理に関し、政府が預金保険法の抜け穴条項を利用して、本来は市場から退出させるべき銀行を国庫救済した一連の推移を鑑み、それを大掛かりな金融犯罪の構図と見做し、りそな銀行インサイダー取引疑惑を提起した唯一の有識者である。ここまで来ると、植草一秀氏という人物は、頭脳明晰な一エコノミストというよりも、世間からは見えにくい金融犯罪も決して見逃さない、その筋のエキスパートの側面も兼ね備える特異な有識者である。 その植草氏が、政府の東電対応は、世界中の資本主義国家があきれる、お笑い草の対応であると、枝野氏の東電政府直営論を頭からばっさりと切り捨てる。読んでいて、心の底から納得した。詳細は植草氏のブログに書かれた二つの記事とメルマガ版を是非ご覧いただきたい。重要なことは、植草氏が枝野幸男氏を「背徳枝野」とまで呼ぶその理由なのである。枝野氏が東電の政府救済、すなわち国が東電株の過半数から3分の2以上の議決権を持ち、経営権を掌握しようとする意図に潜む真相は、以前のりそなと同様に、巨大な利権創出の疑いが出ていることを植草氏は見抜いているようである。 植草氏は実質国有化と一時国有化の天地の差を説明しながら、実質国有化という詐欺的用語の延長には、りそなで起きた人事ポスト利権と同じことが生じてくると言う。植草氏特有の物凄い洞察眼である。詳細は植草氏の下記ブログ記事2点と、「植草一秀『知られざる真実』」のメルマガ版を是非ご覧になっていただきたい。 @2012年2月14日 (火) A2012年2月15日 (水)
(このパロディ・フォトモンタージュはマッド・アマノ氏の作品です)
巨大な貸し手責任問わない背徳枝野東電処理
「実質国有化」で進む限り枝野は癒着のかたまり
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