03. BRIAN ENO 2012年10月23日 09:20:58
: tZW9Ar4r/Y2EU
: yhmbAsnuyo
グッキー様この映画の評価や好みは、 人それぞれの好みや主観の賜物ですから、 全く問題はありませんが・・ >不快な未来ばかり予感させる 製作者の意図は不明ですが、 たとえば、キューブリックは以下のように主張しています。 あんたは、どんな「映画」創りたい? 創るべきだと思うか?という質問に対して・・ 彼は以下のように述べてます・・ 日常生活には、ありえない「タブー」を描きたい・・ たとえば、代表的なもので言えば「殺人」だ・・ 「殺人」は日常生活にあってはならないものだ・・ たとえば、それを描くことで、 観客にそれを様々な意味で「警告」する・・ バカな観客は、そんな俺の手法を、 「殺人」を煽る映画監督と言うが、 それは、表面しか見ることのできない 愚かな観客だ、 ストーリーと登場人物の 心の動きを丹念に見て、 どうして殺人に至ったか・・ まったく洞察していない 理解してない証拠だな・・ タブーってのは映画を映画たらしめる真骨頂の題材だ! たとえば、おず安二郎のような 何も起きない日常を描く監督もいる・・ それはそれでいい・・ でも、おれは違う・・ おれは、観る者に「警告」したい、 「警告」すべきが、映画監督の務めだと思っている・・ じゃ、誰が警告するんだ? 学校の先生か? 親か? 警察か? 教会の人間か? この世の中が、私の描く「(悲観的な)近未来」のように ならないように警告してる・・ このことも理解できない観客も大勢いる・・ 表面だけ観て、悲観主義者だとか、何とかとね・・ 絶望させているとかね・・ 理解力なし、洞察力・・なし、 一番大切な、子どもたちの時代に、 そうならないように しなきゃなっていう意思を形成できない 「意志薄弱な観客」が多いな・・ そもそも映画ごときで、 悲観的になるってどういうことだい? 絶望的な小説を読んで自殺するやつが いると聞いたことがあるけど・・ そんな人間は、小説以外のもっと些細なことでも 心が折れて自殺するんじゃないの? おれが創るような たとえば 「2001年宇宙の旅」・・・ これは、 物質至上主義、科学至上主義に陥ると 人間の為に創ったハズの「ハル」・・ その「ハル」が ある日創造主である人間に攻撃してくる・・ 人間の本来あるべき姿、 人間の心を無視して 「物質至上主義」「科学万能主義」に陥った 時の恐怖を描いた・・ 人間のおごりに対する警告だ・・ それだけではもちろんないが・・ 時計仕掛けのオレンジでは、 不良少年をとっ捕まえて、 化学的療法だけで強引に更生していいのか? それだけではもちろんないが・・ 楽しいだけのエンターテイメントを求める 観客がほとんどだが・・ おれは、違う・・ 「明るい未来が黙っててもやってきますよ」 なんて映画は、俺は創らない・・ それは他の監督に任せる・・ と言ってました・・ キューブリックの映画は、 何を見ても怖いですね・・ うちの、中学2年の娘が、 先日「シャイニング」を一緒に観てたんだけど、 映画開始後、20分くらいで、 子役の男の子が、 親指と会話するシーンを見て・・ これ以上怖くて観れないと・・ テレビのスイッチを切りました・・ 別に化け物や、幽霊や、グロテスクなエイリアンが 出てくるわけではないんですが、 ただ、自分の親指を、他者に見立てて 話してるだけのシーンですが・・ キューブリックって、すごいな! いまだに、うちの娘は、 「あの映画だけは、絶対観たくない!」 といってます・・ 子どもが怖い・・・と言ってます・・ 人間の想像力を強烈に刺激するようです。 (この場合恐怖心を) 今の映画にはこれがない・・ CGやら、SFXやらド派手なアクションシーンに依存しすぎて 観客の想像力を試すような映画がなくなりつつある・・ ということで、私はこの映画は、 SFの形を一応は取ってはいますが、 もう、10回くらい家族とみましたが、 選ばれしDNAを持つ男(ジュード・ロウ) が下半身不随になり絶望する 淘汰されるべきDNAを持つ男(イーサン・ホーク) あこがれる宇宙飛行士になれない運命に絶望する 二人の絶望男が、お互いを思うことで、 お互いの欠点を補いあい、 なんとか、絶望から脱しようとする なんとか困難に打ち勝とうとする 男同士の友情を描いた人間ドラマなんです・・ 観客は、イーサンの気持ち半分、 ジュードの気持ち半分 複雑な気持ちを抱えながら 映画館を出てくると思います・・ 最後の最後で、 毎度毎度・・厳格なDNAの検査をしている検査官が、 イーサンが宇宙飛行士不適格者だということが 判明しても、イーサンの宇宙飛行士になりたいという 熱意、情熱、と検査官と築いた人間関係(友情)で、 見逃してくれ、 イーサンはあこがれの宇宙に旅立つ・・ それを見届けたジュード・ロウは、 親友イーサンが無事、宇宙に旅立ったところを 見届け、自分の使命は終わったということで、 宇宙以外のはるかかなたに旅立つ・・ 選ばれしDNAの男の不幸 選ばれなかったDNAの男の幸福 皮肉なエンディングとなります。 表面上はDNA等が前面にでていますが、 これも、そういった社会にならないように 我々に「警告」する・・そんな作品だと私は理解しました。 そして、これもLOSTやフリンジと同じく、 SFやDNAとかいうのは、映画の仕掛けや、小道具でしかなく 本当のテーマは、 人間と人間の心のふれあい、他人を思いやる友情、 自分を犠牲にしても、相手の為に尽くそうという優しい心 そういった人間の本来あるべき姿を扱った映画と私は理解しています。 |