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「司法官僚 裁判所の権力者たち」 新藤宗幸著 岩波新書 (編集部だより・一部抜粋・あとがき)
http://www.asyura2.com/12/senkyo125/msg/633.html
投稿者 明るい憂国の士 日時 2012 年 2 月 02 日 23:26:02: qr553ZDJ.dzsc
 

黒い魔窟・最高裁事務総局 (神州の泉)より
http://www.asyura2.com/11/senkyo124/msg/748.html

植草氏は2009年8月3日に東京拘置所に収監され、同年10月4日に釈放されているが、収監中、弁護士の梓澤和幸氏が植草氏に、新藤宗幸著「司法官僚」を紹介されたそうである。植草氏のブログを読んだ方々はすでに御承知と思うが、この本には、裁判機能を事実上無効化している『最高裁事務総局』という、黒い魔窟の存在がクローズアップされている。日本の裁判制度は、事実上、この魔窟(a den)によって、思いっきり歪曲され、多くのむごい冤罪や国策裁判を生み出している。私は実際に植草氏が遭遇した2006年の京急事件の公判録を調べてみて、裁判官が検察の作り上げた虚構のストーリーしか認めていないことを知って大変驚いた。客観的に眺めれば、間違いなく弁護側のほうが論旨明快で筋道が通っており、合理性が確認できるものを、裁判官は牽強付会や捻じ曲げた論理で、それらをすべて無視、どう見ても無理筋の検察側論理を正当化した。この形は2004年の品川事件の裁定でもそうだった。植草氏は天を仰いで嘆息するしかなかったようである。

─── 


編集部だより 岩波新書編集部
http://www.iwanami.co.jp/hensyu/sin/sin_kkn/kkn0908/sin_k485.html
新刊の紹介
2009年8月20日発売です。


 日本の裁判所はなぜ消極的なのか

 全国にはおよそ3500人の裁判官がいます。彼らは、私たちの人権を守る「砦」として、憲法で自立を保障されています。しかし、本当に市民の自由を守ろうとしているのか、首を傾げたくなるような判決もたびたび見られます。そうした裁判所の「消極性」はいったいどこからくるのか―著者が目をつけたのは、裁判所の中の「司法官僚」という存在です。

 「司法官僚」という言葉は、あまり聞きなれないかもしれません。裁判官の任用や昇進などの人事、予算などの司法行政を担う人たちのことで、おもに最高裁判所の中にある事務総局で働いています。著者は、彼らのことを「裁判官の衣をまとった行政官」と呼んでいるように、裁判官ではありつつも裁判を担当することはないそうです。この「司法官僚」こそが、さまざまな形で、全国の判事たちを「支配」「統制」しているのではないか―本書では、さまざまなデータをもとに、エリート裁判官である「司法官僚」の実態を分析しています。組織としての裁判所がどのように動いているのかを描き出す一冊です。

 裁判員裁判がスタートしたというニュースが注目を集めていますが、裁判所のあまりみえてこない裏側の姿を本書で触れてみてはいかがでしょうか。

(新書編集部 小田野耕明)


■岩波新書にはこんな本もあります  
技術官僚―その権力と病理 新藤宗幸 新赤版774
裁判官はなぜ誤るのか 秋山賢三 新赤版809
報道被害 梓澤和幸 新赤版1060
名誉毀損―表現の自由をめぐる攻防 山田隆司 新赤版1186
自白の心理学 浜田寿美男 新赤版721


 ───────────────────

※以下、投稿者書き起し


(扉裏)
全国の裁判官の人事や予算などの司法行政を担う最高裁判所事務総局。その幹部を構成する「司法官僚」とは、裁判官の衣をまとった行政官である。彼らはどんな経歴の持ち主なのか。判事たちをどのように「統制」しているのか。
司法の消極性をもたらしているその実態を検証し、市民のための裁判所のあり方を提言する。


目次

序章 日本の司法のなにが問題なのか……  1
消極的な日本の司法  1
裁判官とはどういう人たちか 13

第一章 いま、なぜ、司法官僚なのか……  19
「改革の時代」 のなかで動きだした司法改革  20
戦後の司法改革がなしとげたこと  33
最高裁事務総局とはなにか  45
「司法官僚」──裁判官の衣をまとった行政官  54

第二章 司法官僚は、どのように生まれるのか……61
1 エリート裁判官の誕生  62
2 最高裁長官はだれがなるのか  68
3 事務総長はだれがなるのか  77
4 司法官僚人事にみる共通性とちがい  87
5 エリート裁判官の人事のしかた  107

第三章 司法官僚の支配の実態……113
1 司法官僚機構の影響のおよぶ範囲と対象 114
2 「任期一〇年」と畢高裁事務総局の人事権 119
3 裁判官を評価するしくみと実際 126
4 裁判官を任用するしくみ  146
5 判決を統制しているのか  165

