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いやはや、消費税増税分の使い道の説明が二転三転している。誰の言うことを信じていいやら・・・。そもそも菅前首相の消費税増税発言の頃には「財政赤字で、このままではギリシャのようになる」と国民を脅し「財政再建の為には消費税の増税が不可欠である」と言ってはいなかったか?
野田政権に変わり、昨年の政府与党の「社会保障改革本部」の会合の頃には「消費税の引き上げ分は社会保障の為だけに使い、100%完全目的税とする」と安住財務大臣が偉そうに発言していたように記憶している。ところが最近では「完全福祉目的税化」という言葉が聞こえなくなり、「社会保障の維持・充実の為」という何とも、あやふやな表現に変わってきている。
しかし、社会保障費の財源問題の本質は別のところにあり、今の経済状況や雇用状況、少子高齢化の傾向がそのまま続けば、今の制度のままでは消費税を「完全福祉目的税化」しても、根本的な解決にはならない。今後、数十年間は止め処も無く消費税をアップし続ける嵌めに陥るはずだ。
この問題は社会保障費の財源を見れば直ぐに理解できる。基本的に年金や介護・医療費等の財源は、国民からの掛け金と保険料収入、及びそれらの積立金の運用益と国や地方自治体の税金で賄われる。これらの財源を確保するためには下記のような方法が考えられる。
@掛け金や保険料などの国民負担分の負担率を上げる。
A年金や保険料の積立金の運用益を増やす。
B税金の投入率を引き上げ国や地方自治体の税負担分を増やす。
以上が一般的に言われる財源確保の方法だが、その他にも以下のような方法がある。
C年金や各種保険の被保険者数を増やす。
D被保険者一人りの収入を増やすことで一人当たりの掛け金や保険料をアップさせる。
E年金や保険料の未払い及び不払いを減らす。
F未加入の対象事業者を加入させる。(原則、株式会社などの法人は強制加入になっている)
G新たな対象となる事業者を増やす。
以上のCからGは、寧ろ@からBより重要な要素である。
CからGは日本国内の経済の状況に大きく影響される。単純に言えば国内の景気が良くなることで、雇用が改善され失業率が下がり、新たな就業者も増加する。更に給料が上がることで一人当りが負担する掛け金や保険料の負担額も増加する。それに伴い掛け金や保険料の未払いや不払いも減り、強制加入であるにも関わらず加入していなかった事業者も加入するようになる。
また景気の上昇に伴い新規起業者の増加も見込まれることから対象となる事業者の数が増加する。これらの事項は税収の議論とも共通している。即ち、国の税収と社会保障の財源問題には相関関係があり、どちらも経済状態と深く結びついている。現状を簡単に説明するならば
1.積立金の運用益が減少している。乃至、運用損を出している状況にある。
2.景気の悪化や長期に及ぶ経済のゼロ成長、円高などにより雇用状況が悪化。それに伴い被保険者数の減少や未払い、不払いの増加を招いている。給与所得の減少に伴い一人当たりの保険料収入も減少している。
3.法人事業者数、自営業者数などの減少傾向に歯止めがかからず、加入事業者数が減少し続けている。
以上のような状況にある。これでは現状の社会保障制度が維持できる訳がない。経済対策、雇用対策、景気対策が重要であり社会保障の財源問題は経済の状況と密接に結びついていることを理解すべきだ。現在の消費税増税分の社会保障費への充当議論は上記のBのみに関係する議論であり、その他の事項に関しては、意図的に触れないようにしているとしか思えない。詐欺的議論である。
「社会保障と税の一体改革」は経済のことを語らずしては、成り立たない議論である。政府の 「社会保障と税の一体改革」 の議論からは「経済からの視点」がものの見事に抜け落ちている。「経済を語らずして社会保障と税の改革は成しえない。」と考えるべきである。
今の政権がやろうとしていることは上記の@Bである。この二つは現状を益々悪化させることに繋がる危険性が高い。政策には優先順位がある。それを決めるのが政治の大きな使命でもある。その順位を間違えると、取り返しのつかないことになる恐れがある。現状の日本における政策の最優先順位は「社会保障と税の一体改革」による増税や国民負担のアップではなく、経済や雇用の安定を目指すことにある。つまり経済対策が最優先されるべきである。
でないと、いくら税を投入しようが国民負担率をアップしようが、上記の1から3の状況が続けば少しも改善されないどころか益々負担が増加することになるだろう。寧ろ「増税」や「国民負担率のアップ」は、今、最もやってはいけない政策のトップに挙げられるだろう。これは泥沼に落ちた人の足を下から引っ張るようなものである。(TPPもそれに当てはまる)
「民の釜戸の火が消えて(経済が縮小し続けて)、税金や保険料を支払う人がいなくなっては、元も子も無い」のではないだろうか。かといって高い成長率を目指せといっているわけではない。低成長でもいいので、まずは安定した経済を目指すべきである。個人的には「人口の変動や経済の大きな変化に対応できる社会保障制度と税制」でなければ、持続可能な制度とは言えないのではないかと考えている。
http://haru55.blogspot.com/2012/01/blog-post_21.html
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