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中曽根大勲位×石原都知事「東の石原、西の橋下で共謀せよ」サンデー毎日2012/02/12
平和ボケの産物の大友涼介です。
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中曽根大勲位×石原都知事「東の石原、西の橋下で共謀せよ」サンデー毎日2012/02/12号
中曽根康弘元首相(93)石原慎太郎東京都知事(79)
司会・松田喬和毎日新聞専門編集委員
■三島由紀夫みたいに一人で刀を振り回せませんよ
司会:石原さんは『朝日新聞』の世論調査で「首相にふさわしい人」1位、『産経新聞』とFNNの調査では「日本のリーダーとして最もふさわしい人」として橋下徹大阪市長に次いで2位に名前が挙げられてます。どう受け止めていますか。
石原:ありがた迷惑ですな。この年になって三島由紀夫みたいに一人で刀を振り回すようなことはできませんしね。志は今も変わっていませんが、日暮れた私に過剰な期待を寄せられても日本に迷惑がかかると思いますがね。
中曽根:いやいや、あなたは乱世に向いている政治家です。自己の意見、政策と指導力、経験のある国民的人材は少なくない。
石原:中曽根さんは英雄でしたが、私は梟雄の域を出ませんよ。ところで、戦後の日本を良くしたのは官僚ですが、駄目にしたのも官僚。民主党は「官僚主導を変える」と主張しましたが、官僚抜きの独断専行で行政をできるわけでもない。官僚は道具であって使いこなせばいい。使いこなせない政治家が悪い。
中曽根:その通りですね。
石原:いつかゴルフ場の風呂で中曽根さんと二人きりになったとき、私が「ポスト中曽根にはろくな総理がいませんでしたなあ」と言ったら、中曽根さんは「おれはラスト・プライムミニスター(総理大臣)だからな」とおっしゃたんです。
中曽根:覚えてますよ。石原さんが言ったように、今の政治家は官僚に影響されすぎている。日本の官僚は膨大なエネルギーを持っています。官僚層という熱い陣営を叩き破って独創性を発揮する個性の強い政治家は今に至るまで出なかったですね。最近は自己の意見、政策を強烈に出す政治家が見当たらない。
■「グレートスピーカーになれ」
司会:かつて石原さんが所属していた、自民党のタカ派政治集団「青嵐会」には個性の強い政治家が集まっていました。中川一郎元農水相も渡辺美智雄元副総理も政権を獲れませんでした。
石原:青嵐会結成は私が言い出したんです。ああいう二癖も三癖もある政治家たちを許容し、使う幅が自民党にはなくなってしまった。中曽根さんは、後藤田正晴元官房長官のような役人出身の政治家をうまく使いましたね。、民間の人材も実にうまく活用した。土光敏夫さん(元経団連会長)は中曽根さんのおかげで経済人としての晩節を輝かせることができました。
中曽根:土光さんは臨時行政改革推進審議会の会長として、国鉄・専売公社・電電公社の三公社民営化などの行政改革に尽力してくれました。メザシを食べている強烈な野人経済人です。
石原:あの頃までは経済界の要人は「我が国は」「世界は」という話をしました。今や経団連の幹部と会っても「わが社」「この業界」の話止まりです。
中曽根:総理大臣は、政界も財界も文化界も日本の存在も含めて日本を代表し、総理する立場にあるから「プライム」ミニスターなのです。経団連会長といえども広い意味で日本のために総理大臣を助ける一人なのです。土光さんはその点をよくわかっていた。「使う人間がしっかりしていれば国のために使われていい」という考えでした。
石原:今の国会を眺めると、ひと癖ある人間もいなくなりましたね。
中曽根:だから東の石原さんと西の橋下徹さん(大阪市長)が連携して、地方の声や国民の声を背負って中央や官僚をこき使って欲しい。この二人が対官僚、対中央で共謀して戦ったらすごい力になると思います。
石原:あまり余計なことを言わないでくださいよ。1975年、美濃部亮吉さんと争った都知事選で私は負けました。あの時当選しなくてよかったと思います。行政経験のない人間が都政を預かったら、美濃部さんや青島幸男さん(元都知事)と同じように東京はズタズタになりますよ。
中曽根:都知事はある意味、総理大臣に次ぐ権威を持ち、他の知事とは違う重みがあります。石原さんは国政で環境庁長官や運輸相をやって行政経験を積んだ後に都知事になったので大丈夫だった。個性の強さや「わが道をゆく」という姿勢は国会議員時代と少しも変わりませんね。そろそろその個性を国のために使わせてもらいたい。
石原:私が知事になったときに中曽根さんがわざわざ紙に書いてアドバイスしてくださった紙は書斎の壁に張ってあるんです。今ではぼろぼろですが、そこにまずこう書いてある。「グレートスピーカーになれ」。米国のレーガン大統領みたいに”自分の言葉で話せ”という意味です。中曽根さんはグレートスピーカーでした。
