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小沢一郎だけじゃない! 民主党「政治とカネ」問題にとどめを刺す マル秘内部文書の封印を解く
http://news.nifty.com/cs/magazine/detail/sapio-20110110-01/1.htm
(SAPIO 2010年12月22日・2011年1月6日号掲載) 2011年1月10日(月)配信
文=松田賢弥(ジャーナリスト)
2011年1月に召集される通常国会に向けて野党は攻勢を強め、菅政権の舵取りは困難を極めている。
先の臨時国会では、外交課題への対応の未熟さや、小沢一郎・元民主党幹事長の国会招致を実現できない統率力の欠如が露呈された。では、仙谷由人・官房長官を更迭する内閣改造というようなやり方で、政権の直面する諸問題は解決するのか。答えは「否」である。
民主党はある「根本的な問題」を抱えている。それは政権交代を実現する裏側にあった「政治とカネ」の問題である。民主党は自らの政治資金に関する重大な疑惑を闇に葬ろうとしているのだ。その一端を示す〈内部文書〉が存在する。入手した文書をもとに、政権の正当性すら揺るがしかねない「民主党・最大のタブー」にジャーナリスト・松田賢弥氏が斬り込む。
2010年11月末に、09年分の政治資金収支報告書が公開された。そこで、民主党に新たな「政治とカネ」の問題が浮上した。
これまで私は『SAPIO』誌上でのレポートで複数回、民主党の「組織対策費」の問題について言及してきたが、新たに同じ名目で5億4000万円ものカネが計上されていたことが判明したのだ。
組織対策費とは、政治資金規正法上の「組織活動費」の中の項目のひとつ。支出を受けた議員側の手書きの領収書さえあればそれ以上の使途の説明は不要とされる。議員個人の所得ではなく政治資金のため、議員側には税務申告をする必要もない。
早い話が、最初に受け取った議員の領収書が一枚あれば、「使途を明らかにしないで済むカネ」が無尽蔵に捻出できるのだ。そこから先、何に使われたのか不明のため、裏ガネと言うべき性格のものだ。
09年の民主党の収支報告書で記載されていたのは、佐藤泰介元参院議員(当時・党財務委員長)、輿石東参院議員会長の2人の幹部に対する、計5億4000万円の支出だ。しかも、その95%にあたる5億1500万円が政権交代となった09年8月の衆院選の投票日から遡ること約3か月間(5〜7月)に集中して支払われていた。ざっと記すと、
5月29日 1億円
6月22日 2億円
6月29日 500万円
7月13日 2億円
7月21日 1000万円
衆院が解散したのは7月21日。この細かい使途を明らかにしなくていい約5億円が、都合よく選挙のために使われた可能性は高い。
しかし、問題はこれだけにとどまらなかった。
■「鍵と暗証ダイヤル」つきの耐火金庫から現金を出し入れ
手元にA4判で30数ページにわたる、民主党の内部文書がある。
2010年6月に財務委員長となった小宮山洋子のもとで、民主党がこの組織対策費について外部の公認会計士の協力を得て独自調査したもので、「秘」の印が捺してある。これによると、前述したように、組織対策費名目で支出されたのは、2009年は5億4000万円。07年1月〜2010年5月までの約3年半で支出されたのは、総額約36億円にものぼる。
民主党は、今をもって、この巨額の“使途不明金”について口を閉ざそうとしている。詳細は後述するが、内部調査の報告書では、事細かに組織対策費の問題点が指摘されている。党や政権の幹部たちは、この問題を知り、認識しながら今に至るまで内部調査の結果をオープンにしていない。
触れられたくない「タブー」なのだ。
以下、報告書をもとに組織対策費の概要を追っていく。
まず鍵となるのが党の「財務委員長」というポストだ。
06年4月、小沢一郎が党代表に就任、同9月に再選された。その直後、新設された「財務委員長」ポストに、山岡賢次(現副代表)が選任された。以降、2010年5月まで、山岡とその後任の財務委員長の佐藤に、約36億円の組織対策費の大半が支出されていた。
では組織対策費は、財務委員長に対して、どのように支出されていったのか。内部調査の報告書には、〈財務委員長口口座の存在〉という項目があり、そこに詳しく書き込まれている。
〈当時の民主党財務委員長であった山岡賢次代議士から「財務委員長」口座とは別に「財務委員長口」口座を開設するよう指示があり、その指示を受けて口座が開設された〉(内部調査報告書からの引用、以下同)
まず、党の正式口座である「財務委員長」口座とは別の口座が開設されたというのである。この「財務委員長口」口座は、りそな銀行衆議院内支店に普通預金として、06年12月27日に開設され、その翌日に10億円がこの口座に入金されたと記されている。
入金されたカネはその後、次のような流れを辿る。
〈年間10億円から20億円程度の資金が本部資金より入金され、不定期に毎回数億円程度の資金が現金引出されている。(中略)引き出された現金は、民主党本部10階の財務委員長室内の耐火金庫に納入され、この金庫から様々な現金支払いがなされていく〉
この“様々な現金払い”が、組織対策費そのものだった。
〈財務委員長室内金庫から出金される資金の使途中最大のものは組織対策費である〉
