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橋下徹「維新の会」、その危険な本質を考察する(神州の泉)
(2012/02/15)神州の泉ブログhttp://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/
良心派のサムライ議員とも言える、自民党参議院議員・西田昌司氏も指摘していたが、マスコミが橋下徹氏の動向を取り上げる、そのやり方は、かつての小泉純一郎氏が持ち上げられたレベルとそっくりだということをまず最初に注目する必要がある。つまり、マスコミは橋下徹氏の政策展望「船中八策」の中身が判然としていない段階で橋下氏を徹底的に英雄扱いし、閉塞したこの日本の政治を正面突破する歴史の勇者のごとく持ち上げている。絶対に忘れてはならないのは、マスコミが特定の政治的な人物をこのように異常に英雄視するときは、日本に取って極度の危険が迫っていることを意味する。
今から11年前、小泉純一郎氏が総裁選に圧勝した直後も、マスコミは彼を、それまでの経世会政治(旧田中型政治)による、政官財トライアングルの弊害を打破し、大きな政府構造の無駄を除外し、徹底的で壮大な「官から民へ」の大移行を宣言したと囃し立てた。マスコミは、それまでの平成不況の閉塞感を打破し、日本に新境地を打ち立てる新星のように見立て、熱狂的に彼をもてはやした。この時、小泉氏が用いたキャッチフレーズが「聖域なき構造改革」だった。小泉氏は、勢いばかりが強いワン・イシュー・ポリティクスを連発していたが、表の威勢の良さとは裏腹に、「聖域なき構造改革」の中身をほとんど説明しなかった。
そこで、心ある人たちは、自分たちでそれを勝手に推測し、小泉・竹中構造改革が進展する中で、聖域なき構造改革の「聖域」とは、特殊法人と特別会計のことじゃないかと言い合った。つまり、首相になる前の野田佳彦氏が、その殲滅(せんめつ)を叫んでいたシロアリ帝国への開戦宣言である。ところが、小泉・竹中路線のやったことを振り返ってみると、小泉氏がぶち上げた「聖域なき構造改革」の「聖域」とは、同じく彼が選挙前から叫んでいた「自民党をぶち壊す!」ことであり、その顛末を正確に言うと、自民党・清和政策研究会と対立構造にあった橋本経世会を崩壊させることにあった。小泉政治5年半で旧田中派型政治は完全にその息の根を止めてしまった。
自民党をぶち壊す、この意味を旧田中派型政治が引きずっていた、政官財トライアングルの腐食構造、すなわち金券・利権政治の打破という側面から見たら、小泉氏は確かに自民党政治のある大きな底流を堰き止めた。その意味では自民党政治は壊されたと言えるだろう。だが、政官財の腐食構造は是正されていなかった。植草一秀氏は、2006年9月13日の国策捜査(京急事件のこと)に見舞われるわずか9日前の9月1日、ジャーナリストの神保哲生氏が主宰する「ビデオニュース・ドットコム マル激・トーク・オン・ディマンド」に出演している。その際、神保氏は植草氏から聞いた話として、下記のことを言っている。
(引用開始)「しかし、植草氏は小泉政治にはより大きな罪があると言う。それは、「構造改革」の名のもとに行った様々な制度改革はその内実をよく見てみると、実際はこれまで日本の政治を支配してきた旧田中派の建設・運輸関連と郵政関連の利権を破壊し、それを小泉氏自身の出身母体となっている財務・金融利権へと塗り替えただけでのものに過ぎないというのだ。そこには国民の生活をよりよくするなどの「国民の側に立った視点」はまったく欠如している。しかも、その「利権の移動」を、アメリカの後ろ盾で行いながら、アメリカのファンドなどにはしっかりと稼がせているという。これが、植草氏が、小泉改革を「売国奴的」とまで呼んで酷評する最大の理由だ。」(引用終了)
