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日本の年収100億円の富裕層は年収100万円の貧困層より税・社会保険料負担が低い
上のグラフは「日本のトップ1%の所得シェアの推移」です。残念ながら2005年までの数字しかありませんが、富裕層1%の所得シェアは年々増加しています。日本の富裕層1%の所得が年々増加するということは、99%の国民の所得は年々減少しているということです。それを示すのが下のグラフで、民間労働者の賃金も、国家公務員の給与も日本だけが下がり続けています。
そして、富裕層1%の所得が増加するだけでなく、下のグラフにあるように、日本の大企業の内部留保が増加し続けています。
日本社会の根本的な問題は、富裕層1%と大企業の富が増え続け、99%の国民の収入が減り続け生活が悪化していることにあります。
ビル・ゲイツと並んで世界トップの所得を争うアメリカの大富豪の投資家ウォーレン・バフェット氏は、ニューヨークタイムズ紙に「大金持ちを甘やかすな」と題し寄稿。「私や私の友人たちは、億万長者を優遇する議会に長期間甘やかされてきた」、「私の事務所の20人の秘書は、33〜43%、平均で36%の連邦税を納めている。私が一番低いんだ」「課税所得に対する税率は17.4%にしかならない」として、富裕層への増税を主張しました。
ドイツでは資産家50人が連名で、メルケル首相に対して、「財政赤字の打開策は、貧困層に痛手となる歳出削減でなく、富裕層への増税だ」と提言、フランスでは資産家16人が富裕層を対象にした特別貢献税の創設を提唱、イタリアでは自動車会社フェラーリの社長のモンテゼーテロ氏が富裕層への増税を主張しました。
ところが、日本では所得100億円を超える富裕層の所得税負担率はわずか14.2%です(2007年の国税庁データ)。「大金持ちは甘やかされてきた」と言うバフェット氏の所得税負担率17.4%よりも低いのです。
上のグラフは、私が労働総研の労働者状態分析部会でお世話になっている財政問題研究者の垣内亮さんが作成した「申告所得に対する税・社会保険料負担率」で、2007年の国税庁「申告所得税の実態」から作成したものです。
上のグラフを見ると、所得100億円を超える富裕層の税・社会保険料負担率18.9%というのは、所得100万円の貧困層の20.2%よりも低くなっています。
また、垣内さんは2010年度分の有価証券報告書から、トヨタ自動車の豊田章男社長(年収3億4,083万円)とトヨタの正規労働者(平均給与727万円)の税・社会保険料負担率を計算しているのですが、その結果は、豊田社長が16.0%で、労働者は30.7%でした。豊田社長の負担率は労働者の半分程度なのです。
バフェット氏の言葉をかりるなら、「日本の富裕層は世界で最も甘やかされている」ということです。日本においても「財政赤字の打開策は、貧困層に痛手となる歳出削減でなく、富裕層への増税」なのです。
(byノックオン。ツイッターアカウントはanti_poverty)
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