http://www.asyura2.com/12/senkyo125/msg/264.html
Tweet |
事件は2003年9月に起こった。奈良県大和郡山市で警察官が逃走中の車に発砲し、助手席の男性が死亡し、運転していた男性は重傷を負った。この事件で死亡した男性の母親が警官4人を奈良地裁に告訴した。2006年1月、奈良地検が不起訴を決定。これを受けて母親が奈良地裁に付審判請求1を行なう。2010年4月、奈良地裁が警官2人を特別公務員暴行陵虐致死と同致傷の罪で審判に付す決定を下した。2011年1月、奈良地裁が殺人罪でも審理をすることを決める。2012年1月23日、初公判が開かれ両被告が無罪を主張した。判決は28日に行なわれる。なお、この裁判は裁判員裁判である。
検察官役の指定弁護士側は冒頭陳述で、助手席側ドアの横から至近距離で発砲したとし、「(2被告は)発砲してでも運転を止めるしかない、場合によっては頭部に当たってもやむを得ない、と思った」と殺意を主張。また「渋滞だったうえに多数のパトカーもいて、逃走は事実上困難だった。(発砲しなくても)車は止められた」と訴えた。
一方、弁護側は冒頭陳述で、逃走経路の地図とイラストなどを裁判員らに提示。「窃盗容疑の事件現場周辺から20キロ以上逃走し続け、時には時速百数十キロの猛スピードを出した。信号無視も繰り返し、一般車両と接触事故を起こしながら逃げた」とし、「常軌を逸した暴走ぶりで、車を凶器として扱っていた」と強調。「警官や市民の命を守るため、発砲しかなかった」として拳銃使用は適法だったと訴えた。
付審判決定書によると、03年9月10日、県警は車上荒らしの疑いで逃走車両を追跡。車両は危険な運転を繰り返したため、複数の警察官が大和郡山市の国道24号の交差点で取り囲み、計8発発砲した。2被告の銃弾は、助手席の高壮日さん(当時28)の頭や首に命中。約1カ月後に死亡した、としている。
逃走車両の容疑は「窃盗」である。取り逃がしたからといって市民の身に危害を及ぼす恐れはない。逃走車両が「時速百数十キロの猛スピードを出した。信号無視も繰り返し、一般車両と接触事故を起こしながら逃げた」というのは、追っ手から必死に逃れようとしている逃走車両においては、よくあることで取り立て特殊な動きではない。逃走車両を追跡するパトカーは、このまま追跡行為を続けると、逃走車両が他者を巻き込む大事故を起こす恐れが強いと判断した場合、追跡を中止することになっている。弁護側は「車を凶器として扱っていた」と強調しているが、それはパトカーが執拗に追跡を続けた結果であり、一般車両と接触事故を起こしながら逃げ続けているならば、大事故の発生を未然に防ぐために追跡を中止するのが警官としての普通の判断というものだ。追跡をやめさえすれば、大事故発生の危険は速やかに消滅する。
逃走車両は渋滞の中、交差点で数台のパトカーに包囲され、これ以上の逃走が困難な状況にあった。このとき、パトカーから3名の警官が逃走車両に近づき、ドア横から車内に向って計8発発砲した。この行為で指定弁護士側は、「両被告は高さんを殺害しようとまでは考えていなかったが、当たって死亡してもやむを得ないと考えた。未必的な殺意があった」と主張。両被告は車に接近して連続的にほぼ同じ方向へ発砲しており共犯関係にあったとした。
これに対し、弁護側は「助手席の高さんに当たらないよう配慮し、運転していた男性の腕を狙って発砲した。車両が移動したため、着弾点がずれた」と否定している。これはおかしい。ドア横から運転していた男性の腕を狙って発砲しようとしたタイミングで車両が移動したから、狙った腕ではなく、運転手の頭部および助手席の男性の後頭部と首に命中したと主張していることになる。この主張が成立するためには、車の車高が発砲しようとした一瞬のタイミングで低くなったと考えなければ、腕を狙った弾丸が頭部や首に命中することはあり得ない。
停止させた逃走車両内の人に向って拳銃を発砲すること自体、尋常なことではない。この発砲について弁護側は「警官や市民の命を守るため、発砲しかなかった」と主張している。市民の命を守るのが最大の使命なのであれば、逃走車両の追跡を断念すればよいことだ。しかし、逃走車両は交差点でパトカーに囲まれていた。おそらくこの状況で、逃走車両はパトカーに体当たりを行ない、なおも逃走しようとしたのだろう。体当たりされた警官らが逆上し、窃盗犯に向って拳銃を8発も発砲したのだと思う。
ようするに体当たりされて「逆上した」警官が死んでもかまわないと思いながら逃走犯に向って8発も発砲したということ。そういうことなら了解可能だ。弁護側が言う「警官や市民の命を守るため、発砲しかなかった」という主張は到底了解できるものではない。警官たちは逃走車両のすぐ横にいたのだ。脱出困難な状況では「市民の命」にはなんの危険もない。仮に逃走車両が包囲を振り切って再び逃走したとしよう。その場合は、大事故の発生を未然に防ぐために追跡を断念すればよいだけだ。この場合、警察のメンツは丸つぶれだが、そんなことよりも市民の命が大事なはずだ。
警官が逆上すると怖い。まるで赤塚不二夫の警察官だ。やたらと発砲しまくる。
1. 付審判 警察官や公務員の職権乱用事件を対象にし、不起訴に不服がある場合、告訴・告発人が裁判所に審理を請求できる制度。検察官が意図的に不起訴とするなど「公務員同士のかばい合い」を防ぐ目的がある。最高裁によると、1960年〜2011年11月末、約1万8000人の請求があったが、開始決定は23人、有罪確定は10人にとどまる。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK125掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。