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一体改革素案が抱える年金爆弾
2012年1月24日 火曜日
編集委員 田村 賢司
消費税引き上げを含む社会保障と税の一体改革には隠れた「爆弾」がある。最低保障年金制度は、中高所得者にとって給付減、負担増の恐れがある。負担と給付の試算は国民に見えず、「知らされないまま」の改革進行の格好だ。
2月中に閣議決定し、3月の法案提出を目指す社会保障と税の一体改革に新たな懸念が出てきた。素案の中身に一体改革の「質」自体を考えさせるものが含まれていることが分かってきたためだ。
その1つは、民主党が過去のマニフェスト(政権公約)で訴え続けてきた年金制度の一元化に含まれる最低保障年金。民主党は、国民年金と厚生年金を一体化し、支払った保険料に応じて年金を受け取る所得比例年金と、低所得で年金額が少ない層にも月額7万円の最低保障年金を給付するとしている。
最低保障年金は低所得者に満額給付するが、一定の所得になると給付額が減り、さらに所得が上がるとゼロになる。その分は所得比例年金の方の給付で“補う”というのが新制度の仕組みだが、負担と給付の構造は一変する。
従来は生涯平均年収260万円から給付が減り、690万円でゼロになる案で厚生労働省が試算した影響度だけが表に出ていたが、実際にはそれ以外にも給付対象を減らす3つの案があった。ところが、いずれのケースも一部を除いて中高所得者の給付は現在よりも減り、ほとんどの場合で財源が今よりさらに大きく必要になることが分かった。
25.6兆円もの追加財源が必要
今年1月初めに決まった社会保障と税の一体改革素案では、「2013年に(新年金制度の)法案を提出する」と明記しているが、こうした試算内容はほとんど国民に知らされないまま。いわば、年金制度の根幹が曖昧な状態とも言え、今後、この問題がクローズアップされれば、政府・民主党が3月にも提出を狙う一体改革法案への影響は避けられないと見られる。
厚労省の試算は昨春行ったもので、前述の「生涯平均年収260万円から給付が減り、690万円でゼロ」(グラフの「最低保障年金(4)」)のほか、一定年収から年金給付を減少させず、「690万円で最低保障年金ゼロ」(「同(3)」)、「520万円で最低保障年金ゼロ」(「同(2)」)、「380万円で最低保障年金ゼロ」(「同(1)」)の3パターンについても実施している。
給付対象を減らして試算を行ったのだが、背景にあったのは予想以上に追加財源が必要になることだった。新制度は、2016年度から移行を始め、45年で完了する目論見だが、完全移行後、約15年たった2075年度では、「生涯平均年収260万円から給付が減り、690万円でゼロ」になる案(4)の場合、必要財源が61兆3000億円に上る。これは現行制度を維持した場合に必要になる35兆7000億円より25兆6000億円も多くなる。
ごく一部を除き、年金給付は減る
物価上昇で税率1%当たりの消費税収が増えることを見込んでも、現行制度のままの場合より4.7%分高い11.2%の消費税増税が必要になるという。
給付対象を減らしていくと当然、必要額は小さくなるが、それでも現行制度並みになるのは「380万円で最低保障年金ゼロ」になる案(1)の場合だけ。ところが、給付対象を減らすと今度はもう1つ大きな問題が起きる。前ページのグラフの「現行制度(1)」は現在の厚生年金側の給付水準で、同年金受給者は4つの試算案のほとんどの状態で、現在の給付を下回ることになる。
上回るのは、最も財源がかかる案(4)で、しかも生涯平均年収が約420万円以下の場合だけ。ほとんどの試算案では、中高所得者の大半が負担増になる一方で給付減ともなり、現状のままでは実現は極めて難しいと見られる。
最低保障年金制度を巡っては、2007年に当時の小沢一郎代表が年収600万円で減少が始まり、同1200万円超でゼロにする案を検討したが、財源が膨大になることから事実上、立ち消えになっている。
その当時の案をより現実的にしようとしたのがこれらの試算案だが、実態はそれでも実現は難しい状況。自民党内には「いいかげんな年金改革案を基にしている点で一体改革案は問題だらけだと示している」(林芳正・自民党政務調査会長代理)と批判する声も強い。一体改革の先行きは決して楽観できない。
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時事深層
日経ビジネス “ここさえ読めば毎週のニュースの本質がわかる”―ニュース連動の解説記事。日経ビジネス編集部が、景気、業界再編の動きから最新マーケティング動向やヒット商品まで幅広くウォッチ。
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著者プロフィール
田村 賢司(たむら・けんじ)
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