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2012年2月 1日 (水)
尖閣諸島中国漁船衝突事件と米国、そしてショックドクトリン ショックドクトリンとは、大惨事につけ込んで実施される過激な市場原理主義改革(The Rise of Disaster Capitalism)」という意味で、カナダのジャーナリスト、ナオミ・クライン(Naomi Klein)氏が2007年に著した本のタイトルである。この著書は瞬く間に世界中に伝播し、多くの知識人に現代思想上で重大な認識を与えたらしい。この本には「惨事便乗型資本主義の正体を暴く」という副題が付けられているが、ナオミ・クライン女史が説くショックドクトリンが何であるかについては、女史自身が説明した動画 (注 下掲動画) が幾点か出ているので、それを見れば良いガイダンスになる。この本の執筆動機は、新自由主義の経済学者ミルトン・フリードマンの「真の変革は、危機状況によってのみ可能となる」という主張に対し、クライン女史は、現代の最も危険な思想と看破し、そのアンチテーゼとして「ショックドクトリン」を著した。 女史によれば、「近年の悪名高い人権侵害は、とかく反民主主義的な体制によるサディスト的な残虐行為と見られがちですが、実は民衆を震え上がらせて抵抗力を奪うために綿密に計画されたものであり、急進的な市場主義改革を強行するために利用されてきた」と主張する。要するに天災・人災を問わず、何か大参事やテロ、恐怖政治、独裁政治の崩壊などが起きた直後、人々は思考停止状態に陥り、判断力や推理力が脆弱化し極めて単線的に物事を信じやすくなる。それに付け込んで、市場原理主義者たちが救済や復興、あるいは構造改革という美名ビジョンの下で、小泉・竹中構造改革路線が導入した市場原理至上主義構造に切り替える作業を急進的に行うのである。 その手法はいろいろあると思うが、国家の場合には、その国に協力者を得て彼らに内部から手引きをしてもらうのである。池波正太郎原作の「鬼平犯科帳」には、盗賊の手先として「引き込み女」が出てくるが、これは国家の社会構造を国際金融資本の意のままに極端な市場原理至上主義に構造転換をして、外資の収奪行為を可能にした構造改革派全てが該当する。その最大の経済戦犯が竹中平蔵氏であった。鬼平犯科帳の主人公も長谷川平蔵という名であり、平蔵繋がりで奇妙な一致を見せている。しかし、菅政権時も、野田政権時もショックドクトリンのショックに相当するものが、東日本大震災と原発災害であることに異論はないであろう。 さて、三橋貴明氏や中野剛志氏など、いろいろな俊英が指摘しているように、TPPは明らかに我が国で起きた東日本大震災とそれに連動した福島第一原発事故を利用したショックドクトリンの適用とみなすことができる。東北復興計画に外資が進出しやすい市場構造ができつつあることは危険な現象である。中野剛志が指摘するように、今まで政府が地方を見捨てているルサンチマンが相俟って、東北エリアがその悪魔の復興ビジョンに乗ってしまうことは充分に考えられる。その前に、日本でTPPが最初に人口に膾炙(かいしゃ)され始めたのは、菅直人前首相が、2010年10月1日の所信表明演説で突然に出されてかららしい。従って、311以前から日本をTPPに巻き込むために、国際金融資本のロビーストたち(ジャパンハンドラーズ)が菅氏に接触して洗脳していた可能性は高い。 では、菅政権初期にショックドクトリンはなかったじゃないかと思う向きもあるかもしれないが、実はかなり大きなショックドクトリンが生起していたのである。それが2010年9月7日に起きた尖閣諸島中国漁船衝突事件である。これに対する菅前首相、特に仙谷前官房長官の実質上の対応は、国の体面に泥を塗るひどいものであったが、私はこの事件の筋書きを描いたのは、中国ではなくアメリカだと思っている。その最大の理由は、小沢一郎氏と菅直人氏の党首選、事実上、日本の首相を決定する選挙の真っ最中に起きたからである。 小沢一郎氏が日本の宰相になった場合、一番困る国が小泉純一郎氏を持ち上げていたアメリカである。