93. 2012年1月25日 21:15:15
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90だけど、一見景気がよくなったようにみえて、じつは大企業や富裕層だけで、実際の労働者の収入は激減していることについて それを裏付けるデータを 経済アナリストの森永卓郎氏が『節約した人件費の向かった先』 で、紹介している。 まず、 人件費のかかる正社員よりも人件費のかからない 非正社員が増えているということである。 雇用者のうちに占める非正社員比率 2002年1月〜3月期 28.7% 2007年1月〜3月期 33.7% この5年間で、5%増加している。 この5年間に実質GDPは5.1%増加しているが、
GDP統計の「雇用者報酬」によると、
2002年1月〜3月期 268兆円 2007年1月〜3月期 263兆円 と、1.8%減少している。 まあ、非正規雇用の比率増大が、雇用者報酬の減少に寄与 しているのではないかという見方がある。 それにしても、派遣などの非正規雇用のピンハネが酷いと思う。 私の知っている30代前半の女性が、4割か5割近く ピンハネされているのを知ったと言っていた。 このような酷いピンハネは欧米ではないと言われる。 2001年度から2005年度の 雇用者報酬は8兆円以上減少しているが、 一方で、この間の企業の営業余剰は 10兆円も増えているという。
賃金を上昇させない理由として、国際競争力維持のためと 言っているが、 それに対して、森永氏は これはおかしいのではないか。もし、日本企業がグローバル競争に勝ち抜こうというのなら、人件費の節約分を製品価格の引き下げに振り向けているはずである。しかし実際には、人件費の下落を上回る分が、まるまる企業のもうけになっていたのだ。 と、疑問を呈している。
そして、財務省公表の「法人企業統計」を見ると、 2001年から2005年の人件費を見ると、 2001年 1,928,607億円 2005年 1,968,475億円 と2%ぐらいしか増えていないが、 配当金は 2001年 44,956億円 2005年 125,286億円
279%増加 役員報酬は
2001年 5,650億円 2005年 15,225億円 269%増加している。 普通の従業員の賃金はほとんど増えていないが、 株主への配当や役員報酬が2.7倍も増えているのだ。
それが、小泉政権下で発生した現実である。 小泉政権の経済ブレーンであった 竹中平蔵氏は 政権に参加する前から、 貯蓄から投資へと 株式投資を進めていたが、 普通の庶民が、そんなに投資家みたいに 株式投資に心血注げるわけはない。 過去最高の利益を出している大企業の株主の 半分近くは外資系である。 つまり、大企業の利益の増加分の果実が 日本国内の労働者よりも 外国人の株主に還元されてしまっているのだ。 また、規制緩和の元、派遣事業の規制は緩和されたが、 野放図な状態で、派遣労働者の給与が大幅にピンハネされたり、 正社員と同じ仕事でも、正社員よりも低い給料しか 支払われていない。 同一労働・同一賃金は欧州では普通だが、 日本ではそうではない。 普通のサラリーマンなど庶民は、景気拡大の果実を得られず、 その果実は 役員や株主(外資系も多く含む)に分配されているのだ。
これが、小泉政権下の経済政策の末路である。
労働者の賃金が増えない現状では、消費は増えず、内需は弱く 景気が大幅に拡大しないことは当然である。
トヨタが 国内の新車販売が増えず困っていると 言っているが、 トヨタの奥田会長が 経団連の会長をしていた時、 労働派遣法が変更され続け、 企業にとって有利で、労働者にとっては不利な法に変わり、
また、過去最高の利益を出しながら、 賃金上昇を抑制しているなかで、 所得が増えず、消費が弱まり、自動車が売れなくなるのは 当たり前だ。 そして、所得が増えないと、税収の伸びも小さくなるが、 少子高齢社会で、社会保障費が増大しているなか、 その費用を何でまかなうかとなるが、 経団連が「消費税を増税し福祉に、法人税は引き下げを」 とのたまっているが、 ふざけるな!!
と言いたくなる。
全く所得が増えない庶民に負担感の大きい消費税増税を求め、 過去最高の利益を出しながら、自分達にかかる法人税は 下げてくれとは、自分達のことだけしか考えていないと 思える。 消費税を増税したら、消費が弱まり、不景気になり、 自分達の企業の売り上げ低下につながり、結局は 自分達の首を絞めることになるのだ。 そんなこともわからないだろうか? 森永卓郎氏は
家計に占める消費の比率は、総務省統計局が公開している「家計調査」を見ると分かる。それによると、年収254万円の世帯では77%を消費に回しているのに対して、年収1155万円の世帯は46%しか消費に回していない。つまり、金持ちほど収入に占める消費の比率は少ないのだ。 とコメントしているが、 年収が低い程、所得に対する消費比率が高くなる。 年収が1000万円を超えている人の比率よりも 年収が1000万円以下の人の比率が多い。
つまり、平均年収またはそれ以下の人たちの所得を増やす方が、 社会全体の消費は増えるのである。 それからわかることは
従業員に対する給料を上げて、所得を増やした方が、 消費は増え、景気は拡大し、企業の売上高も増え、 利益が増えるのだ。 しかし、今の大企業はそのような発想はなさそうだ。
そうであるなら、政府は消費税増税ではなく、 過去最高の利益を上げている法人に対する 増税をすべきであり、その法人税増税分を 社会保障などで、社会全体の所得再分配に ふりわけるべきだ。
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