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Part 4
1948年:ロンドン
第二次世界大戦は終わったものの、連合軍として戦ったはずのソビエトと英国(と米国)の関係は徐々に冷え始めていた。キムはモスクワからドナルドの妻を実家のニューヨークに返すように説得しろ、と指令を受ける。ドナルドの次の任務のためには、彼が怪しまれずにワシントンとニューヨークを行き来する必要があるからだ。
念願の第一子が生まれたドナルドは、モスクワに「家族との生活を大事にしたいので活動を控えたい」と告げる。しかしエージェントは無視し、問われるままに差し出したメリンダの写真を真中から破いて返す。そして「クラウスという亡命したユダヤ系ドイツ人から原子力関連の情報を回収するように」と言い渡す。
ドナルドは研究施設の近くの森でクラウスに会う。妻の写真を破かれたことを話すと、彼もまた同じことをされたと言う。守備良く情報を手に入れたが、CIAは既にクラウスがスパイだという情報を得ていた。
妻の写真が見つからないドナルドは写真をクラウスに渡したままだったことを思い出し、再度、研究施設に出向く。しかし、そこには警備隊の姿があった。捜査の手が回ったのである。必死の思いでその場から逃げ出したドナルドは自暴自棄になり酔いつぶれる。金を払おうと内ポケットを探ると、そこには破れたメリンダの写真が。恐怖と緊張の極限に達して精神が不安定になったドナルドは「これは金じゃないですよ」と写真を突き返したバーテンダーを殴り倒してしまう。
この泥酔事件がもとで、ドナルドは英国へ帰国する。
一方、CIAのジェイムズはかつてクリヴィツキーが証言した『英国外務省の二重スパイ』のコードネームが『ホーマー』であることをつきとめる。スパイ容疑者リストの中にドナルドの名前があることを知ったキムはモスクワに連絡する。モスクワはドナルドを英国外へ逃亡させることに決め、彼の名前をCIAに教えるように指示する。
容疑者の内で当時N.Y.に家族がいたという情報に該当するのはマクリーンとゴア=ブースの二人だけ。どちらかがスパイに違いない。ジェイムズ達はキムに意見を求めることにした。
キムはロシア語読みにして語順を並び変えると『ホーマー』は『ゴーマー(ゴア)』になると教える。キムとマクリーンは同窓生だがゴアは違う。ジェイムズはマクリーンこそがスパイだと確信する。
その日の深夜。一人でCIA長官宅を訪ねたキムは「アメリカと英国の両方の情報に一致する人物はマクリーンです」と告げる。
翌日、長官から「ホーマーはマクリーンだ」と教えられたジェイムズは、キムも一味だと告げる。しかし「先を越されて悔しいのは分かるが、どこの世界に仲間を売るスパイがいるか。みっともない真似はよしなさい」とたしなめられてしまう。
時は一刻を争う。モスクワは安全のためにガイをエスコートさせようと提案する。キムはガイに「新車を用意したので、英国へ帰るための口実を作ってくれ」と説得する。ガイは飲酒運転で住宅街のフェンスをなぎ倒し、めでたく帰国する。
帰国したガイはアントニーと一緒にお気に入りのテーラーで『旅行準備』のショッピングをする。アントニーに「コートがいるね。海峡を渡るのは寒いから」と言われ、「今持ってるので充分だよ。それにケンブリッジより寒い所なんてそうは無いよ」と答え、ガイは突然、全てを悟る。ドナルドと自分は『フランス』へ行くのでは無いのだ。
「君にコートをプレゼントさせてくれよ」と微笑むアントニー。「君には最高級のコートを着ていて欲しいんだ」。
出発の準備が整い、アントニーがプレゼントしてくれたコートを着てみせるガイ。
「探したけど、『ミドルトン』が見つからないんだ」「僕のを持って行けよ」本棚から自分の本を取り、手渡すアントニー。二人はしっかりと抱き締め合う。思わず泣き出しそうになるアントニーにガイは優しく「わかってる、わかってるよ」と応える。
ドナルドとガイは雨の中で今後の予定を話し合う。「これ、大丈夫かな」ドナルドは息子のために庭木に縄を結んで作ってあげたブランコに乗る。彼の背中を押すガイ。メリンダは家の中から二人の姿を見つめ、とうとう『その時』が来たことを知る。
夕食の席でドナルドはメリンダへ「ブランコは両端の縄の結び目さえしっかりしていれば、大丈夫なんだよ」と語る。夕食後ガイは「地元のパブで一杯やろうか」とドナルドをうながし、二人は出発する。無事に船に乗り込み、遠ざかる母国の白壁を見つめながらガイはつぶやく「イングランドだ。イングランドが見える」。
ワシントンでは憤慨したジェイムズがキムのオフィスに乗り込んでくる。
「マクリーンが逃げたぞ!」しかし、キムは無視して『第九』のレコードを聞き続ける。ガイも好きだった曲だ。「ガイもだろ?そうなんだな!」わめくジェイムズにキムは冷たく「知らないね。知っているわけがないだろ」と答える。
「そうだよな、"only friends"(ただの知り合い)だものな」と捨て台詞を言うジェイムズに、キムは「そうさ。"ONLY friends"(無二の親友)だ」と言い、涙をかくすためにジェイムズに背を向ける。
*****
久しぶりにケンブリッジを訪れ、かつて理想に燃えた日々を振り返るアントニー。
あの頃の自分達を彷佛とさせる学生達が集うカレッジは、まるで『あの時』から時間が止まっているようだ。
想い出の回廊に向かって歩いて行くと、初老の男が懐かしそうに話かけてくる。
「あなたはアントニー・ブラントさんでしょう。お元気ですか?」「はい、おかげさまで」「他のお友達のみなさんも、ご立派(great things)になられたことでしょうね」「さぁ...。よくは存じませんが」「みなさんとは音信不通なんですか?」「ええ。離れ離れになりましたもので」
軽く会釈して別れかけたアントニーはふと、何かに気付いたように振り向き応える。
「Great Things。ええ。その通りです。確かに、皆、偉大な道へ進んで行きました」
いまや晴れ晴れとした表情のアントニーは、穏やかに微笑む老人を背に颯爽と回廊を歩き去って行くのだった。
http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Stage/1269/cambridge/episode.html
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