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2月4日毎日新聞朝刊1面に、「水俣病・申請7月末期限表明」とのタイトルの記事があった。今では【水俣病】と言ってもピンと来ない人が多いのではないだろうか。日本の「公害の原点」と言われるのが水俣病である。この水俣病は、チッソ叶俣工場の排水に含まれていた水銀が原因だと、最終的には断定された。だが、その一部の被害者に対する補償が未だなされていない。そのことを示すのがこの記事である。
そのような記事を今、ここでなぜ取り上げたのか。それは、福島原発からの放射能汚染による被害者の、何年か何十年か先の姿と、筆者には重なって見えるからである。水俣病の発端は、昭和20年代後半の「猫おどり病」と呼ばれる猫の奇病に始まる。次いで、手足のしびれ、ふるえ、脱力、耳鳴り、視野狭窄などに罹る人が、熊本県八代海近辺・水俣周辺に増えてきた。当時の新聞報道では原因不明の奇病とあった。
この奇病の原因は、魚介類に蓄積されたメチル水銀を、体内に摂取することによる中毒であった。だが、チッソ水俣工場から排出されていたのが無機水銀だったことと、同工場が戦前から操業していたこともあって、当初は、水銀以外の重金属中毒の疑いが持たれた。政府が、この奇病と工場廃水の因果関係を認めたのは、最初の発症患者が出てから15年後の昭和43年(68年)であった。
科学的に、無機水銀がメチル水銀に変わる化学変化が明らかでないことが、被害者救済に遅れをとった。この遅れを招いた陰には、中毒の原因として、「有毒アミン説」「腐敗アミン説」などの非水銀説を唱えた御用学者が居たことを指摘しておきたい。原発事故直後に、テレビに出演し、盛んに「安全」とか「直ちに健康に影響はない」と唱えた御用学者の姿と重なるだろう。御用学者は昔から居たのである。
また、当初「奇病」と呼ばれたことと、原因が不明であったことが、水俣病患者と水俣出身者への差別を招いた。この差別と言う点では、震災直後に茨城県つくば市役所が、福島県から避難して転入する人たちに、放射能汚染の有無を確認する検査を受けた証明書の提出を求めたことや、福島ナンバーの自動車が放射能汚染の有無に拘わらず、嫌われていることなどと相通じる点がある。
水俣病の原因が工場排水からの水銀によるものと断定されてから、40年以上経過しても、なお全被害者の救済が終わっていない。それにはいろいろな理由がある。最大の理由は、被害者と水銀中毒の因果関係の証明にあったようだ。同様に、放射能による人体への影響は、予測がつかないし、顕れるまでに時間がかかる。また、健康被害と放射能との因果関係の認定も難しい。そういことが今から重なって見えるのだ。
そして、今一つ指摘しておきたいことがある。それは、これらの被害者に支払われる補償金は、全てチッソが負担することだ。なお、その支払総額は2000億円を超えるようである。放射能汚染の確かな加害者である東電だが、例えば放射能汚染で休業中のゴルフ場が、東電に除染完了までの維持費用を求めたのを拒否したように、その損害補償を全て、東電が負担するとの意思は見られない。
電力事業は産業に欠かせない事業であるが、それは、チッソも同じであった。チッソの前身は日本窒素株式会社という、戦時中は国策会社であった。旭化成や積水化学などが、チッソから分かれた企業であることからも分る。そのチッソは、被害者の救済担当をする旧チッソと、事業を継続する新会社に分けることになった。このような公害とその被害者に対する賠償補償の事例があることを、多くの人に知って貰いたい。
東電は、原発事故により避難した人たちに対する目先の被害の賠償は行なっている。だが、放射能の除染については、国に任せ、「我関せず」のようである。国が率先して除染をするのは、国民を放射能から守る意味で、喫緊の課題として行なっているのであって、東電が免責された訳ではない。除染費用は東電が負担すべきものである。将来を含め、放射能禍による国民の健康被害などの責任も全て東電にある。
放射能による被害金額がどれだけ大きくなろうが、除染のような対策費用や損害補償金などに税金を使うことは、許されることではない。全て東電負担だ。そのために、現東電が、賠償補償事業に特化し、電力事業は全く別企業が行なう。そういう選択肢もある。そういう前例があるということを知って貰いたい。
http://www.olivenews.net/news_30/newsdisp.php?m=0&i=1
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