第四章 裁判所をどう変えるのか……185
1 司法行政改革の核心−裁判官会議の復権 186
2 裁判官人事システムの改革 196
3 裁判所情報公開法の制定と市民参加 311
4 司法官僚支配を超える 225

終章 司法改革の責任は市民にある……233
あとがき  241
主な参考文献  245

 序章 日本の司法のなにが問題なのか
 統制される裁判官

 こうした裁判官の生活実態は、なにも裁判官が好き好んで選択した結果ではない。憲法に「自立」を保障された裁判官ではあるが、彼らは専門職業人として職責をはたすだけの条件をあたえられているとはいえない。あきらかに、裁判所機構の上部──本書の主題である最高裁事務総局──からさまざまな「統制」をうけているといってよい。
 職業裁判官の大半は、司法修習生として司法研修所の修習をおえた後に判事補として任官する。そして、一〇年後に大半が判事に任命される。さらに六五歳の定年まで一〇年ごとに再任され、職業裁判官としての生活をおえる。つまり、基本的に一〇年が裁判官の任期なのであって、定年まで勤めるかどうかは、再任されるかどうかにかかっている。
 この任期のしくみや運用については、第三章で詳しく述べる。とはいえ、ここで指摘しておきたいのは、この任期一〇年をもとにして、再任のための裁判官評価がおこなわれてきた。また、それがあるからこそ、裁判官から表立った異論や抗議のでない頻繁な転勤が可能であるともいえよう。裁判官の報酬についてものちに詳しく述べるが、裁判官は一定の基準日に昇給するわけではない。判事の報酬は八号から一号までの八段階とされている。だが、すべての裁判官が一号まで昇給するわけではなく、途中でとどまる者もいる。しかも、昇給期日はまちまちである。こうした昇給の方式は裁判官の行動を「操作」する有力な手段ともなろう。 人事による「統制」は、高度職業人である裁判官の心情や職責の達成に影響をおよぼさずにはおかないだろう。「司法の消極性」「顔のみえない裁判官」「ステロタイプ化された判決」といったように、さまざまな批判がくわえられているのも、その基本にかえってみれば、裁判官に官僚制的な「統制」がくわえられてきたからだといえよう。
 戦後日本の司法は、戦前期の行政府(司法省)支配を否定し、最高裁判所を頂点として独立した機構となった。おおくの市民にとって、独立した司法は政治や行政の改革のための手段となりうる。それだけではない。人権を守っていく「砦」でもある。ところが、職業裁判官にくわえられている官僚制的な「統制」が、こうした市民の期待とは異なる事態を生み出してきたことは否めないであろう。それが判決や刑事司法に反映されているとみることができよう。
 とするならば、いったい、日本の司法のなかのいかなるシステムが、どのようなしくみによって裁判官を「統制」しているのか。まえもっていえることは、戦前期の司法省統制からは脱したものの、日本の司法は雪間裁判所の内部に、強大な権限を実質的にもつ司法行政機構=最高裁事務総局を整備してきた。そして、一般の職業裁判官とは別に、二部のエリート職業裁判官を選別し司法行政にあたらせてきた。裁判官の裁判所内ばかりか地域社会における自由閥達な活動は、司法内部の行政機構によって、制約されているといってよいのではないか。

 本書の構成
 こうした観点にたつ本書は、以下のように構成される。
 第一章では、一九九九年に設置された司法制度改革審議会が見落としたといってよい最高裁事務総局の改革を論じるためにも、事務総局とはどのような組織なのか、また「司法官僚」といわれる一群のエリート裁判官は、いったいだれであるのかを論じる。
 第二章では、「司法官僚」といえる一群の最高裁事務総局の幹部とその候補生について、具体的なキャリアパス(経歴)をみることにする。
 第三章では、司法官僚による裁判官「統制」の実態を人事政策と裁判内容についての「指導・助言」の観点からみることにする。司法制度改革審議会の「意見書」をうけて、裁判官評価や再任のしくみの「改革」、下級裁判所の運営についての「市民参加」が実施に移されている。とはいえ、それらは、はたしてどこまで過去と異なっているのかを論じる。
 第四章と終章では、これらをふまえて、いまなにが日本の司法改革に問われているのか、またどのような改革が必要とされているのかを、具体的に論じることにする。p-18


(あとがき)

