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財務省から予算編成権を取り戻せ! 政治評論家 中村慶一郎
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『月刊日本』2月号
小沢グループを見切った野田総理
―― 野田政権は1月13日に内閣改造を断行した。野党に問責された山岡賢次消費者担当相と一川保夫防衛相が退任し、副総理には岡田克也前幹事長が就任した。こうした人事の狙いはどこにあるか。
中村 端的に言って、野田総理はもはや小沢一郎議員との関係を見切ったということだ。党内融和路線を転換したということだ。
民主党政権は衆議院において292の議席を持っている。これだけ強大な力を持っているにも関わらず、臨時国会における法案の成立率は34%と、ここ20年で最低のものであった。
臨時国会は最大2回延長することが可能だ。仮に2回延長していれば、1月の通常国会の直前まで臨時国会を開くことができた。しかし、野田総理にはそれができなかったし、それをやるだけの気力もなかった。
その原因の一つとして、野田総理が小沢議員の顔色をうかがっていたことが挙げられる。それは平野博文国会対策委員長も同様だ。党内融和を優先するあまり、全く国会が機能しなくなってしまった。平野議員は今回の人事で文部科学相に就任することとなったが、国会対策委員長を退任したのは国会運営を失敗したことを受けての事実上の更迭だ。
こうした民主党の国会運営について、国民新党代表の亀井静香議員が野田総理に対して、「逃げてばかりの国会運営では、将来に展望を開かない」と言ったそうだ。あるいは、それが融和路線の転換を後押ししたのかもしれない。
今後、野田総理は小沢グループに対しても野党に対しても強い態度で臨むだろう。その決意は、昨年の12月29日に行われた民主党税調合同総会において熱弁をふるい、「君子豹変す」という言葉を使ったことにも表れている。
仮に野党から不信任決議をつきつけられたとしても、受けて立つに違いない。解散総選挙は近いと見ていいだろう。
―― 小沢議員に近いと言われている内山晃元議員ら9名が民主党を離れ、「新党きづな」を形成した。また、検察に起訴されたとはいえ、依然として小沢議員は民主党内において大きな力を持っている。総選挙になれば、小沢議員が仲間を連れて離党し新党を作る可能性もある。
中村 小沢議員に対する起訴は、検察による一種の謀略である。彼の無念な気持ちは十二分にわかるし、検察の謀略を許すわけにはいかない。
しかし、報道されている小沢議員の裁判の受け答えを見ている限り、彼が復権することはないだろう。たとえ小沢議員が離党したとしても、一体どの政党が手を組むだろうか。
また、現時点における新党きづなの支持率も極めて低く、泡沫にすぎない。闇雲に新党を作ったところで、それが国民の支持を得ることはないのだ。
時代遅れなものとなった二大政党制
―― 国会が機能しなくなったのは、小選挙区比例代表並立制という選挙制度にも原因がある。
中村 現在の選挙制度は細川護熙内閣の時に導入された。それまで続いていた自民党長期政権の無残さをうけて、健全な形で政権交代が実現するように導入されたものだ。
しかし、与野党の利益をはかるために比例代表並立制としたことが、大きな弊害をもたらした。これによって大政党に有利な選挙制度となってしまった。票が特定の政党へ一気に流れるようになってしまった。それが郵政選挙における自民党の大勝や、先の総選挙における民主党の大勝へとつながったのだ。
大政党に有利な選挙制度は、国会議員の質の低下を招く。小泉チルドレンや、現在の民主党議員を見ればそれは明らかだ。
そもそも、このような二大政党制は現在の時代状況に全く適していない。21世紀の現在においては、価値観は多様化し、国民は様々な見解を持つようになっている。それ故、二大政党制では少数派の人達の声を汲み上げることができないのだ。
アメリカでは、州ごとに選挙制度が異なっている。それぞれの州における伝統や価値観を尊重しているからだ。ニュー・ハンプシャー州では、要件を満たせば1000ドルの登録料で投票用紙に名前が記載されるそうだ。アメリカの活力というものは、このようにして多様性を尊重するところにあるように思う。これは見習うべき精神であろう。
―― 具体的に、どのような選挙制度に改正すべきであるか。
中村 ドイツで導入されている、小選挙区比例代表連用制が参考になる。連用制では、有権者は2票を有し、小選挙区では個人候補に、比例区では政党に投票する。全議席は政党の得票数に応じて配分され、各政党内において小選挙区で当選した人に優先的に議席が与えられることになる。これにより現行制度よりも民意を反映することができる。
前回の衆院選が連用制で行われていたとすると、民主党の獲得議席数は232となって過半数に満たないことになる。他方で、公明党や共産党、みんなの党は倍増し、社民党や国民新党も議席を伸ばすことになる。
選挙制度の改正には憲法改正は必要ないため、民主党がその気になればできるはずだ。選挙制度というものは、金科玉条のごとく守っていくべきものではない。時代と共に変化すべきものである。
二大政党制が機能していないのは、何も日本だけのことではない。イギリスやアメリカにおいても二大政党制は機能しなくなっている。日本もドイツのように、少数派の意見も汲み取った、真の意味での連立政権を目指すべきであろう。
次回の総選挙には新たな選挙制度で臨むべきであるが、それが無理というのであれば、最低限、一票の格差で問題となっている定数是正を通常国会で実現した上で、解散総選挙を行うべきであろう。
―― 総選挙が行われた場合、「大阪維新の会」がどのような動きをとるかが注目される。
中村 大阪維新の会は若い世代の人々から大きな支持を得ている。仮に大阪維新の会がみんなの党と手を結べば、30から50くらいの議席をとることができるかもしれない。
細川連立政権が誕生した時、細川総理の所属する日本新党の議席数は35であった。それ故、大阪維新の会も30を越える議席を獲得すれば、あるいは橋下市長が総理の座を狙うこともできるかもしれない。
いずれにせよ、もはや一つの政党が単独で過半数をとる時代ではない。連立政権は決して批判されるべきものではない。連立を国民の将来のために活かしていく知恵を絞るべきだろう。(以下略)
*本稿は編集部の許可を得て投降しています。
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