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1月24日から通常国会が始まり、野田内閣が消費税増税を色めき立ってやろうとしている。アメリカのいいなりで新自由主義改革をすすめた自民党政府が倒されて登場した民主党政府はすべての公約を投げ捨てて開き直って暴走している。やらないといっていた消費税の増税、米軍普天間基地の辺野古移転をやり、その上に国家主権の放棄を意味するTPPを強行しようとしている。自民党がやっても民主党がやっても、みなアメリカ金融独占体と日本の財界の代理人であり、国民の生活や安全とか国益などは踏みにじるほど手柄になると見なしている姿をあらわしている。そして「日共」集団や社民党などの政党、労働組合の連合などが民主党政府の与党か協力者になって、全国民的な政治斗争を率いる意志も能力もない。まさに民族の危機が進行するなかで、これを黙ってみているわけにはいかない。野田売国政府の暴走に対して、全国的な政治斗争が噴出する機運は大きくなっている。
2014年4月に税率8%
野田首相は施政方針演説のなかで、消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%へと引き上げることや、そのための関連法案を3月末までに国会に提出することを発表した。関連して独立行政法人を120から60に削減することや、公務員給料を20%カットすること、国会議員の定数削減も打ち出した。自民党政府の頃から長年にわたって手をつけることができなかった本丸の消費税増税を「逃げずにやる!」と叫んでいる。「逃げるな」といっているのはアメリカと財界である。
同日に内閣府が閣議で公表した試算では、消費税率を10%にしても将来的には国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)では16兆6000億円(消費税6%分)の財源が不足して赤字になると主張しはじめた。要するに16%にすることが望ましいが、当面は10%で我慢するのだという意味合いの見解を示した。
消費税対応のために抜擢された岡田副総理は、「(年金制度改革のために)必要な財源は今回の10%には入っていない。さらなる増税は当然必要になる」と発言。公的年金の最低保障もするからその分は10%を上回る増税によって国民が痛みを分かち合えという理屈を展開した。さらに民主党の公約については棚に上げつつ、「公約で自民党は2015年に10%といっているのに、賛成しないのはおかしい」といい、衆院を解散して総選挙で信を問うことについては、「どちらが政権をとっても増税するなら、なんのために信を問うのか。選挙をしている時間はない」と主張してはばからない。
この間、政府が増税の理由にしているのが1000兆円をこえた国の借金であり、増え続ける社会保障費をもっぱら悪玉にすることで実現しようとしている。今年度予算は過去最高の92兆円になり、そのうち税収は40兆9000億円。借金である国債を44兆円発行して補うものになっている。
歳出のおもだったものでは、社会保障関係費に28兆7000億円、地方交付税交付金として16兆7800億円、文教・科学振興費として5兆5000億円、公共事業関係費4兆9700億円といったもののほか、ODA(政府開発援助)には5727億円を吐き出し、防衛費としては4兆7752億円を計上している。
大企業は軒並み海外移転で国内は空洞化して失業者は増える一方、農漁業も疲弊し、消費購買力は落ち込んで中小商工業も疲弊の一途。不況が深刻ななかの消費税増税で、不景気をさらに不景気にして、国の税収も減ることは必至となる。
消費増税で大企業だけ大儲け 増税するほど還付金が増えるしかけ
自民党が与党だった時代から、消費税増税は財界や米国が要求する至上命令であった。増税と法人税減税路線を突っ走った自民党が鉄槌をくらったが、民主党では鳩山が引きずりおろされると菅直人が「消費税増税」を主張して首相に抜擢された。参院選で惨敗したのちも開き直って推進していたところに東日本大震災が起きると、今度は「がんばろうニッポン」「痛みを分かち合う」といって、「復興財源のために消費税増税が必要なのだ」と主張していた。野田政府になってからは「社会保障のために必要だ」「全額を社会保障費に充てる」とコロコロ使途や理由は後付けされている。
消費税増税をもっとも叫んできたのは経団連で、これまでも消費税は法人税の減税に見合うものであった。経団連は、法人税の実効税率を30%まで下げる穴埋め財源として消費税に転嫁することをもくろんできた。2010年代半ばまでに16%までアップさせ32兆円の財源を捻出せよという主張を一貫していっている。野田政府の、「あと6%分足りない」がこれに符合している。
消費税を増税すると、海外輸出に依存している大企業群はもうかる仕組みになっている。「輸出戻し税」といわれる制度によって、海外で売れた輸出製品に対する消費税は免除され、原材料など国内での仕入れ時にかかった消費税分は国から還付されている。
