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防衛相引き降ろしの先陣を切った主筆コラム
http://60643220.at.webry.info/201202/article_2.html
2012/02/05 22:00 朝日新聞 読後雑記帳
きょう(5日)の朝刊2面コラム「座標軸」で若宮啓文主筆は、田中直紀防衛相に大臣失格の烙印を押し、「自衛隊を統括する要職を、果たしてこの人に任せてよいのか」「防衛相が演ずる惨状は外国の目にどう映るだろう。自衛隊の士気や健全性にも悪影響を与えないかと危ぶまれる」などど書いている。国会答弁などで防衛相が大失態をやらかしたかのような決めつけぶりであり、はっきりと書いてはいないが、田中防衛相は無知、無能、馬鹿、と言っているに等しい(さすがにそんなストレートな表現はできないので、遠まわしに「惨状」と書いたのだろう)。
理由としてあげているのは@自衛隊合憲論の根拠となる「芦田修正」を知らなかったことA国会答弁は秘書が差し出すメモに頼りっぱなしなことBNHK番組で自衛隊の海外での武器使用基準と武器輸出三原則の問題を取り違えたこと、の3つである。しかし、ことの軽重はともかく、それらをもって大臣の資質を問い、クビにしようというのはいかがなものか。とくに@の「芦田修正」など、法学部のゼミ生でも知らないのがたくさんいるはずだし、司法試験の口頭試問でも答えられない受験生はいるだろう。朝日新聞の記者だって、何人がちゃんと答えられるか疑問だ。
田中防衛相はどこで、国民の安全や人権を否定したり、国益に反するような発言をしたのだろうか。あるいは法律に違反する行為をしたというのだろうか。90年代以降、失言でクビが飛んだ大臣は10人を超えるそうだ(後述参照)。平和憲法の精神を否定したり、侵略戦争を美化する確信犯型から、言葉狩りの罠にはまった冤罪型まで罪状はさまざまだが、このままでは田中氏も最近流行のマスコミ主導の言葉狩り型冤罪によって引導を渡されることはほぼ確実である。週明けに始まる参院予算員会では、自民党の山本一太、西田昌司、佐藤正久、猪口邦子らがあの手この手の挑発と誘導尋問で田中氏を攻め立てるだろう。前論説主幹であり、いま朝日新聞の論調の最高責任者である若宮主筆のこの記事は、彼らの露払い役となり、背中を押すことになる。
以下に、90年代以降の大臣失言辞任例をまとめた。
参考記事=http://ameblo.jp/georgemallory/entry-10945427690.html
◇1993年12月、中西啓介防衛庁長官(細川内閣)=「半世紀前に出来た憲法に後生大事にしがみつくのはまずい」(パーティにて)
◇1994年5月、永野茂門法相(羽田内閣)=「南京大虐殺はでっち上げだと思う」(毎日新聞インタビュー)
◇1994年8月、桜井新環境庁長官(村山内閣)=「日本は侵略戦争をしようと思って戦ったのではない」(閣議後記者会見)
◇1995年11月、江藤隆美総務庁長官(村山内閣)=「植民地時代に日本は悪いこともしたが良いこともした」(記者オフレコ懇談)
◇2000年2月、越智通雄金融再生委員会委員長(小渕内閣)=「検査の仕方がきついとかあったら、どんどん直接おっしゃってください。最大限考慮しますから」(金融関係者向けの講演会)
◇2007年7月、久間章生 防衛相(安倍内閣)=「原爆で戦争が終わったんという頭の整理でしょうがない」(大学での講演会)
◇2008年9月、中山成彬国土交通相(麻生内閣)=「成田空港反対闘争はゴネ得」「日本は単一民族」「日教組は教育のガン」
◇2010年11月、柳田稔法相(菅内閣)=「法務大臣は2つの答弁を覚えておけばいい」(地元支持者向け国政報告会)
◇2011年7月、松本龍復興担当相(菅内閣)=「知恵を出したところは助け、知恵を出さないところは助けない」「お客さんが来る時は自分が入ってから呼べ」(被災地の知事への訪問時)
◇2011年9月、鉢呂吉雄 経済産業大臣(野田内閣)=「周辺町村の市街地は人っ子一人いない、まさに死のまちという形だった」 「放射能つけちゃうぞ」
◇2012年1月、一川保夫防衛相(野田内閣)=「安全保障に関しては素人だがこれが本当のシビリアンコントロールだ」「(沖縄米兵暴行事件の)正確な中身を詳細には知らない」
ほかに、2007年1月、柳澤伯夫厚労相(安倍内閣)=「女性は(子供を産む)機械」というのがあるが、辞任には至らなかった。
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(記事引用開始)
