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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120205-00000551-san-pol
【防衛オフレコ放談】 政府は昨年末、伊藤哲朗内閣危機管理監と植松信一内閣情報官を退任させ、伊藤氏の後任に米村敏朗元警視総監、植松氏の後任に北村滋警察庁長官官房総括審議官を充てた。退任した2人も後を受けた2人も警察庁出身。この人事に警察庁は胸をなでおろしたに違いない。防衛省が「警察庁の牙城」といえる危機管理監ポストに触手を伸ばしていると警戒していたためだ。防衛省の“宣戦布告”をきっかけに警察庁との権限争いが再燃しそうだ。
■「市谷が騒いでいる」
危機管理監と情報官の交代が決まったのは昨年12月27日。時期からみて、北朝鮮の金正日総書記死去をめぐる対応が問題視され、事実上の更迭だったとの見方がある。植松氏がトップを務める内閣情報調査室(内調)が、同月19日正午から北朝鮮で金総書記の死去公表を推測させる特別放送があると把握しながら、野田佳彦首相が街頭演説に向かっていたからだ。
首相自身の判断ミスに加え、植松氏が首相に特別放送の重みを強く進言したか疑問が残る。このため植松氏の場合、金総書記死去の情報伝達に関する不手際が退任の引き金になった可能性はあるが、伊藤氏はそれ以前から退任が固まっていたようだ。
12月初め、ある警察庁キャリアと話していると唐突に切り出してきた。「市谷が『警察官僚に危機管理監は務まらない』と騒いでいる」。市谷とは防衛省の所在地(新宿区)。
市谷が騒いでいる−。心あたりがあった。
■震災で存在感ゼロ
その5日前のこと。防衛省幹部は東日本大震災への対応を振り返り、伊藤氏が危機管理監として「存在感はゼロだった」と断じた。
伊藤氏は首相官邸の危機管理センターを統括する立場。センターは平成7年の阪神・淡路大震災で官邸の情報集約機能の欠如と省庁縦割りの弊害で対応が遅れたことを教訓に、翌8年に新設。危機管理監ポストも10年に設けられた。
東日本大震災と東電福島第1原発事故でも、センターが情報収集と意思決定の中枢となるべきだった。だが、違った。
菅直人首相(当時)ら政府首脳は官邸5階に詰め、地下のセンターに集まる各省庁幹部との連絡は不十分だった。結果として、放射性物質の拡散予測システム「SPEEDI(スピーディ)」の存在が把握されず住民避難に活用されなかったことは、原発事故に関する政府の「事故調査・検証委員会」の中間報告でも指摘されている。
センターに詰めていたスタッフの1人は「頭と体がつながっていなかった」と振り返る。「頭」は首相、「体」はセンター。両者をつなぐ「骨格」と「血管」は途切れ、情報は上がらず、指示も下りてこなかったという。
■9・11でも露呈
もっとも頭脳と体の分断は、一義的には官僚組織の使い方を知らない菅氏の責任が大きい。ただ、自衛隊が10万人態勢を敷き、米軍も大規模な人員・装備を展開させた「戦時」並みのオペレーションを把握するには、警察庁出身の伊藤氏には「荷が重かった」との指摘が防衛省内には多い。
防衛省側には、震災のみならず大規模テロなどに備え、危機管理センターの機能強化を図るには、危機管理監ポストを警察官僚から引き離すべきだとの不満がくすぶる。逆に、警察庁側は「政府を挙げた対応のとりまとめは防衛官僚に務まらない」と反論する。
防衛省VS警察庁の権限争いは、「3・11」に始まったことではない。「9・11」(米中枢同時テロ)を受け、自衛隊の新たな任務として「警護出動」が規定され、在日米軍施設などを警備することが可能になった。当初、原発などの重要施設も警護対象に加えることが検討されたが、自衛隊の権限強化に反発する警察サイドの抵抗で対象が縮小された。
■ポストを握れど…
とはいえ、防衛省が危機管理監ポストを握ると備えが万全かというと、そうではない。そもそも危機管理監は「国の防衛に関するもの」は担当外で、自衛隊の運用には権限が及ばないとされる。
村山富市内閣から小泉純一郎内閣まで官房副長官を務めた古川貞二郎氏は、危機管理監の権限の問題点を次のように指摘している。
「防衛問題を治安の専門家の警察出身の人材をもって充てることには疑問がある。しかしながら不審船の例をみてもわかるとおり、狭い意味の危機管理の問題が結果的には防衛の問題に発展するケースもあって、中途段階において両者を明確に区分することが難しいケースも少なくない」(『官邸と官房』)
平時の事態が有事に発展するシナリオで対応に隙間が生じることへの懸念を示したものだ。中国による沖縄・尖閣諸島の占領シナリオのように、平時と有事の見分けがつきにくい事態も想定される。
大震災と原発対応を教訓に、安全保障・危機管理の司令塔としての官邸機能の見直しは待ったなしの課題だ。あわせて情報集約・政策立案能力の拡充に向け、「国家安全保障会議(NSC)」の創設も不可欠で、内調の機能強化も検討する必要がある。
警察庁と防衛省に「省益争い」にいそしむ暇などない。(半沢尚久)
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