 二〇〇九年の八月から裁判員がくわわった法延が、各地の地方裁判所で開かれる。五月二一日の裁判員法の施行を前後するころに盛んに展開された司法のあり方をめぐる議論に、ふたたび火がついていくことであろう。裁判員制度の導入にいたった司法制度改革審議会の設置は、たしかに人びとの司法への関心をたかめた。社会にむけて「ものいわぬ人」とみられてきた現職裁判官のなかにも、司法の現実について積極的に発言をかさねるグループがつくられた。
 こうした状況のなかで、なんとも私の腑に落ちなかったのは、司法制度改革審議会も政府も最高裁も、司法行政機構の改革に積極的に取り組もうとしないことだった。国の基幹的制度である司法は、裁判部門のみで成り立っているのではなく、それをささえ動かしている司法行政部門から構成されている。その実態をふまえた司法改革でなければ、市民に「開かれた司法」となるはずがないだろう。そこで、私が研究代表者となって同僚の宮崎隆次教授らと科学研究費補助金による「司法の政治学1その予備的考察」(二〇〇六−〇七年度)、「司法の政治学──基礎研究」(二〇〇八── 一〇年度)をスタートとさせた。そのなかで、私は司法行政機構とりわけ司法官僚の実態や機能を担当した。
「司法官僚」という言葉は、青法協(青年法律家協会)問題に揺れた「司法の危機」の時代の論説などには、かなり頻繁に使われている。だが、このごろでは「官僚司法」という言葉はみうけるけれども、「司法官僚」はそれほど各種の論説に使われているようにはみえない。もっとも、私も行政研究者の一人だが、行政学は行政官僚機構に研究の焦点をあてており、司法官僚機構、さらにいえば国会官僚機構におよんでいない。司法制度改革なるものへの疑問にくわえて行政学研究への「自省の念」が、この本を執筆する動機でもあった。
 とはいえ、いざ司法官僚の実態や現にはたしている役割の解明に取り組んでみれば、ほんとうに分厚いベールにおおわれており、作業は難航をきわめた。それでも司法官僚のキャリアパス、裁判官人事のシステム、下級審にたいする「指導」などの実態をあきらかにするとともに、私なりに司法行政制度の改革プランをしめしてみた。もちろん、いまなお「隔靴掻痒」の感を免れていないのだが、本書が司法民主主義の確立にむけての一助になり、司法制度改革への新しい動きがうまれるならば幸いである。
 この本をまとめるにあたって、裁判官OBや現職裁判官、弁護士の方々から貴重なお話を伺い、司法行政の実態を知ることができた。お話を聞くにあたっての約束事でもあり、お名前は
控えさせていただくが、心からお礼申しあげたいと思っている。 本書で参照した文献などの収集については、千葉大学法経学部資料室の林美春・助手(司書)の手をわずらわせた。「先生、こんなのがありました」と幾たびも研究室に足を運んでくれた
林さんに感謝している。
 最後に、この本もまた『技術官僚』と同じく、新書編集部の小田野耕明さんの熱心なアドバイスと編集作業にささえられている。お礼を申し添えたいと思います。

  二〇〇九年七月七日
                   新藤宗幸  P-243

新藤宗幸
1946年神奈川県生まれ
   中央大学大学院法学研究科修士課程修了後,
   東京市政調査会研究員,専修大学法学部助
   教授,立教大学法学部教授をへて
 現在一千葉大学法経学部教授
 専攻一行政学
 著書一『行政指導』
    『技術官僚』(以上,岩波新書)
   『新版行政ってなんだろう』(岩波ジュニア新書)
   『福祉行政と官僚制』
   『地方分権第2版』
   『政治とは,なんだろうか』(以上,岩波書店)
   『講義 現代日本の行政』
   『財政投融資』(以上,東京大学出版会)ほか多数


司法官僚裁判所の権力者たち  岩波新書(新赤版)1200
   2009年8月20日 第1刷発行
   2011年7月15日 第5刷発行
   しんどうむねゆき
著 者 新藤宗幸
発行所 株式会社岩波書店
定価(本体780円+税)


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「司法官僚」 アマゾンで購入するならこちら
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4004312000/asyuracom-22  


 

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コメント
 
01. 2012年2月02日 23:53:24 : WJ06VLV4gI
一市民Tです。
この本を読めば、最高裁事務総局が大きな権力を持ち怖い組織であることがよく分かります。
また、事務総局は検察審査会事務局を管理下に置いています。
それらを知った上で、小沢事件を見ると色々わかってきます。

02. 2012年2月03日 15:29:59 : Zc4LsHROVM
この国の中枢を担ってきたのは、東大法学部であると断言できる。
しかし果たして彼等は自らの立身出世にばかり関心を注ぎ本当のエリートに欠かせない「国のためとか国民のため」の視点が無いと感ずるのは私だけだろうか。

03. 2012年2月04日 13:12:23 : GXYgs3pblI
この本が広まり国民の知るところなれば、最高裁事務総局も焦るだろう。

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