中曽根:ちゃんと書斎に張ってくれていたんですね。感銘しました。石原さんは自我が強い人だと思っていましたが、他人の言葉に耳に傾ける柔軟性のある人なんですね。知事としての責任感がそうさせたのでしょうね。
石原:中曽根さんにアドバイスしていただいたことは大方やりましたが、一つだけ残ったことがあります。
中曽根:破壊的教育改革ですね。
石原:そうです。これだけはなかなか難しい。一人や二人ではどうにもならない。
中曽根:私は臨時教育審議会をつくって改革に乗り出しましたが、難しい課題でした。でも、あなたでなければできませんよ。
石原:教育問題では、橋下君は私よりラディカル(過激)にやろうとしています。彼の「教育基本条例案」では、教職員の人事評価で5%の人に最低レベルのD評価をつけ、Dが2年連続の教員はクビにしますと言っています。誰がどういう基準で採点するかはなかなか難しい。また、大阪市民の18人に1人は生活保護を受けています。こんな無茶な金の使い方はない。橋下君が直そうとしたら、滑稽なことに市長選で自民党と共産党が一緒になって対立候補を応援した。負けるべくして負けましたがね。私はまねすべきことは橋下君のまねもしようと思っています。彼は東京がやりだした複式簿記・発生主義会計を採用してくれました。
中曽根:そうですね。やっぱり政治家は自分の理想とか夢を持っていないと駄目なんです。それと強烈な実行力です。
石原:世界観や歴史観があって初めて夢は人を納得させるんですね。小沢一郎さん(元民主党代表)のような、選挙に勝って政権を獲得したいというだけの夢では困る。中曽根さんは土光さんを登用して行政改革に成功しました。同じようにやろうとして失敗した例が小泉純一郎さん(元首相)です。米国の市場原理主義をそのまま持ってきて日本経済をズタズタにした。総理大臣が間違った夢を持つとろくでもないことになる。
中曽根:石原さんは夢の多い政治家ですし、国民に夢を持たせる政治家だと思いますよ。壮大な根拠のある夢を秘めている。
■必要なら橋下君のまねをする
石原:政治家にとって大事なのは、この国を背負っているという気概です。中曽根さんと私の共通項は戦争体験。中曽根さんは南の島で部下が大勢死ぬのを目にし、私は機銃掃射で逃げ回りました。息を詰めて国家の命運を見守った経験は拭い難い。そんな経験が気概を生むのです。日本が世界第二位の経済大国になり、中曽根さんはサミットで「俺は世界のナンバーツーだ」という顔でレーガンの隣にすまして立っていた。国家に対する愛着と自負があったからこそで痛快でした。できたて総理が端っこでしょんぼりしているのとは違います。漢字の読めない奴が総理になるんだから、いやになっちゃいますよ。
司会:石原さんは東京から日本を変えると標榜しています。東京とは被災地の瓦礫を引き受けることを決めました。他の自治体はほとんど拒んでますが、どうしてなのでしょう。
石原:そりゃ我欲でしょう。政治家の保身、ポピュリズムですよ。東京で処理するというと何千通も苦情が来ました。「黙れ」と言うしかない。評判は悪かったようですが・・・。
中曽根:石原さんの場合は愛国心でしょう。知事になると自分の県のことしか考えない癖がありますが、それを離れて日本全体を考え、同胞を考える。日本人として仕事をしているのだと思います。
石原:ありがとうございます。それでは国外も見渡して中曽根さんは今年、世界はどうなるとお考えですか。
中曽根:「変」と「乱」という言葉がありますが、「変」の年になると思います。応仁の乱ほどではないにしても、本能寺の変のようなことが起きると考えています。
石原:私は「乱」になるのではと思います。昨年12月に南アフリカ・ダーバンで行われたCO2に関する会議(国連気候変動枠組み条約第十七回締約国会議)は全くナンセンスでした。米国、中国、インドという大排出国のごね得で、5年後にルールをつくるという議決にならないような議決をした。欧州では白人の驕りがつくったEUが自己崩壊している。アフガニスタンでは、一神教であるキリスト教の白人社会に対するイスラム有色人種の相克が続いている。この三つがこんがらがると、「変」だとしても、とんでもない「大変」になると思います。
中曽根:文明の衝突もある。世界中の指導者が変わる年ですから、国際社会の雰囲気や政治の手法も変わるでしょう。欧州内部では既に問題が表面化しているし、米国にも波及するはず。世界中が現状では治まらなくなる。変化の胎動が起きています。そんな中で、日本と中国がどう動くかがカギになります。今年こそ政治家は身を捨てて国事に奔走しなければならない。
石原さん:中曽根さんがおっしゃった世界の文化は中国にも波及するでしょう。国内が不安定になってきたときに独裁政権がやるのは、しなくていい戦争をすることです。軍事的緊張で国民としてのアイデンティティーを再確認させる。この点を日本は注意しなければならないと思います。
■不平不満集団の新党は無意味
司会:日本では東日本大震災が転機になるのではないでしょうか。