つまり整理するとこういうことだ。
組織対策費は「財務委員長口」口座から直接支払われていたのではない。いったん、引き出されたカネが財務委員長室にある金庫に納められ、そこからカネが支出されるのだ。こうすることによって、一つ一つの支出に党の決裁は必要なくなるし、口座の通帳に細かい出金記録が残ることもない。カネの流れ、支出の実態が外部からは限りなく把握しづらくなる。しかもカネの入った金庫については、
〈耐火金庫は鍵と暗証ダイヤルの合致によってのみ開扉され、(中略)暗証番号は民主党財務委員会部長と財務委員長だけが知っている〉
という厳重な“管理”の様子が明らかにされている。報告書はこうまで断じている。
〈財務委員長口資金は、その資金量の巨大さ、並びに、管理手続きの不備の両面において小口現金の要件を満たすことができず、会計上の簿外資金に該当する〉
繰り返すが、これは民主党の内部調査の結果である。他にも〈民主党の組織対策費はその99%が使途不明金〉という記述さえある。ここまで詳しく問題を認識しながら、頬被りしているということに、改めて驚かざるをえない。
■躍進した選挙の度に巨額の使途不明金
さらに問題なのは、この原資に公金が使われていたことである。
〈使途不明金としての組織対策費は民主党の一般会計で処理されている。民主党の一般会計の主たる財源は公金たる立法事務委託費〉
立法事務委託費とは、国会議員が立法調査研究活動を行なうための経費で、国会議員1人あたり毎月65万円が各政党に支払われていく。原資はもちろん、国民の税金だ。
また、民主党には、党の財政を支える、潤沢な政党助成金がある。09年、民主党に支給された政党助成金と立法事務委託費の総額は約159億円で、党の収入全体の約97%を占める。自民党(約81%)、公明党(約22%)など、他党と比べても突出して高く“公金政党”と言っていい。その意味では本来、他党以上に、税金を原資とするカネの使途の説明に、敏感であるべきだ。
しかし、この内部調査の報告書は今もって、公表されていない。これは、理解に苦しむことではないか。
小宮山洋子は8月、組織対策費の使途について、党内で調査していることに触れ、こう話している。
「(調査は)今までの支出全体です。(既に一度)専門家の目を通っているわけですが、執行部が代わったわけですから、そこは新しい目で見てもらっているということです」(2010年8月2日付、毎日新聞朝刊)
ところが、このインタビューの直後、小宮山は、09年に約5億円もの使途不明金を出した当事者である佐藤元財務委員長から、電話でこう激しく詰め寄られたという。
「私が話したら党がぶっ壊れるぞ。墓場まで持っていく話なのに、それでいいのか」(同10月26日付、毎日新聞)
党がぶっ壊れる、とはどういうことか。ここに、菅、仙谷、岡田ら党執行部がひたすらこの問題、報告書を封印しようとする理由が垣間見える。
2007年の統一地方選、参院選を足がかりに、09年に民主党は政権交代を成し遂げた。しかし、内部調査の報告書にまとめられた、組織対策費の支出の日付を見ていくと、それらの選挙の度にカネが動いていたことがわかる。
07年の年初から、統一地方選が行なわれる4月8日までの間、山岡へ出金された組織対策費は計5億円(1月24日に1億円、2月12日に1億5000万円、3月5日に2億5000万円)。さらに、そこから7月29日の参院選までの間では計9億円(4月10日に1億5000万円、4月20日に1億円、5月8日に1億5000万円、5月25日に5000万円、6月5日に2億5000万円、7月9日に2億円)となる。
躍進した選挙の度に、巨額の使途不明金が生まれているのだ。この手法を主導したのは、小沢であるが、約3年半で総額36億円もの使途不明金を生み、その多くが何らかのかたちで選挙に使われているのであれば、これは民主党の政権そのものの正当性を揺るがしかねない。
つまり、小沢の問題に留まらず、民主党全体の問題になるのだ。幹事長の岡田克也は、2010年9月22日の会見でこう語っている。
「過去の執行部が行なった手続きについてさかのぼって問題にするのは、行き過ぎではないか」
岡田は、幹事長就任当初、組織対策費の使途について、調査する意向を示していた。この発言は、明らかな後退と言うしかない。
なぜ、この内部調査報告書の内容を含めた問題の実態を公表・説明しないのか民主党に問うと「党の政治資金は法に則り処理されて公開されている。問題があるとは承知していない」との回答だった。
これは、小沢招致を見送った問題にもつながる。民主党にとって、もし使途不明金の全貌が明らかになれば、それによって受ける批判は小沢に対してのみにとどまらない。
菅は当初、「党のカネを使って、自身の勢力拡大を図るのは問題ではないか」と、口にしていたが、いまや及び腰だ。確かに小沢は06年で約30名だった自身のグループのメンバーを約150人にまで、拡大させている。しかし、36億円が小沢グループだけに使われたのか。また、小沢自身には、還流していないのか。
民主党が36億円もの使途不明金の解明に手をつけず、この報告書を封印したままにしようというのであれば、ますます国民の政治への信頼は失墜するだろう。(文中敬称略)
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