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2012-02-12
深部探査船「ちきゅう」が東海・東南海連動地震の震源域を掘削
地球深部探査船「ちきゅう」は、東日本大震災で人工地震を誘発した疑いがもたれていますが、再び動き出しました。今月14日から、愛知県渥美半島沖の東部南海トラフ(海盆)で掘削するというのです。ここは、東海・東南海地震の震源域とされている場所です。そんな場所を刺激してよいのでしょうか?
朝日新聞は、2月10日付でこう報じています。(http://www.asahi.com/national/update/0210/NGY201202100018.html)
メタンハイドレートの採掘試験に使われる地球深部探査船「ちきゅう」=静岡市の清水港
メタンハイドレート掘削へ12日出港 渥美半島沖へ 新しい天然ガスとして注目されるメタンハイドレートを世界で初めて海洋で試掘するため、静岡市の清水港に寄港した地球深部探査船「ちきゅう」が10日、報道陣に公開された。12日に出港し、国内でも有数の埋蔵量があるとされる愛知県渥美半島沖へ向かう。 ちきゅうは全長210メートル、幅38メートルで、海底から地中へ7千メートル掘る能力がある世界最高水準の探査船。波や風を受けても、高い精度で船を同じ位置に保つことができる。 試掘をするのは石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)などで、出港後にメタンハイドレートが埋まる東部南海トラフ(海盆)の海域へ向かい、14日朝から約40日かけ、海面下約1200〜1400メートルの井戸を計4本掘る。 「ちきゅう」の掘削能力は10キロと言われていますが、ここでは「7千メートル」となっており、実際にはそこまで深く掘れないようです。採掘スピードも、40日で1200〜1400mの井戸を4本ということですから、一日当たり最大で140m掘ることができるようです。 東日本大震災では、震源地に核爆弾を埋め込んで爆発させ、地震を誘発したと言われていますが、「ちきゅう」が能力ギリギリの7000m掘って爆弾を埋め込んだとしても、50日も掘り続ける必要があります。これでは時間が掛かり過ぎですし、この時の震源の深さは24キロ(当初は10キロ)とされていますから、このシナリオには些か無理があります。 また、YouTubeの動画の中で、「ちきゅう」の掘削操業監督が、「人工地震等を発生させまして、その地震波を測定するための装置です」と紹介しているシーンがあり、これが「ちきゅう」犯人説に一役買ったのですが、この装置は地層の性質を計測するもので、地震自体を引き起こす代物ではありません。(一見して貧弱な装置で、とてもそんな能力があるとは思えません) 実際にはこの装置は、他の船からエアガンによって発射された音波を測定するもので、一回に放出される圧搾空気は最大24リットルだそうですから、とても大地震など引き起こせそうもありません。公表された資料による限り、「ちきゅう」犯人説は成り立たないのです。(人工地震は別の方法でも可能ですので、人工地震説を否定しているわけではありません) とは言え、「ちきゅう」による掘削が危険であることには変わりありません。歪みが溜まっている場所へ穴を開けて刺激するのですから、何らかの影響が出てくる可能性は否定できません。「JAMSTEC地球深部探査センター」のHPに、この点に対するQ&Aが掲載されています。(http://www.jamstec.go.jp/chikyu/jp/QandA/index.html) 質問: 「南海トラフ地震発生帯掘削計画」についてテレビで知りました。「ちきゅう」は科学史上初めて巨大地震の震源まで掘削し、そこを直接観測するということなのですが、逆にこの掘削による影響で、巨大地震を誘発してしまうようなことはないのでしょうか。 これに対するIODP推進室の倉本真一氏の回答は、次の通りです。 掘削が巨大地震を引き起こすキッカケになるのではないかというご質問ですが、その背景には、地震のメカニズムの説明に2次元的な地下の断面でアスペリティーと呼ばれる地震の核になるような部分があり、そこで最初のスリップ(破壊)がおこる事によって巨大地震が引き起こされる、というモデルが最近良く説明されるようになった事にあると思います。 地震は断層運動として捉えられていますが、その断層運動のエネルギーは断層面で接した所での歪(ひずみ)の蓄積と考えられています。その歪(ひずみ)は断層面の摩擦強度に依存していて、特に地震の時にのみ動く場所を「アスペリティー」と呼んでいます。(アスペリティーを直訳すると「でっぱり」というような意味となります。)このアスペリティーでの摩擦強度が弱まる現象が起こったときに地震が発生します。 結論としては、掘削によって巨大地震が引きこされることはありません。掘削が仮にアスペリティーを掘削したとして、アスペリティー全体の破壊を進行させるような影響、特にアスペリティー内の圧力を上昇させ、破壊を引き起こす事(摩擦強度が小さくなる)とは、掘削は逆のセンス(圧力は下がる)ですし、何よりもスケールとしてはアスペリティーが数十キロオーダーあると考えられているのに対して、掘削孔は直径20センチメートル程度ですので、針でつつくよりも小さい穴をあける事と同じです。全く無視できると考えてよいかと思います。「ちきゅう」は、掘削前に様々な探査技術を使って、地下の状況を特定し、その上で掘削計画を立案し、様々な専門家の評価を受けて行っています。 (下線は引用者による) 「針でつつくよりも小さい穴をあける事と同じ」とありますが、これで納得できる人がいるとは思えません。ガイア説を持ち出すまでもなく、地球も生きているわけですから、思いもよらない結果を招来しないとも限りません。人間の場合でも、4本も針を刺されたら飛び上がるでしょう。現代人(特に科学者)は、昔の人が持っていた万物を同一視する感覚を失っているので、こうした懸念には無頓着なようです。 そもそも、東海・東南海・南海連動型地震が懸念されている今、こんな試掘をする必要があるとは思えません。「JAMSTEC(独立行政法人海洋研究開発機構)」は独立行政法人であり、こんなところでも無駄遣いが行われているのです。 政府は、東海・東南海等の大地震に警鐘を鳴らす一方、震源域を刺激する試掘を行うのは支離滅裂です。これで実際に地震が発生したら、また疑われることになります。(当分の間、警戒する必要があります) 「ちきゅう」の船籍は横須賀港で、外国人が多数乗り込んでいますから、政府の目の行き届かないところで勝手に事が進められているのかも知れません。国会の場でも、追及されるべきでしょう。
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2012-02-12
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