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能登半島の日本人拉致の“現場”で、自衛隊の調査隊員が見たものは、
石川県警が、一般人が“拉致現場”に近寄らないように、周辺を警戒
する行動に徹していて、最後には拉致を積極的に看過してしまった!
という、絶対にあってはならない衝撃的な「事件現場」の情景であった。
この悲痛な訴えを自衛隊の調査隊員から聞いた三島由紀夫は、
彼ら自衛隊の調査隊員の訴えには直答せず、
「保利さんに相談してみる」と答えただけだという。
保利さんとは、当時の保利茂官房長官のことだ。
三島由紀夫が、石川県警の「拉致協力行為」を保利茂官房長官に相談した
かどうか? 相談結果はどういうものだったのか?
このことの情報は不明である。
不明ではあるが…、
三島由紀夫が、石川県警に「拉致協力行為」を命じたに違いない時の政府
のトップシークレットを統括するトップ(官房長官)に相談した結果は、無残!
ということだったことは確実である。
無残とは「無慚」とも書き、「僧が罪を犯しながら心に恥じる所の無いこと」を
いう。つまり、非常にむごたらしい事象を無残という…。
保利官房長官は、「拉致協力行為」を命じた政府のトップである。
簡単にいえば、北朝鮮の日本人拉致にかかわった日本側の「主犯」である。
この「主犯」に対して、三島由紀夫が、
「北朝鮮の日本人拉致に石川県警が協力している! 知っているか?」
と詰問しても、「主犯」は驚いたフリをしながらも、呵々大笑して誤魔化した。
こうして…、
保利茂官房長官は慇懃無礼(いんぎんぶれい)で無残な態度で、三島の直訴を
軽く受け流したのである。
これはこれで当然のことである。
なにしろ「主犯」なのだから…。
しかし、三島由紀夫は知ってしまった。
北朝鮮の日本人拉致に石川県警が協力している!
日本政府にも、拉致を看過せざるを得ない「特殊事情」がある!
「日本」を死ぬほど愛してやまない三島由紀夫は、怒り心頭に発していた。
絶対に許せん! こんな警察、こんな政府では日本が滅びる!
三島由紀夫の「憂国の激怒」はおさまらない。
当然である。
政府と警察が共謀し、自国の無垢の民を、他国に拉致させるのだから!
このような政府ぐるみの売国・亡国の暴挙は、絶対に阻止せねばならない!
何をすべきか?
クーデタしかない!
自衛隊に決起を呼びかけよう!
こう短絡的に考えた三島は、市ヶ谷の陸自・東部方面総監部に向かった。
総監を人質にした後、三島由紀夫はバルコニーに立ち、自衛隊員たちに
ともに決起することを促し、クーデタを呼びかけた。
バルコニーの上から、三島由紀夫は叫びつづけた。
しかし…、
三島の演説は、聴衆の騒然と、ヤジに掻き消されて聞こえなかった。
これは、マイクとスピーカの準備をしなかったので当然である。
軍人・三島由紀夫の、軍人らしからぬ準備不足だけが目立った。
軍人らしい冷静さと、沈着さも不足していた。
バルコニーの上で、三島は、いいしれぬ怒りに震えていた。
その怒りは凄まじく、激怒!というよりも、憤怒!という言葉が相応しい。
あの頃、あの時…、
三島由紀夫は、いったい、何に対して激怒していたのか?!
三島由紀夫の壮絶な自決のあとも…
日本政府は、拉致問題を無視し続けた。
拉致問題を自らの力で解決していこうとする姿勢など、微塵もなかった。
いたずらに時が流れ…、
拉致問題が世の注目を集めたのは、2002年の小泉訪朝以降である…。
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