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ギリシャが大変なことになっている。大規模な抗議活動が発生し、一部で暴動が起きている。EUやIMF、ギリシャ政府が融資の条件となる緊縮策を決定し実行しようとすれば、国民は総反発し、最悪の事態に発展する可能性も考えられる。
【アテネ=末続哲也】ギリシャは13日、ユーロ圏などから第2次支援を受ける前提条件だった財政緊縮策を議会承認し、「突然の債務不履行(デフォルト)」回避へ前進した。だが、国民には政府・与党不信が強まり、「緊縮策よりデフォルトやユーロ圏離脱が望ましい」との主張が勢いを増している。抗議活動の激化にもつながりそうだ。
「月給は2年前の約1200ユーロ(約12万円)から約700ユーロに減り、今回の緊縮策で22%減る。増税で物価は上がった。こんな政策なら、デフォルトやユーロ圏離脱の方がましよ」。12日の国会議事堂前の抗議デモ。女性会社員グバル・ミルトさん(32)の訴えに、周囲の参加者が賛同した。デモに加わったヨット製造会社社長コスタス・ゴルフィノプロスさん(45)も「デフォルトは不可避だ。ユーロ圏を離れ、独自通貨に戻って物価などを調整した方が、長期的にはプラスになる」と主張した。(2012年2月13日22時29分 読売新聞)
「緊縮策よりデフォルトやユーロ圏離脱が望ましい」というギリシャ国民の声は、もっともである。こういう意見はギリシャ国民ばかりでなくドイツの経済学者などからも出ており、特別なものではない。むしろ、この意見の方が経済学上からは理にかなっている。今回の問題はEU及びユーロ通貨圏を維持するというドイツ・フランスの面子を掛けた戦いでもある。
つまり、ここでギリシャがユーロ圏から離脱、つづいてスペインやイタリアも離脱するようなことになればEU及びユーロ圏におけるドイツ・フランスの指導力が低下し、それに伴い発言権も弱くなる。それはイコール世界におけるドイツ・フランスの存在感の低下を招くことに繋がる。つまり、ギリシャとは直接関係のない政治的な思惑で進んでいる部分があることも忘れてはいけない。
純粋にギリシャの債務問題を考える場合には、主に二つの視点から見る必要がある。一つは経済的、政治的な側面からであり、もう一点は国民の心情と生活面からの視点である。それぞれについて簡単に述べてみよう。
@経済的、政治的側面
緊縮策を続けてきたが経済は縮小し、給料は下がり、物価は上昇し、失業者は増加した。人は雇用を求め他のユーロ圏の国に移動し始めている。簡単に言えば、何一ついいことはなく、経済の縮小と人口の流出は更なる国の歳入の減少を招き、更なる緊縮策を求められることになる。それの繰り返しが続くことになりかねないという懸念が国民の中に根強くある。さらに、其のことは政治への不信と不満を増幅させることに繋がり、政情が不安定化する可能性が非常に高くなる。そうなれば、いくらドイツやフランスなどが財政規律の強化を求めても、何の意味も持たなくなる。これが、第一の視点である。
A国民の心情と生活
私達が増税や緊縮財政をアメリカや中国などの他の国から強制的に押し付けられたら、どう思うだろう。自国の政府に言われるなら未だしも「外国からは言われたくねーわ!」と思うに違いない。それと同じ気持ちをギリシャ国民が味わっているということである。「お前達に言われた通りに我慢して生活しているのに、何もよくならないではないか!」と感じているのである。
少しでも所得が増え、あるいは物価が下がり、生活が安定化すれば国民の感情も落ち着くだろうが、先の見えない今の現状では将来に対する不安が増幅されるばかりだ。政府が超緊縮財政政策の先にある将来像を国民に提示できない点に大きな問題がある。政府は国の財政が危機だから「国民の皆さん、我慢してください。」「歳入が不足するので増税をお願いします。」というばかりで、何も将来のことを語らない。大規模な抗議活動が発生し、一部で暴動が起きている原因の元はここにある。 これが第二の視点である。
日本の内閣や財務省は「ギリシャのようになる」と危機感を煽り、増税をしようと目論んでいる。それも消費税5%という現在の税率を2倍(200%)の10%にするという大増税である。ユーロ圏の財政破綻危機に陥っている国でさえ、せいぜい3〜5%程度しか付加価値税を上げていない。率にして10〜20%程度だ。
野田首相や財務省は「増税をしないとギリシャのようになる」と言う。しかし、現実を冷静にみて発言するならば「国民の声を無視した過度の緊縮財政政策と増税を進めると今のギリシャのようになります。」と訂正すべきだろう。『財政支出の削減と増税だけでは財政再建は出来ず、更なる経済の縮小と歳入の減少を招くことになり、そのことは政治への不信感と不満を増幅させることに繋がり、政情が不安定化する可能性が高くなる。』このことこそが、ギリシャ問題の本質であることを理解すべきである。
しっかりとした国の将来像や安心して暮らせる将来の生活の姿を示さないで一方的に進める社会保障改革や増税は、国民の不安と不信を増幅させ、それが政情の不安定化と国内の混乱を招く結果に繋がりかねない。野田首相や財務省はギリシャから学ぶ点を間違えている・・・。
http://haru55.blogspot.com/2012/02/blog-post_14.html
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