トヨタは年間2000億〜3000億円ほどの還付を受け、その他の自動車産業でも1000億円をこえる金額が、毎年のように国から還付されている。リーマン・ショック後、エコポイントといって企業群は年間6300億円もの補助金を投入されてボロもうけしたが、消費税還付金としてこれらの企業に還付されている総額がおよそ3兆円といわれる。消費税率を10%にするなら6兆円(同規模の販売台数で推移した場合)、15%にすれば9兆円と上昇していく関係である。
「輸出国と輸入国で付加価値税・消費税を二重どりされることを避けるため」という建前になっているものの、実質的には輸出企業への補助金になっている。大企業は下請や仕入れ業者に消費税分は自腹を切らせて過酷な単価を押しつけ、「輸出戻し税」分は決して分配せず、丸もうけしている問題が指摘されている。
さらに非正規雇用を大量に使っている大企業にとっては、消費税が上がれば上がるほどメリットが得られる仕組みがある。正社員給与は雇用関係であるため消費税がつかないが、派遣社員への報酬は企業の物品仕入れと同じ扱いになり、納税する際に報酬総額の五%分が消費税分として控除されることになっている。控除された分は企業の利益になり、一段と非正規雇用化に拍車をかけるものとなっている。増税によって国民生活が窮乏化するのとは裏腹に、もうかって仕方がないのが大企業となっている。
米国債を売れば増税は不要 日本にたかる米国
財界以上に日本の国家財政にたかってきたのが米国で、IMF(国際通貨基金)は1昨年から「2011年度から消費税の段階的引き上げを含む財政健全化策の開始が必要」「(消費税)税率を15%に引き上げれば、国内総生産(GDP)比で4〜5%の歳入増が生じる」と提言するなど、お節介を繰り返してきた。それを受けて、「超党派で呼びかける」と応じる構えを見せてきたのが当時の野田財務相(現首相)であった。
IMFはアメリカ覇権のグローバリゼーションをおし進めてきた構成機関の一つで、ヘッジファンドが襲って破綻した国国に“救世主”のような顔をしてあらわれ、資金を貸し出す条件として緊縮財政、民営化、市場の自由化を迫る機関である。「増税せよ」と尻を叩かれている日本は、米国についで二番目に多額の出資をIMFにしている。2008年に世界金融危機が深まった際にも先進各国が自国経済の心配ですったもんだしているなかで、もっとも株価が下落し打撃をくらった日本から麻生政府が「IMFの資金基盤を強化するため」といって10兆円融資を勝手に約束して拠出した。膨大な出資金や融資をさせておきながら、それらを財政難の日本に戻すのならまだしも、国民からさらに巻き上げるよう指示する横暴さと、それに目を血走らせて奔走する政府のていたらくを問題にしないわけにはいかない。
日本政府が1000兆円もの膨大な借金を背負ったのも、90年代からアメリカが迫った600兆円もの内需拡大要求に沿って莫大な公共投資をした結果である。貿易黒字で得たドルはアメリカ国債の購入に当てられ、ドル安政策をやって円売り介入をしては何十兆円もアメリカ国債を買いこんでいる。500兆〜600兆円ともいわれる米国債を購入させられ、ドル安で毎日紙くずになっている。これらを売り払って資金を国内に戻せば増税する必要などまったくないのだが、事態は逆で日本からもっと巻き上げるための消費税増税なのだ。
また、国内の大企業が蓄え込んだ内部留保は250兆円にもなる。彼らが国民みなを貧乏にさせて抱えこんでいるカネを吐き出させるなら、増税する必要はまったくない。法人税を免税されてきたメガバンクや優遇されてきた株主、何億円も報酬をとっている経営者などの富裕層から強烈な税を課すのが先である。
10年で重税国家に 構造改革で国民負担増
この10年来、とりわけ小泉政府以後の国民負担増によってたいへんな重税国家になってきた。医療制度改革によってサラリーマンは健保本人負担が2割から3割へと上がり、70歳以上の医療費は2割に引き上げられた。高額医療の負担額もしかり。65歳以上の介護保険料も引き上げられ、かわりに介護サービスや介護報酬は下がりっぱなし。雇用保険料も引き上げられ消費税については免税となる課税売上高の上限が1000万円に引き下げられて、中小零細企業や農漁民まで対象が拡大した。タバコは一箱買うにも以前の倍額である。年金制度改正によって厚生年金保険料率は引き上げられ、国民年金保険料も引き上げられた。所得税、住民税にかかる定率減税も全廃。生活保護の老齢加算は廃止となり、児童扶養手当は支給所得の限度額引き下げとなった。枚挙にいとまがないほど「構造改革」して、国民負担を増やしてきた。とくに高齢者や障害者、病人、介護保険受給者、生活保護などの社会的弱者から切り捨ててきたのが特徴になっている。
