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【民主党になって、北沢俊美、一川保夫、田中直紀という三人の防衛大臣が就任したが、こうした無能な大臣の下で防衛官僚が好き勝手に跋扈している事実は大問題
(岡留安則の「東京ー沖縄ーアジア」幻視行日記)】
2012.02.02
■2月某日 東北や北海道で大雪が降り積もる風景をテレビで見ていると、雪国は大変だなーと思う。官邸では大雪対策の会議まで開かれるようだ。どうせ、議事録も残さない駄話で終わるのだろうが。それよりも、大震災の被災地も雪が降っているはずだが、そのシーンはテレビではあまり映らない。視聴者としては知りたいと思うのだが、意図的に映さないのか。原発事故の実態から目を遠ざけるメディア操作でなければ幸いだが。韓国ソウルではマイナス17度くらいまで下がったというから、これも凄い。沖縄も幾分寒い日が続いているが、日本国内では一番温暖な気候なのだから文句は言えない。いや、いったら罰が当たるか。それでも東京から知り合いが沖縄にやってくるのだから、東京に比べればはるかにマシという事だろう。つい最近も作家の亀和田武や旧知の元電通マンらがやってきた。皆一様に、東京に比べれば沖縄はるかにマシだというから、納得!
気候的には問題ないが、別の意味で沖縄はひどい扱いを受けている。沖縄防衛局の真部朗局長が、宜野湾市に住む職員と親戚のリストを総務部人事課に命じてつくらせ、防衛局の局舎内で「講話」という選挙対策を開いたことが判明した。沖縄選出の共産党・赤嶺政賢議員のもとにたれこまれたメールをもとに予算委員会で、質問したからだ。
ただでさえ、田中新防衛大臣の失言や無能ぶりが明らかになっている時だけに、この真部局長の事件に対しては防衛省も敏感に対応した。本省から沖縄防衛局への調査のために職員を派遣し、当の真部局長を国会に呼び、予算委員会で参考人招致をすることが決まった。真部本人は、特定の候補への投票依頼ではないと弁解しているが、客観的に見れば、宜野湾市長選への露骨な介入にしか見えない。それだけではない。自衛隊法、国家公務員法、公職選挙法などに抵触する国家公務員としてはあるまじき行為である。
真部局長は、着任早々、失言問題で解任された田中聡前防衛局長の後任として派遣されたばかり。しかも二度目の局長就任であり、真部氏が沖縄辺野古基地建設では長年尽力してきた人物であることはつとに知られている。
今回の宜野湾市長選だけではなく、名護市で行われた辺野古新基地建設をめぐる住民投票や昨年の県知事選でも「講話」をやった事実も報道されている。いわば、新基地建設の為に、公務員という職責を通り越してまで、選挙に力を注いでいる人物なのだ。おそらく今回の事件で確実に更迭されるだろうが、沖縄の基地問題ではキーパーソンの役回りを果たしてきた人物だけに更迭も形だけで、しばらく退散させるという人事で決着するのではないか。問題が、ここまで広がった以上、田中防衛大臣の身を守るためにも、トカゲの尻尾切に踏み切らざるを得ないだろう。
この事件で、琉球新報の連載「沖縄幻視行」執筆や沖縄タイムスの取材を受けたが、沖縄にいれば、基地絡みの事件が次々と起こる。防衛省が環境アセス調査のための下請け会社に天下りをさせていた事実も明らかになったが、これは環境アセスの客観性を疑わせるに十分な癒着の構図である。霞が関はどこの役所でも似たような利権の構図を保持しているが、防衛省の場合はひときわ露骨である。
防衛省がなかなか市民権を得られない存在だった時代もあり、ルサンチマンや開き直りの組織体質が醸成されたのかもしれない。逮捕されて現在は獄中にいる防衛省トップの守屋武昌元事務次官のケースが象徴的だ。民主党になって、北沢俊美、一川保夫、田中直紀という三人の防衛大臣が就任したが、こうした無能な大臣の下で防衛官僚が好き勝手に跋扈している事実は大問題だ。筆者的には、わざととしか思えない防衛大臣人事は民主党執行部を牛耳る財務省や輿石幹事長の謀略ではないかと勘繰りたくなるほどだ。お粗末すぎる人事の連続である。
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