植草氏のこの洞察によれば、小泉政権は政官財トライアングルの腐食構造を糺(ただ)さなかったばかりか、旧型政治の利権構造を小泉政権に付け替えただけだったと、かの政権の罪深い性格を看破しているのだ。しかも、それに他動的なダイナミズムを与えていた張本人がアメリカだったと言う。すでに心ある人々には周知のことだが、小泉・竹中構造改革路線を貫いていた政治思想は、アメリカの国際金融資本が他国の富を収奪する手段として使用する典型的な市場原理主義であり、アメリカはアルゼンチンにやったように、小泉傀儡政権を通じて日本にもそれを適用したのである。この時、政官財トライアングルを破壊するという名目で、実際は日本で独自に形成されていた田中型修正資本主義(混合経済体制)そのものを破壊してしまったのである。
これによって、日本の福祉や医療、老人対策、中小零細企業対策など、それまで機能していた重要なセーフティネットの破壊が進み、国民は阿鼻叫喚の地獄を見ることとなった。経済では、日本の大事な国富をアメリカに垂れ流すような売国政策を展開した。つまり、小泉純一郎という人物は救世宰相を気取りながら日本を破壊する仕事に邁進したのである。彼のやった国政を簡便に説明するなら、日本型修正資本主義を「修正、刷新する」と言いながら、実はそれまでの良い連続性もすべて破壊する作業に専念しただけだった。修正資本主義の王道を破棄して、アメリカ指導の新自由主義に国策を大転換した。そのマニュアルと呼べるものが、USTR(米国通商代表部)のR・ゼーリック氏(当時)がテコ入れし、竹中平蔵氏が隠れ指針としていた「年次改革要望書」だった。出所はワシントン・コンセンサスである。
小泉改革の5年半は日本を暗雲たなびく病的国家に変身させた。国民の怨嗟や憂慮を汲み取り、小沢一郎氏を主軸とする民主党は2009年に政権交代を成し遂げ、鳩山−小沢ラインを始動させた。彼らは国民の負託に応えて当初頑張ったが、米国、政官財トライアングル複合体、マスコミは、この小鳩ラインを徹底して集中攻撃し、叩き潰した上、菅直人、前原誠司、枝野幸男、仙谷由人、蓮舫、野田佳彦ら、国と国民を裏切る国賊政治家たちに国政の運営権を掌握させてしまった。その慣性が今の野田亡国政権に連続しているわけである。
この流れをつぶさに見ると、旧田中派型の腐食構造を糺すという名目で生まれた小泉政権が、実はアメリカの画策によって、日本市場構造の改変作業に特化した結果、その悪影響は日本の文化、習慣、国体にまで及んだ。ここで橋下徹氏に目を転じると、実にぴったりと小泉純一郎氏にその属性が重なってくる。冒頭に申しあげたように、マスコミは7年前に小泉氏を異常に持ち上げたように橋下氏を持ち上げている。この現象は報道の過熱状態ではなく、明らかに裏側に米国奥の院の強いバックアップが働いている。
2005年の郵政民営化是か非かの衆院総選挙を思い起こして欲しいが、この直前にテレビや大新聞は四六時中、米系保険会社のコマーシャルを流していた。これは森田実氏が喝破していたように、米国保険業界から日本のマスコミに莫大な工作資金が電通などを介して提供され、国民が郵政民営化を肯定するように大々的なキャンペーンが張られた。この流れで、みのもんた氏や古舘一郎氏など、国賊MCたちは、郵政民営化反対論者の論述を頭から握りつぶしている。反対論者の筆頭であった小林興起氏などが、彼らに反対論を言わせてもらえなかった場面を私も何度か見ている。
GHQ占領期、ラジオや大新聞は徹底的な放送コード、プレスコードを敷かれ、アメリカに都合の良い偏った報道しかできなかった。その延長上で「閉ざされた言語空間」が日本のマスメディアに内包されてしまった。これが戦後レジームの深層である。新聞やテレビは、この時に形成された「閉ざされた言語空間」を現在まで間断なく継続し、折々の政治的局面でそれを発動している。小泉政権はこの文脈で強烈な対米隷属の国政を敷いたのである。つまり、アメリカに操縦されている日本のマスメディアが橋下徹氏を異常に持ち上げているのは、橋下氏が、小泉純一郎氏の再来として、典型的な対米隷属の国策を敷設するという、アメリカ本国の意図の顕れとしか解釈できないのだ。
