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http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120209/mca1202090505010-n1.htm
野田内閣は消費税増税を重要政策の中心にとらえて、政府、民主党は2014年4月にまず消費税を8%に引き上げるとしている。その際、低所得者層を中心に現金を1人当たり1万円支給する案の検討にも入っている。野田佳彦総理は1月24日の施政方針演説でこの点に言及し、2015年10月には10%まで引き上げることも明言している。
確かに、40兆円程度の税収で90兆円の歳出を支えている今の予算構造が長続きするはずもなく、いずれ消費税を中心とする増税はやらなくてはならない政策だ。国際累積残高はGDP(国内総生産)の200%を超える勢いで、先進国で最悪。国民の金融資産残高が大きいので、今のところ財政危機にはなっていないが、このままの状況が続けば、5〜10年後には危機的状況になってしまうだろう。
折から、貿易収支も赤字になってしまってきている。双子の赤字が続けば、日本売りさえ誘発しかねない。このところ円高が問題になっているが、「悪い円安」、つまり日本売りを伴った円安は、円高以上に問題だ。アメリカはドルが基軸通貨なので双子の赤字を続けても当面、問題にならないが、アメリカ以外の国では継続的な双子の赤字は経済の急激な弱体化につながりかねない。
こうした状況では、財政の再建、つまり歳出の削減、あるいは歳入の増大が長期的には重要な課題になる。この意味で、野田総理が推し進める社会保障と税の一体改革は必要かつ適切な政策だということができるのだろう
二番底の懸念も
ここまではいい。しかし問題は、消費税増税のタイミングだ。日本銀行の経済見通し(1月24日の金融政策決定会合でのもの)によれば、2011年度の実質GDPはマイナス0.4%。12年度は2.0%に回復するとしているが、欧州の債務問題が「世界経済の下ぶれをもたらす可能性がある」ともしている。当面はマイナス成長、来年度も不透明という診断だ。
アメリカ経済は「一部に底堅い動きもみられる」との日銀の判断だが、アメリカの景気回復が持続可能かどうか定かではない。欧州危機がいずれ悪影響を及ぼす可能性は低くない。中国、インドなどの新興市場国からも資金が流出し、その成長率もかなり下がりつつある。どうも欧州に端を発する世界同時不況が進行している気配だ。とすれば、2012年度の日本経済の2.0%成長予測は楽観的すぎることになる。
リーマン・ショック後の2008年度と09年度、日本の経済成長率はマイナス3.7%、およびマイナス2.1%まで落ち込んだが、世界同時不況ということになれば、2011年度以降、二番底をつける可能性も決して低くない。今の段階でマイナス成長が続くと断言できるわけではないが、先行きが極めて不透明だということは確かである。
当面は様子見が得策
とすれば、現段階で2014〜15年度の増税を明言し、しかもそれを法案として通すというのはいかがなものか。景気の状況についての条件をつけるということは可能だろうが、2011年度がマイナス成長になることでもあり、しばらく状況をみるのが得策ではないだろうか。景気後退期、しかも世界同時不況の時の増税というのはあり得ない選択である。
いずれ消費税を上げざるを得ないということは筆者だけでなく、多くの国民が理解しているところである。中長期の財政再建計画を作っておくのはいい。しかし、増税時期を2年先、3年先と今から明記するのは問題ではないだろうか。
政府には中長期的な計画を作ると同時に、短期の経済状況をモニターし、適切な政策を打つ責任もある。先行き不透明な中で、正論とはいえ、増税を急ぐべきではないだろう。(青山学院大学教授・榊原英資)
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【プロフィル】榊原英資 さかきばら・えいすけ 東大経卒、1965年大蔵省入省。ミシガン大学に留学し経済学博士号取得。財政金融研究所所長、国際金融局長を経て97年に財務官就任。99年に退官、慶大教授に転じ、2006年早大教授、10年4月から現職。70歳。神奈川県出身
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