民主党政府も自民党政府が進めてきた「小さな政府」路線を継承し、大衆課税を強化しながら、政府として果たしてきた医療や福祉分野への支出を切り捨て、公共機関を軒並み削減する方向を打ち出している。野田政府は消費税増税とともに、120ある独立行政法人を60にすることや、公務員の20%給料カットも、「自民党がこれを実現しなければ増税案に乗ってこないから」といって、両党合作で実現しようとしている。
「全額を社会保障財源にするのだ」とのべている「税と社会保障の一体改革」も医療分野では「入院から在宅へ」といい、介護分野では「施設から在宅へ」といって個別家庭に「自分で世話しろ」と負担を転嫁し、大幅な予算削減をやろうとしている。
診療報酬改定によって、紹介状なしで大病院を受診する場合の患者の負担料を引き上げ、医療機関への初診時の保険給付額を引き下げることを打ち出しているほか、急性期医療についても平均入院日数を9日間と短期にすることを狙っている。3カ月を超える入院患者については、現状でも診療報酬を大幅ダウンさせて患者追い出しにつながっているが、この範囲をさらに拡大させ、長期入院患者を締め出す方向にもなっている。介護では介護報酬を引き下げてサービスカット。要介護度の低い特別養護老人ホームの入所者に対する介護報酬を引き下げ、追い出しをはかるものになっている。
散散ばらまいた上にTPP 更に搾り戦争策動
一方で国による支出は、大企業や米国金融資本がのさばる市場には大盤振舞が繰り返されてきた。最近だけ見ても、政府・日銀が円高阻止といって昨年11月にはたった1日にして8兆円もの資金を拠出して市場に介入し資金をばらまき、それで得たドルはアメリカ国債に化けた。今年度内に使える介入資金枠だけでも日本政府は46兆円を確保している。
昨年11月には、インドネシアで開かれたASEAN(東南アジア諸国連合)の首脳会議に野田首相が出席し、各国の鉄道や空港・港湾、高速道路を整備するために、ポンと2兆円規模を支援すると約束した。大企業の海外移転のために、現地のインフラ整備を日本政府の予算でまかない、海外移転を促進している。
対米関係では、アメリカからは軍需産業のカモにされて次世代ステルス戦斗機F35の購入を押しつけられ、42機も買いとる計画が動いている。1機の価格は08年時点で150億円とされ、「開発が遅れた」のを理由に「初期生産分の28機だけでも610億上乗せになる」と高騰騒ぎが起きたり、ローキード幹部が「1機50億円でもいい」というなど確定した数字が発表されていない。1機150億円であれば総額で6300億円にもなる。また、在日米軍のグアム移転費用だけでも肩代わりさせられる金額は3兆円である。
また深刻な原発汚染を広げている福島第1原発の賠償についても、事故当事者である東京電力、その株主や融資している銀行の責任を求めず、電気料金の値上げと税金によって肩代わりする方向に進み始めている。さらにあれほどの事故を起こしながら、原発の運転期間を「原則40年だが、例外的に20年延長を認める」とし、アメリカ基準の60年稼働に舵を切り始めた。それは減価償却を終えた後の稼働率を上げて老朽原発を運転すればするほど電力会社の利益が拡大するからにほかならない。
極めつけがTPPで、国内の農漁業は壊滅の危機にさらしたうえに、大企業は海外移転で国内を空洞化させ、数百万人もの労働者やその家族を路頭に放り出しはじめた。国がつぶれても構わないというデタラメな政治によって、働く者はむしりとられるばかりで、みなは貧乏になって生活がままならない。自殺者が毎年3万人をこえ、見なし失業者も加えたら700万人にものぼる。
リーマン・ショックから欧州債務危機が進行し、欧州金融危機となって新興国からの資金回収、そしてさらなる景気後退と、30年代大恐慌の再来が危惧されている。このなかで衰退するアメリカの属国日本収奪が熾烈化し、経済ブロック化と戦争の危機が進行している。消費税増税は、TPPや対中国戦争を準備する米軍再編と結びついており、国家主権がすっかりアメリカに握られ、国民経済がつぶされ、国民の生存権が剥奪され、あげくのはては対中国核戦争の戦場にされて、またも原子野にされる道にほかならない。
一握りの金融資本がもうかることがすべてで、働く者の生活がどうなろうと、社会がどうなろうと知ったことではないという転倒した世の中になった。そのような転倒が続くわけがない。働く者の道理がとおるまっとうな社会を求める世論は沸騰している。自民党にせよ、民主党にせよ、みなアメリカや財界の提灯持ちになって既存政党が軒並みあてにならない。そのなかで下から大衆自らが立ち上がって安保斗争のような全国的政治斗争が巻き起こる機運は充満している。
http://www.h5.dion.ne.jp/~chosyu/syouhizouzeidebeikokutozaikainimutugu.html
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