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田原氏「総選挙は6月、キーマンは石原都知事」
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2012年02月01日 11:27 BLOGOS編集部
■橋下VS反橋下6人で大激論
―前回の「朝まで生テレビ」では、大阪市の橋下市長が登場し、反橋下派の方々と論争を行いました。橋下市長についてのお考えをお聞かせください。
「朝まで生テレビ」では橋下VS反橋下6人という形でやりました。橋下さんがやろうとしていることは4つあります。
1つは大阪都構想。いままで大阪府と大阪市の仲が悪く、何も一緒に出来ない状態だった。教育問題から何から二重行政になっていたのです。この二重行政を解消し、大阪に8〜10程度の区をつくり、区長を公募にする代わりに大阪市をなくす。つまり、彼の主張が実現した暁には彼は職を失うわけだ。
2つ目は、自民党や民主党がやろうとして失敗した公務員制度改革だ。自民党は安倍内閣のときに、渡辺喜美(現・みんなの党代表)を担当大臣にし、今は経産省をやめた古賀茂明を起用して、公務員制度の抜本的改革をやろうとしていた。
公務員制度改革とは何かというと、公務員を「身分」ではなく「職業」にするということだ。当然ながら一般企業は、不況になればリストラをする。しかし、公務員は一切クビを切られない。しかも、定期的に必ず昇給する。どんな不況でも定年までは職が補償されている上に、失敗したからといって降職も減俸もできない。さらに定年になったら天下りをする。
今はわからないけれど10年ぐらい前までは、国家公務員が公務員としてもらう総収入と定年後天下りしてもらう総収入が50:50だった。そりゃ、みんな天下りするだろう。だから、公務員を「身分」ではなく今のサラリーマンのような「職業」にして、降格も抜擢もするし、ダメならクビも有りということにしようというわけだ。
3つめは教育改革。大阪都構想の出発点となったのは教育問題だった。全国学力テストで大阪府の成績が40番以下と非常に悪かった。これを何とかしようと考えたが、府と市がまったく協力することができない。平松さんみたいに府と市が合うのは「不幸せ(府市合わせ)」だなんていう。だから、橋下さんはまさに府市あわせをしようと考えているんだろう。
教育の権限をもっているのは教育委員会だ。この教育委員会がほとんど仕事をしていない、一種の名誉職となっている。橋下さんは、府知事が一切教育の問題に介入できなかったのを介入できるようにすると言っている。そして、その前に、区を作って区長が介入できるようにしようとしている。
問題はいくつもあるのだが、一つは教育の場に競争を持ち込むということ。A、B、C、Dと4つのランクに分けて、Dランクは必ず5%は存在することにする。Dランクを2度取った人間は解雇も可能にする。こうした競争原理を教育に取り入れていいのかという問題がある。
もう一つは日の丸君が代問題。最高裁の判決では、日本は言論表現の自由、宗教・思想の自由があるため、日の丸君が代に対して起立しなくてもいいだろうとしている。しかし、学校には学校の規則があるだろうから、その規則に従わなければ処分をするのはやむを得ないとした。その場合の処分はせいぜい戒告で、減俸や解雇はもってのほかだとしている。
これについて、橋下さんは学校の規則は遵守しなければならない、遵守せずに「起立してもしなくてもいいよ」ではだらしなくなってしまうと主張している。ここは僕と橋下さんとで意見が異なるところで、僕はセクハラなどの絶対的に禁止すべき問題と日の丸君が代に対して起立するしないは、別問題だと思うんだが、彼は違わないというんだ。ここは僕とは意見が対立している。
4つめは関電との喧嘩です。地域独占がけしからん、発送電力の分離を検討しろ、という話です。彼は基本的には反原発ですね。
それにしても反橋下派は弱かったね。
■消費税増税を巡って国会は解散。総選挙は6月
―通常国会がスタートして、消費税を巡って解散もささやかれていますが。
僕は解散するとしたら6月になると思っている。予算本体は民主党が衆議院で通すだろう。ところが、消費税のアップや国債の発行については参議院で通過しなければ成立しない。参議院では自民党が反対する。これが通らなければ野田さんの唯一のビジョンが崩壊してしまう。だから参議院で1〜2カ月揉めたら解散になるだろう。4月末、5月あたりの解散で6月選挙という流れになるのではと僕は考えている。
もちろん、ここに橋下さん率いる維新の会は候補を起てることになる。衆院選に300名ぐらい候補を出して、200人ぐらい当選させたいと言っている。その場合のキーパーソンは石原慎太郎だろうね。東京都がこの流れに乗るかどうかがキーになる。
―今回の内閣改造はどのように評価しますか?
一番大きいのは岡田さんを副総理にしたこと。要するに今民主党は、自民党とも公明党ともパイプがないため本当の交渉ができない。岡田さんにはそういうパイプ役になって欲しいんだと思う。
そういう意味では、僕は今回の人事は失敗だと思う。パイプ役にするなら岡田さんは政府じゃなくて党においておくべきだった。代表代行でも幹事長でも党においていかなければ、パイプ役にはなれないだろう。
―自民党は消費税増税の協議に応じるべきだとお考えですか?
