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2012年2月15日 (水)
「実質国有化」で進む限り枝野は癒着のかたまり
東電救済策をあたかも正義の政策であるかのように見せる報道が広がっている。
しかし、これはまやかしの報道だ。
政府が不正で不当な東電救済策を強行するにあたり、その不正イメージを払拭するために偽装をメディアに依頼し、メディアが協力しているに過ぎない。
2003年に小泉竹中政権がりそな銀行を公的資金で救済した。これを日本経済新聞が「実質国有化」として報道して以来、「実質国有化」なるいかがわしい日本語が用いられるようになった。
「実質国有化」の反対にある言葉が「一時国有化」である。
何気なく聞いている限り、両者の違いに気付かない。
2003年の場合、日本経済新聞は「大胆な金融処理」として小泉竹中政権の「実質国有化」を礼賛したが、ほとんど朝鮮中央放送と変わらない。
実体は、「退出すべき企業を退出させる」方針の正反対の「公的資金で銀行を救済」を実行したものであり、この責任で小泉政権を総辞職に追い込めなかったのは菅直人民主党の大失態だった。
正確に表現するならば、「実質国有化」は「公的資金による救済」であり、「一時国有化」は法的整理である。
何が違うのかと言えば、利害関係者=ステイクホルダーに対する責任処理が天と地ほどに違う。
実質国有化というのは、政府が資本を注入して、当該事業会社を救済することを指す言葉である。
これに対して、一時国有化は、当該事業会社を法的整理したうえで、政府保有会社に転換することである。
したがって、一時国有化の場合には、経営責任、株主責任。貸し手責任が法律の規定に沿って適正に問われることになる。
日本長期信用銀行、日本債券信用銀行、日本航空などは、すべてこの方式によって処理された。
ところが、実質国有化というのは、政府が公的資金を注入して、当該事業会社を法的整理せずに救済することであるから、一時国有化のような責任処理は行われない。
ただし、りそな銀行の場合、経営責任だけが追及された。
そもそも、りそな銀行の場合には、小泉竹中政権の経済政策運営を的確に正しく糾弾したりそな銀行頭取に対する竹中氏の個人的な感情によって、りそな銀行が意図的に自己資本不足に追い込まれたのではないかとの疑いが濃厚である。
りそな銀行と同程度の財務状況の銀行はいくつも存在したが、小泉竹中金融行政は、りそな銀行だけにターゲットを絞り、言わば謀略に近い形でりそな銀行を追い詰めたのである。
自己資本不足の可能性を3月末までに指摘していれば、りそな銀行は増資などの措置により自己資本不足を回避しえた。十分に資金調達できる状況にもあった。
それを、小泉竹中勢力は、あえて、3月末が過ぎてから、りそなを自己資本不足に追い詰める策略を採用したと見られる。詳しくは拙著『日本の独立』(飛鳥新社)に記述したのでご高覧賜りたい。
結局、りそな銀行は自己資本不足と認定されたが、竹中金融行政は法の抜け穴である預金保険法102条第1項第1号規定を活用して、りそな銀行を法的整理せず、救済したのである。ただし、経営者は排除され、小泉竹中政権近親者に役員ポストが配分された。大銀行の役員ポストは言うまでもなく巨大利権である。このポストを収奪して、身内の人間で分け合ったのである。
他方、株主責任、貸し手責任は問われなかった。りそな銀行の株主は、責任を問われるどころか、公的資金注入による銀行救済で、株価が6ヶ月で4倍に暴騰するという、巨大な利益供与を受けた。
ただ、この恩恵にあずかった勢力は極めて偏っている。竹中金融相は「大銀行といえども「大きすぎるからつぶせない」の考え方は取らない」ことを明言していた。この発言が行き過ぎた株価暴落を引き起こすきっかけになった。
金融恐慌に陥れば、通常の企業の株式も紙くずになる可能性が高まる。これを恐れて多くの国内投資家が株式を投げ売りした。
これを一手に買い占めたのが米国系ファンドである。小泉竹中政権から、最終局面で預金保険法102条を活用して銀行救済を行うとのシナリオを事前に聞いていたのだと思われる。
国家ぐるみの巨大インサイダー取引疑惑が濃厚に存在している。私はこの問題を厳しく追求し続けたなかで、人物破壊工作に見舞われたのだ。
「実質国有化」が「公的資金による救済」であることをはっきりさせておかねばならない。
東電の場合、「実質国有化」によって免責されるのは、株主責任と貸し手責任である。数兆円という規模で、責任が免除される。その免除される金額は、その全額が一般国民または電力利用者に転嫁される。
このような不正が許されて良いわけがない。
東京都は東京電力の大株主である。政府の東電救済策で株主責任を免除される。最大の恩恵を受けるのは金融機関である。長期借入金では、日本政策投資銀行の債権が大きい。政府の東電救済策の最大の眼目は日本政策投資銀行救済にあると思われる。
日本政策投資銀行を救済する理由は明白だ。この銀行が財務省の最重要天下り先のひとつだからである。この銀行の経営者の責任を問わず、その負担を一般国民に転回することが目論まれている。
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