いまどきＲｅｕｎｉｏｎなんか日本語の一部だろうが、どうしてこんな邦題つけるのか・・・・・時代が
うかがい知れる。ＵｎｉｏｎをしなおすからＲｅｕｎｉｏｎ，つまり再開、久々の親睦、再訪。

Zeppelin のＤ’ｙｅｒ　Ｍ’ｋｅｒでも似たような感じだったが、当時、英米からして
ジャマイカなんぞは七面鳥と見分けのつかないような底辺の土人の住む島であったため、本当に
底辺のいい加減な原住民らしい描き方をしている。この曲の歌詞もちゃんと理解すれば、「親子の絆」
なんていうテーマとは程遠い、どうしようもない無学なオバチャンの嘆き節だということがわかる。

ポールのニューヨーク（！）でもヒスパニック系の移民に貧しい母子家庭や父子家庭は多く、
まるでこの歌の世界なのである。アホなオバちゃんが子供と会いたいなどと言い出し、子供の
ほうでは恥ずかしがっていることも察知できず自分が求められていると思い込むトホホなありさま。

「母と子の絆」ですか・・・・・どんなセンスしてんだろうな、昔の音楽出版の業界は。今もかわらんか

とにもかくにも、Ｍｏｔｈｅｒ　ａｎｄ　Ｃｈｉｌｄ　ｒｅｕｎｉｏｎ　（母子ふたたび）
ではじまる名盤『Ｐａｕｌ　Ｓｉｍｏｎ』は本当にすばらしいアメリカのユダヤ人による芸術作品です。
当時、ポールが精神分裂病の治療をしていた背景がアルバムにも影響しておりどうもいわくつきで
「Ｂｒｉｄｇｅ　Ｏｖｅｒ　Ｔｒｏｕｂｌｅｄ　Ｗａｔｅｒ」と「Ｓｔｉｌｌ　Ｃｒａｚｙ」の
グラミー賞受賞作が前後になければ本当に忘れ去られていた可能性もあるかもしれない。

さだまさしは「ポール・サイモンのアルバムは３作ごとに大成する」という意味深で呪文の
ような名言をはいているのだが、私はこの『ポール・サイモン』が『スティル・クレイジー』によって
昇華されたとは全く考えない。どちらも秀作であるが、よりぎりぎりのところを表現していたのは
前者のほうであると信じて疑わない。時代から独立した特殊な空間で出来た奇跡的な作品
『ポール・サイモン』は不朽の名作であり、いまだに少しも古くならない・・・・・ビートルズでさえ
できなかった偉業である。