石原:転機にしなければいけないですね。荒廃した街の再建にはまずインフラ整備です。私が宮城県気仙沼市を訪れて思ったのは、外資を含めた復興ファンドをつくればいいということです。にもかかわらず、自治体は全額国費による復興事業を求めてしまう。日本経済に対する海外の評価は依然として高いですよ。だから円高なんでしょう。中曽根さんならこの円高、どう対処しますか。
中曽根:円が強いのはチャンスでもあるわけですね。その円の強みをうまく使いながら、思い切ってODA(政府開発援助)を増やして日本の考え方をアジアや世界に浸透させることができるでしょう。日本固有の文化力を発信することに政府は金を使うべきです。
司会:昨年末の中曽根さんと中山太郎元外相との対談では憲法改正が必要、という認識で一致しました。石原さんはどうお考えですか。
石原:絶対必要。長々と議論するんじゃなくて瞬間的にやったらいいんですよ。最低でも集団自衛権の行使は明記すべきです。でないと世界の変動に対処できません。武器輸出禁止も全面的に解除すべきです。核は難しい問題ですが、オバマ米大統領が「世界の核をなくす」と言ってノーベル平和賞をもらった翌月には核兵器のシュミレーションをやっているんだから、日本もスーパーコンピューターを使ってシュミレーションくらいしたらいい。太平洋の南鳥島には自衛隊がいますが、港や滑走路を充実させれば最新ミサイルの発進基地に最適です。
中曽根:核武器について私は近隣諸国との関係から当面核は持たないでいくのが非常に賢明な政策だと考えています。憲法改正では非常事態に対応できるようにしなければなりません。大震災で非常事態に対応する法体系が足りないことがはっきりしました。
石原:日本人の憲法に対する思いは理念とか観念のような知的なものではなく、ただのセンチメント。恋愛のようなものですよ。外国との関係で身体が震えるような大きな危機に直面しない限り、日本人は覚醒しないでしょうね。65年間、米国の庇護の下にいて、危機感を持ったことがないんですから。
中曽根:今、新党運動をやろうとしている人々は憲法をどうするのかを語って欲しいですね。
石原:全くそうです。私は亀井静香さん(国民新党代表)にもそう言っているんです。昨年末、彼が「年内に新党を」と急いでいるから、なぜかと問うと「政党助成金をもらえる期限だから」だって。憲法をどうするか、核をどう考えるか、どう教育改革をするかでまとまらずに、政局に不満足だから徒党を組むでは国民に受けるわけがない。坂本龍馬の船中八策のような指針を中曽根さんが授けてくださいよ。
司会:こちらに来る前に亀井さんに会ったら「新党ができれば諸勢力を呑み込んで間違いなく動き出す。第三極なんていうものではない」と言ってましたが。
石原:ハハハ、去年聞いたのと同じ話だな。
中曽根:新党をつくるときには考えを整理して、この日本をどうするかを正面に掲げる必要がありますよ。そうでないと単なる不平不満の集団で意味がない。日本の直面している危機を国民に強く訴えるべきです。
石原:本当にそうです。日本の政治が停滞に甘んじている理由は、政治家が国を背負わず選挙区だけを背負っているからです。
■あまりおだてても駄目ですよ
司会:1993年の細川護煕政権以来、政界再編のキーマンと見なされてきた小沢一郎さんをどう思いますか。
石原:彼の財力にはただ瞠目するばかりですがね。中曽根さんと対照的な人物だった田中角栄さん(元首相)は、小沢さんを凌ぐ財力を持っていたかもしれませんが、角さんには閃きがあり、国を背負っている気負いがありました。小沢さんのメッセージで国家に関する思いなんて聞いたことがない。
中曽根:角さんと小沢君では比較にならないよ。小沢君は角さんのおっぱいを吸って出てきたけれど、おっぱいの味が忘れられず、残りのおっぱいを吸っていたいというマヌーバ(策略)でやってきている。今回、政治資金をめぐる裁判で審判を受けるわけです。どのように乗り切っていくかに将来がかかっている。政治生命をまっとうできるかの重大なピンチにあると思いますよ。それはまた彼にとって絶好のチャンスです。それより今、日本の運命を考え指導できる人は少ない。だから日本再興の石原戦略に注目が集まっています。石原さんのイメージは昔からかなり変わってきて、国民の間に新しい重要な石原像ができていると思いますよ。国会議員、自治体の首長と長期間貴重な経験もし、場も踏んでいる。
石原:いや、私は変わってません。あまりおだてても駄目ですよ。中曽根さんから私にしていただくべき忠言は「君も年だからそろそろ辞めたらどうか」ですよ。
中曽根:94歳になろうとする私がこうして対談して意見を申し上げているんだから、石原さんは若い。脂が乗り切って、まだまだこれからですよ。
(構成・本誌 奥村隆記者 この対談は1月18日に東京都内で実施しました)
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