僕は協議に応じるべきだと思う。だいたい消費税はとっくに自民党が上げていなければならなかった。これを反対反対とやって参議院が長引くと、長引くほど自民党は不利になる。だから僕は、解散総選挙は話し合い解散になるんじゃないかと思っている。
■「今のマスコミはだらしなさすぎる」
―最後に先日会見を行った暴力団排除条例について改めてお聞かせください。
会見でも話したのですが、「正義感」というのは非常に危ないと思う。「正義感」というのは下手をすれば、「正義のためには何をやってもいい」ということになってしまう。かつてアメリカに初代FBI長官(ジョン・エドガー)フーバーという男がいた。最近クリント・イーストウッドが映画化したのだけれど、僕はこの男に以前から非常に関心があった。
彼は非常に信念が強い男だった。「徹底的にアメリカという国家の平和と安定を守る」。これが彼の信念だった。彼が司法省の若い職員だったころ司法長官の自宅が、左翼過激派、共産主義者によって爆破される。司法長官は九死に一生を得るんだけれど、この現場を見てフーバーは怒り狂った。この事件をきっかけに、徹底的にアメリカという国を危機に陥れる存在と戦わなければならないという正義感に目覚めたわけだ。
司法長官が、過激派殲滅のための部署を司法省につくってフーバーを最高責任者に据えた。フーバーは自分の正義感に基づいて、その実現のためには「何をしていいんだ」という考えに傾倒していく。指紋照合などの科学捜査を取り入れるといった功績もあったが、正義の実行のために平気で事実を捻じ曲げるようになった。おとり捜査や違法行為、あるいは目をつけた人物の自宅やホテルに盗聴器を仕掛けて弱点をつかむなど何でもありになった。
フーバーはケネディ、ニクソンなど8人の大統領に仕えたが、誰一人として、彼をクビに出来なかった。彼は77歳で死ぬまでFBI長官だった。死ななければ、ずっとFBI長官だっただろう。フーバーの例を見てもわかるとおり、「正義のために何をやってもいい」という考え方は非常に危険だ。
ところが、日本の警察は明らかにFBIを手本にしている。そのために警察も検察も「正義のためには何をやってもいい」と思っている。だからこそ、日本は検察が起訴した場合に有罪となる確率が99%なんだ。
有罪にするためにむちゃくちゃにやっているから、例えば堀江貴文やリクルートの江副さん、佐藤優さん、鈴木宗男さんといった犠牲がたくさん出ている。これは正にFBIのやり方と同じだと思う。冤罪が出ているということはむちゃくちゃやって有罪にしているということだ。
こういう事例はたくさんあるけれど、一つの例として島田紳助が挙げられると思う。紳助が、かつて右翼に脅された時にテレビ局もプロダクションも彼を助けなかった。だから、彼は元ボクサーに「なんとかならないか」と頼んで、間に入ってもらい解決した。だから、暴力団の世話になったということだが、これはもう何年も前の話なんだ。
彼は大阪の新地に飲食店をいくつか出している。これに暴力団が関係しているといわれているが、関係しているのは暴力団ではなくて大手信託銀行です。この店に関しては暴力団は絡んでいない。現に違法行為は何もないわけだ。しかし、マスコミは紳助をボロクソにやっつけた。「違法行為がないのに芸能界から追放するのはおかしいじゃないか」という声は一つも出てこない。島田紳助は芸能界を引退する必要なんかなかったと思う。まぁせいぜい1年間の謹慎ぐらいでよかった。
僕が怖いと思っているのは、日本のマスコミがだらしなさ過ぎることだ。リクルート事件も佐藤さんや鈴木さんの時もそうだったけど「警察がこうだ」といったら批判精神を一切もたない。全部その通りに報じてしまう。暴力団排除条例について、民放連は全面的に協力すると声明を出している。僕は「朝まで生テレビ」でこの問題についてやったけど、他の局は一切やっていない。みんな警察が「こうだ」というとそれに対して「違うんじゃないか」という批判精神をなくしてしまった。僕はこれを非常に残念に思っている。
プロフィール
田原総一朗(たはら そういちろう)
1934年、滋賀県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業、岩波映画を経て、東京12チャンネル(現テレビ東京入社)。フリー転進後は。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。現在早稲田大学特命教授として大学院で講義をするほか、「大隈塾」塾頭も務める。1998年ギャラクシー35周年記念賞(城戸賞)を受賞。2010年4月よりBS朝日にて「激論!クロスファイア」(毎週土曜AM10:00〜11:00)開始。 著書に『誰もが書かなかった日本の戦争』(ポプラ社)『『ジャーナリズムの陥し穴』(ちくま書房)『田原総一朗責任編集 絶対こうなる!日本経済』『田原総一朗責任編集 ホリエモンの最後の言葉』(以上、アスコム)がある。また、雑誌『オフレコ!』(アスコム)の責任編集長も務める。無料メールマガジンも公式ページで展開中。
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