小沢一郎氏は小泉・竹中構造改革の反動的政治を目指し、つまりは国民主体の政治を実現しようと本気で政権交代を実現させた実力者である。取りも直さず小沢氏が選ばれることは、国際金融資本の日本進出を確実に頭打ちにすることであるから、アメリカはどうしても菅直人氏に軍配を上げる必要があった。ここで中国共産党の本音を私は推測したが、結論的に言って、中国もまた小沢総理大臣の登場を本音では望んでいなかったとみる。なぜなら中国も韓国も日本がアメリカの桎梏から離れ、実質的な独立国家になることを望んでいないからである。 彼らはアメリカが我が国に敷いた東京裁判史観、つまりは「閉ざされた言語空間」に永久的に従属したままのほうが都合がよいからである。だから、日本の若い官僚や政治家予備軍が、アメリカに留学してワシントン・コンセンサスの洗脳を受けて帰ってくることを腹の中では歓迎していることになる。東京裁判史観はネオリベ思想敷設にとって整合性が高いのである。日本が米国の従属国家であり続けるほうが現在は都合がいいという話である。つまり、中国は竹中平蔵二世、三世がどんどん巣立って日本が政治的にも、軍事パワー的にも脆弱なままであって欲しいのである。田中角栄氏が日中国交回復を行った1972年から、その文脈で中国は小沢氏に対して親密性をアピールするが、本音では小沢氏の国家運営を忌避している。日本の自立化阻止は彼らの戦略上絶対必要条件であることに変わりはない。 そこで、菅・小沢党首選で、実態は小沢氏の優位を見抜き、焦ったアメリカは急遽、中国共産党とホットラインで相談をし、例の中国漁船衝突案件を提案、それを中共政府に依頼した。中国とアメリカは表面上は敵対する二大覇権国だが、経済的には互いの利益がかみ合ううちは協力関係にある。小沢一郎氏を党首選に敗北させることは、両国の共有利益に合致することだったので、中共政府はこの要求を快諾し実行に移したのではあるまいか。それが例の漁船による敵対行動であった。また党首選では、米国がCIAを動かして党員サポーター票の不正操作を行い、菅直人という、なるべきでない人物が国政を担当指揮することになった。 国会議員も尖閣事件を見てから、やっぱりアメリカに守ってもらわないと危ないと考え、菅氏に票を投じた者がかなり出たと思われる。つまり、私個人の見解であるが、尖閣漁船衝突事件は、アメリカと中国の合作であったということになる。事後、クリントン国務長官の奇妙な平静さがそれを示唆していたように見えた。同時にこの衝突事件は、日本に国際金融資本が上陸する上で十分なショックドクトリンになったのである。菅首相が2010年10月の段階で突然TPPをぶち上げ「開国宣言」というとんでもないスローガンを打ち出したのは、背後に国際金融資本の暗躍があったからである。これは極めて鮮明なショックドクトリン構造となっている。 最後に、菅・野田両政権時に大震災や原発事故がダメ押しのようなショックドクトリンになっていることは疑う余地がないが、小泉政権時でそれに該当する案件が何かと問われれば、阪神大震災で動揺した後の、橋本政権時代の金融ビッグバンがそれに該当するだろう。それに加えて、2001年12月には、小泉元首相は青木建設の倒産に対するコメントとして、「構造改革が順調に進んでいることを示すもの」と述べて建設業界にショックを与え、続く2002年10月には、竹中平蔵氏が「“too big to fail”=潰すには大き過ぎるとの考えはとらない」と言って銀行業界を震撼させ、日経平均株価を暴落させた。これらも金融ビッグバンに追い打ちをかける十分なショックドクトリンであった。
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○ショックドクトリンについて
○尖閣諸島中国漁船衝突事件をこう考える
ショックドクトリン(抜粋版)
http://www.youtube.com/watch?v=6iGLifiaUmE
(5分32秒)
2012年2月 1日 (水)
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