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東京地裁は、今週末17日に、公判中の小沢裁判での検事調書の証拠採用について、その決定を下す予定である。だが、公判での弥永筑波大学教授の会計学上の証言や、石川知裕元秘書の取り調べに当たった、田代検事が捏造した報告書が、検察審査会に提出された事実が明らかになったことなどから、法曹人の多くは、この裁判は公訴棄却になって然るべきだと考えている。その声をマスコミが伝えないだけである。
処で、陸山会事件公判で、同じく東京地裁の登石裁判長が、検察調書の多くを証拠として不採用したにも拘わらず、石川氏など3人の元秘書に有罪判決を下したことに、法曹人を含め多くの人は驚きを隠せなかった。確かに裁判官は、自らの心証に基づいて判決を下すことができるのだが、証拠も無いのに、裁判長の個人的な推認だけで有罪を下したのは、通常なら裁判官として「自殺行為」だと言える。
登石裁判長が、敢えて「自殺行為」とも言うべき判決を、なぜ下したのか。最近、その理由について、ネットでは最高裁の事務総局の指示によるものだと書かれている。最高裁の事務総局とは、判事の中のエリートよりなり、判事の人事を所管している。判事として北海道とか沖縄石垣島など、地方裁判所を転々とするだけで一生を終わるか、高裁判事に出世するか、すべてそれはこの事務総局での人事考課によるようだ。
最高裁の事務総局が指示したかどうか、筆者は承知しない。だが、客観的に見て、登石裁判長個人の考えだけで、あのような自殺行為的な判決を下したとは考えにくい。3人の元秘書に無罪判決を下すと、多くの検察調書が証拠として却下された状況下では、検察による控訴は難しかった。逆に言うと、共謀罪で検審起訴された小沢氏の裁判は、その共謀行為が無実となっていたのでは、公判を維持できなくなる。
それを避けようとした浅知恵で、3人の元秘書に有罪判決を下すよう、誰かが指示したのだろうが、これがとんでもない【やぶへび】になった。公判で明らかになったのは、田代検事による捏造報告書だけではない。東京地検特捜部が1年以上もかけて、建設業者を取調べたメモ(=裏金が無かったことを証明するもの)が70通もあり、それが検察審査会に提出されていなかったことまでが明らかにされた。
しかも東京地検は、小沢弁護団が検察審査会の議決の有効性を争うために、地検が検審会に提出した捜査資料のリストを、大善裁判長を通して照会したのに対し、その提供を拒否した。東京地検がどのような理屈を並べようとも、これにより東京地検が、被疑者に有利な証拠を隠し、不利な証拠のみを検審会に送り、その議決を操作した疑惑が濃厚になった。多くのマスコミはそれに目をつぶっている。何が社会の木鐸だ。
大善裁判長が、刑訴法第279条「裁判所は、検察官、被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる」に基づき照会し、それを東京地検が拒否した。そう理解するが、この法律に強制力はないのか。それとも検察は無法が許されるのか。それを許した裁判長の訴訟指揮に重大な疑惑を抱くのだ。「大善、お前もか!」である。
今回、指定弁護士から提出された、建設業者を取り調べた検察のメモ70通は、元秘書の公判では明らかにされていなかったものである。ここで登石推認判決文を思い出して欲しい。そこには「小沢事務所は天の声を出した」という一節があった。もし、一社でも建設業者が「天の声」があったと述べたなら、検察はそれを元秘書の公判で出したはずだ。だが検察は、「小沢シロ」の証拠なので隠蔽したのであった。
おそらく登石裁判長に指示した者も東京地検も、この70通のメモを隠し通せると思っていたのだろう。前田元検事が公判でこのメモのことを証言し、指定弁護士も隠すことをしなかった。この辺りが、仕組まれた事件だからこその「ボロ」が出た、と筆者は見ている。
さてこのような状況下で、大善裁判長が公訴棄却するのだろうか、それともでっち上げ証拠を採用して、公判を維持するのだろうか、どちらだろう。日本の司法が腐っているか、それとも少しは正常な働きをするのか。17日に、ある程度のことが分る。筆者は、司法が腐っていないことを祈るが、賭けるなら「腐っている」方に賭ける。
http://www.olivenews.net/news_30/newsdisp.php?m=0&i=1
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