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http://www.okinawatimes.co.jp/article/2012-02-02_29338/
[宜野湾市長選介入]伏魔殿と化した防衛局(沖縄タイムス)
2012年2月2日 09時55分
(33時間54分前に更新)
沖縄防衛局の真部朗局長が宜野湾市長選に向け、親族に有権者をもつ職員や同市在住の職員を対象に、庁内で「講話」を開いていたことが明らかになった。名護市の前回選挙でも同様の講話をしていたという。これを受け、田中直紀防衛相は真部局長の処分を検討する方針を表明した。
それで済む話だろうか。
防衛省は、講話に出席した職員からの聞き取り調査の結果、「特定の立候補予定者を支持するような内容は確認されなかった」としているが、決してうのみにはできない。
防衛省の調査が、客観性を保持しているとは到底考えられないからだ。局長発言の真相はどうだったのか。臨席した職員はどう感じたのか。身内の調査では、防衛省に都合の悪いことは封印される蓋然(がいぜん)性が高い。
就業時間内に職員を集め、局長が2回も講話する力の入れようは尋常ではない。真部局長が特定の候補予定者の名を直接挙げて投票要請することはなかったとしても、普天間問題と絡めて宜野湾市の民意の重要性を唱え、棄権するな、とトップから告げられれば、それが何を意味するのかは「空気を読め」ということだ、と部下は解するだろう。
職員の投票行動におのずと「圧力」がかかるのは避けられない。その効果を十分認識した上で局長自らが講話に臨んだのではないのか。
専門家からは、公職選挙法(公務員の地位利用)などに抵触する、との指摘も出ている。刑事事件としての立件も視野に、県警は速やかに捜査に着手すべきだろう。
沖縄における防衛局の自治や選挙への介入は常習化している。1997年の名護市民投票では現地事務所を構え、ローラー作戦で戸別訪問を展開した。仲井真弘多氏と糸数慶子氏の事実上の一騎打ちとなった2006年の知事選では、当時の佐藤勉局長が仲井真支援を要請するため県内約10社の企業回りに奔走した。
国家ぐるみの介入も記憶に新しい。98年の知事選では、自民党の小渕内閣で官房副長官を務めた鈴木宗男衆院議員(当時)が、稲嶺恵一陣営に官房機密費3億円が渡った、と証言している。
国会ではこうした経緯も踏まえ、議論を深めてもらいたい。核心は局長の処分や防衛相の責任といった次元にはない。在京メディアも「野田政権の新たな火種になる」から「全国ニュース」に取り上げるという認識では困る。「米軍基地政策に対する国の姿勢」が問われているのである。
他県の例を一つ挙げる。石川県珠洲(すず)市長選の告示前、市助役が課長らを集め、原発推進派陣営から立候補する元市総務課長への支援を要請したとして公選法違反(公務員の地位利用、事前運動)の疑いで96年7月、石川県警に逮捕されている。同事件の立件は原発行政に冷や水を浴びせるかたちになった。それでも、県警は市民の告発を受けて捜査を遂行し職務を果たした。
沖縄県警には、普天間問題という国策への影響を避けるため捜査に消極的だ、と県民の目に映ることのないよう筋を通してもらいたい。
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