菅政権や野田政権も対米隷属政権ではあるが、彼らはあくまでも国民の評判を落とすために暫定的に利用された、言わば現代の抵抗勢力なのである。小泉氏が橋本経世会を抵抗勢力として殲滅対象としたように、現在の野田政権も国民の信任を得ない抵抗勢力として反撃に供される可能性がある。しかし、それをしても、もし橋下「維新の会」内閣が樹立されれば、シロアリ温存の大増税とTPP推進は間違いなく敢行されるだろう。
十分に気を付けていただきたいことは、小泉純一郎氏や竹中平蔵氏が垣間見せた行動原理を、社会学的に捉えれば、それはH・スペンサーなどが唱えた典型的な社会ダーウィニズムであることを指摘する。つまり、強いもの勝ち、資本の多寡で勝敗が決まる世界、狡知に長けた者だけが独り勝ちをする優勝劣敗社会が彼らの理想世界なのである。分かりやすく視覚的に喩(たと)えれば、「北斗の拳」に設定される世界背景である。私は橋下氏の政治的な心象風景に全く同じものを見る。彼がTPP参加を国策と位置づけ、その理由として「(TPPには)基本的には参加だ。ヒト・モノ・カネの移動は国境を意識せず、日本の外から付加価値を取り込む」と言ってることに衝撃を受けた。
これこそ、狩猟民族の典型的な獲得競争原理であり、弱いところから力で分捕れと言っていることと同じである。これは社会ダーウィニズムであり、小泉純一郎氏や竹中平蔵氏たちが抱くものとまったく同質の世界原理である。この観点から、彼が坂本竜馬を凝らして考えた「船中八策」政策を紐解いてみたいが、長くなったので機会を改めることにする。私がこの人物に強い危機感を覚えるのは、彼が権力の最高峰に立った時、小泉純一郎氏を桁外れに凌駕する強権発動を政敵に対して行う可能性を見るからである。日本の議院内閣制は総理大臣が強権発動すれば、いくらでも望みどおりにできる体制なのである。幼年期を同和部落で過ごした橋下氏が、日本社会に対するルサンチマンを濃密に蓄えている可能性は否定し切れない。これが強権発動に開花した時の政敵粛清を考えると空恐ろしい。政治を独裁と捉えている発想がそれを教唆している。
日本国民は経済学者の植草一秀氏が行った、小泉・竹中構造改革の広範囲な分析をしっかりと胸に刻み込む必要がある。菅政権、野田政権という邪悪な売国政権が生まれてしまった背景には、国民が小泉政権の総括をおろそかにし、その解明を置き去りにしてきたからである。そのために新たに生まれる政権がアメリカの意のままに運営されてしまう国家的な危険性を放置する形が慣習化しそうになっている。この状態で橋下政権が樹立された場合、日本に再生の芽はなくなる。政治のリーダーを威勢の良さだけで選んだり、マスコミが異常に持ち上げる風潮に乗って選んだら、日本人は国家の計を誤ることになる。
植草一秀氏は2009年8月3日に東京拘置所に収監され、同年10月4日に釈放された。この二か月間は、最高裁事務総局が民主党政権の誕生を睨み、小沢一郎氏の影響力の強さを見越して植草氏の言論を封殺したかったからと考える。その最大の理由は、今述べたように、植草氏による小泉政権の総括が民主党内に周知されることを阻止するためだった。また、この時期に彼のブログが休止状態に追いやられたことも、事務総局が世論喚起を恐れたからである。だからこそ、歴史的な新政権誕生直後の最も大事な時期に、小泉政権の政治的本質を知悉する植草氏の言動を収監という形で封じたのである。植草氏は国策捜査と国策裁判に見舞われただけではなく、タイミング的に国策収監にも遭っていたのである。
もしも橋下政権が誕生した場合、小泉政権を二桁も凌駕する日本破壊が起きることは容易に想像できる。
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