見出し:議論に耐えられぬ惨状--「防衛相」ポスト軽んじた罪
以下本文:■若宮啓文(主筆)
2日の衆院予算委員会を見ていて、がくぜんとした。憲法9条2項に「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」という条文がありながら、なぜ自衛隊をもつことができるのか。そう聞かれて、防衛相の田中直紀氏が答えられなかったのだ。
質問した自民党の石破茂氏があきれて、2項の冒頭に「前項の目的を達するため」と挿入した「芦田修正」が自衛隊を合憲とする根拠となったと教えると「私自身は理解いたしておりません。先生のご知見を拝聴しながら、よく理解をしたいと思います」と答えた。1項で禁じた国権の発動による戦争などを目的としないのだから、自衛隊をもてるとの解釈だ。
慶大法学部を出て長く国会議員をしてきた田中氏が、なぜこんなことも知らないのか。自衛隊をめぐる憲法解釈にはなお論議があるが、芦田修正はその中で最も基本的な事実である。
「素人」ゆえに更迭された前任者を継いだのに、記者会見や国会などで次々とお粗末な発言を繰り返し、とりわけ基地問題をかかえる沖縄県民をさかなでする。職員への投票誘導を疑われた沖縄防衛局長の一件も起きるなか、答弁では秘書官が差し出すメモに頼りっぱなしで「腹話術か」とやじが飛ぶ。1980年に「重大な問題でございまするので(略)防衛局長から答弁をさせます」とやった防衛庁長官、久保田円次氏の辞任劇を思い出していたが、そこに加わったのが石破氏との致命的な憲法問答だった。
そういえば、NHK番組では自衛隊を海外に送る際の武器使用基準と武器輸出三原則の問題を取り違えた。このありさまでは、集団的自衛権の是非をめぐるホットな憲法論議など、とても耐えられまい。
自衛隊は万一のときに武器をとって立ち上がる実力組織だ。装備は世界有数の水準で、米軍と密接な関係をもつ。一方で憲法との関係が問われることも多く、文民統制や国民の支持がとりわけ大事だ。最高指揮官である首相のもとでそんな自衛隊を統括する要職を、果たしてこの人に任せてよいのか。民主党の党内事情ばかり考えた相次ぐ人事の失態を、野田佳彦首相にきびしく問わざるをえない。
大臣は必ずしも安保の専門家でなくともよい。古くは60年の安保騒動で岸信介首相の意に抗して自衛隊の治安出動を断った赤城宗徳氏。三木内閣の76年、日本に適した基盤的防衛力の構想を軸に防衛計画の大綱をつくるなど、国民の理解を進めた坂田道太氏。ともにすぐれた見識を示して歴史に名を残した防衛庁長官だが、前者は農相など、後者は文相などの経験豊かなベテランだった。
自衛隊が今日これだけの力を備えたことに議論はあれ、国民多くの支持を得るに至った裏にはこうした先人たちの存在があった。ほかにも歴代長官にはそれなりの実力者や将来の有望株が並んだものである。
防衛庁が念願の「省」に昇格したのは07年1月だが、それが大臣の人事に緊張感を失わせたのは皮肉である。質の問題だけではない。省になって5年にして大臣は田中氏が9人目。このうち自民党政権(2年8カ月)のもとで6人を数えた。
折しも中国の軍事的な膨張が目立ち、北朝鮮の核開発もやまぬなど国際環境はきびしくなった。首相がよく代わるうえ、防衛相が演ずる惨状は外国の目にどう映るだろう。自衛隊の士気や健全性にも悪影響を与えないかと危ぶまれる。
消費税国会で心配なのは、財政や経済の行方だけではない。
(引用終わり)
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若宮主筆はこの記事でひとこともふれていないが、選挙介入を問題とされた沖縄防衛局長の処分は、先送りとなった。野党もマスコミも、防衛相のクビ取りのほうが大事ということらしい。処分先送りをめぐっては、背景に政府と防衛省の意見対立があり、田中氏は孤立迷走した、との報道がある。迷走といえば、朝日新聞の迷走はひどかった。3日夕刊1面トップでは「沖縄防衛局長更迭へ=防衛相が調整指示」と書いたが、翌4日朝刊1面では「沖縄局長問題先送り=防衛相、一度は更迭決断」と軌道修正して逃げた。防衛相が迷走したかのような書きぶりである。誤報の責任をなすりつけられた防衛相のコメントはいっさい報じられない。誤報には目をつぶり、主筆が自分の主張を押し通す。新聞というメディアの唯我独尊ぶりがよくわかる記事である。
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