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増税は亡国への道だ!! 産経新聞社編集委員兼論説委員 田村秀男
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『月刊日本』11月号
増税を正当化する財務省の詐術に騙されるな!
―― 政府は、総額11兆2000億円の増税案に沿って、復興財源関連法案の作成を進めようとしている。
田村 財務省は、日本の財政を家計に例えると、「政府の公債残高が平成23年度末に約668兆円に上り、月収40万円の一世帯あたり6661万円ものローンを家計が抱えていることになる」、「これ以上の借金を将来の世代に残してはいけない」などと述べ財政危機の深刻さを強調する。だが、この詐術に騙されてはいけない。
財務省は、政府の借金ということになると、それを所管している財務省の責任が問われる。そこで、政府の借金ではなく、あなた方国民の借金なのだ、とすり変えることで責任を回避しようとしている。そして、あなた方の債務なのだから、ショバ代をもっと払いなさいという理屈で、増税を正当化しようとしているのだ。
日本の政府債務は、例えばギリシアなどとは根本的に違う。ギリシアの場合には7割が海外からの借金だが、日本の場合には、政府債務といっても95%が国内からの債務だ。これは日本人の貯蓄であり、我々は一家計当り、6661万円×0・95=6387・95万円の債権、つまり金融資産を政府に対して保有しているということなのだ。
銀行でもそれ以外の企業でも、債務超過になったら、まず自分の身から削っていく。公務員の給与削減も当然のことなのだ。ところが、民主党政権はまんまと財務省に乗せられてしまい、公務員給与2割カットという公約についても、いつのまにか口をつぐんでしまった。
財研(財務省の記者クラブ)の記者たちは、財務省の主張に乗せられてしまっている。この結果、マスコミを通じて財務省の見解が国民に流布し、記憶脳に刷りこまれていった。政治家や学者も財務省の言い分に乗せられている。震災後まもなく、日本経済新聞の「経済教室」に東大の伊藤元重・伊藤隆敏両教授が連名で論文を書き、復興増税に賛成しようと他の経済学者たちに賛同を呼びかけ、署名活動を展開した。私は、「それでもアカデミズムか」と強い疑問を感じた。
―― 公務員の給与カットだけで財源は賄える。
田村 給与を2割カットすれば年間1兆円、10年間で10兆円の財源が確保できる。増税などしなくても財源は確保できるのだ。腹が立つのは、経済も財政も金融も知らない議員たちが財務省の言いなりになっていることだ。本来、政治家の役割は有権者、特にこの場合には債権者である国民を代表して国会でものを言うことだ。その役割を政治家たちは放棄してしまっている。
次に待っているのは消費税増税だ
―― 野田総理が月刊誌『Voice』10月号に発表した「わが政治哲学」という政策論文は、財務官僚が書いて、民主党税制調査会会長の藤井裕久氏が監修したと言われている。
田村 野田総理は、この論文で財務省と同様に「これ以上の借金を将来の世代に残してはいけない」と繰り返している。安住淳財務相らも同じ表現を使っている。財務省OBの民主党議員も少なくない。野田政権の経済財政・国家戦略担当相にも、大蔵省(財務省)出身の古川元久氏が就いた。彼らは財務省の代弁者にしか見えない。
―― 国民は増税には反対だが、3・11の大震災の復興・復旧のためには増税やむなしという意見も多い。
田村 だが、ここにきて増税反対の意見が増えてきている。日本経済新聞は増税のお先棒を担ぐキャンペーンをやってきたし、いまでもそれは変わっていない。ただ、その日経とテレビ東京が9月30日〜10月2日に実施した世論調査では、増税に「反対」が52%となり、「賛成」の39%を上回ったのだ。
―― 田村さんが財務省のインチキを暴露したことは大変勇気あることだ。ほとんどのマスメディアが増税賛成に傾く中で、産経新聞などごく一部の新聞が増税反対を主張している。国民もようやく財務省の詐術を見ぬきつつあるのだろうか。
田村 財務省の目的は、国民を増税慣れさせて、増税アレルギーをなくしてしまうことなのではないか。次に待っているのは、税と社会保障の一体改革であり、それは消費税増税だ。時期は2010年代半ばとぼかしているが、2013年には決めようというシナリオで動いている。しかも、税率は10%では留まらず、15%、20%と上げていこうとしている。これに民主党が乗っているだけではなく、自民党もすでに消費税増税を言ってしまった。だから、いまさら自民党も反対しにくい。
問題は、現在の経済状況の中で増税することの弊害の大きさだ。デフレで、円高がどんどん進行する中で、経済がじわじわ縮小していっている。財務省の論理ではこの状況を改善できないどころか、逆に状況を悪化させてしまう。
日本経済をどうするという思想がないまま、財政の論理だけで、増税論が唱えられている。
橋本政権の増税でGDPは六〇兆円も減った
―― 橋本政権時代の1997年に3%だった消費税が5%に上げられ、社会保険料も上げられた。この増税以降、日本のGDPは減り始めた。
田村 橋本政権時代の日本のGDPは510兆円だったが、現在450兆ほどに低下している。
―― 橋本政権の増税の教訓からなぜ学ぼうとしないのか。
田村 与謝野馨氏が税と社会保障の一体改革をまとめた際、経済分析的な裏づけをするため、東大の吉川洋教授が提言を書いた。驚くことに、吉川氏は、橋本政権の増税や緊縮財政は日本の景気後退と関係がないと主張しているのだ。景気後退の原因は、アジア通貨危機や山一証券の破綻だと説いている。この説明は時系列的におかしい。アジア通貨危機が深刻になったのは1997年度の年度後半であり、山一ショックが起きたのも、同年秋のことだ。景気後退は、すでに橋本政権の緊縮財政と1997年4月に実施した消費税増税によって引き起こされていたと見るのが自然だ。橋本政権の増税が家計に与えたインパクトは、極めて大きなものだった。消費税増税が5・2兆円、特別減税打ち切りが2兆円、社会保障費の引き揚げが0・6兆円、医療費の負担増が0・8兆円。家計の負担は、合計8・6兆円増加した。
そして、当時よりもGDPが縮小している現在、10兆円以上の増税をすれば、家計に与えるインパクトはもっと大きい。さらに恐ろしいのは、タイミングが欧州金融危機の進行と重なっていることだ。いまや、欧州金融危機の影響は韓国にも波及している。欧米の金融機関が外貨を引き上げてしまい、韓国は資金ショートに陥っている。
―― 1997年のアジア通貨危機と似た状況だ。
田村 アメリカ経済も一向に良くならない。中国もバブル崩壊の危機に直面している。こうした時期に、日本が増税すれば、世界中身動きがとれなくなる。
―― なぜ、財務省は間違いに気づかないのか。
田村 財務官僚は、ある種の遺伝子として、増税が自分たちの立場を強くすると考えているとしか思えない。こうした財務官僚の習性は、万国共通かもしれない。
例えば、イギリスはチャーチルのときにナチスとの戦いに備えて軍事予算を拡大するため、有事という理由で、財務大臣を閣議に出席させなかった。サッチャーのときのフォークランド紛争のときも財務大臣を閣議から外したという。
東日本大震災に遭った日本はまさに有事だ。しかもデフレの真っただ中にある。したがって、有事だという認識を持って、政治主導で政策を決めるのは当然だ。(以下略)
*本稿は編集部の許可を得て投降しています。
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