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(書評)わが父ショスタコーヴィチ―初めて語られる大作曲家の素顔 [単行本]
ガリーナ ショスタコーヴィチ (著), 田中 泰子 (著), マクシム ショスタコーヴィチ (著), ミハイル アードルフ (編集), 「カスチョールの会」 (翻訳)
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5つ星のうち 5.0
感動の回想--良き父であった大作曲家 2005/8/9
By 西岡昌紀
読み終えて、感動を禁じる事が出来無かった。--20世紀を代表するロシアの作曲家ショスタコーヴィチ(1906-1975)の知られざる人柄を、彼の子供たちが回想した本である。幾つもの宝の様な逸話が語られて居るが、その一つに、1946年の夏、ショスタコーヴィチ一家が滞在して居た別荘の近くに、ドイツ人捕虜が現れた時のこの逸話が有る。この逸話は、特に感動的である。
「・・・一九四六年夏のカマローヴァの思い出です。その頃、プリモルスキ街道が建設中で、その仕事にドイツ人捕虜が駆り出されていたのです。その中の捕虜のひとりが僕たちの別荘の近くへ時々やってきて、とてもきまり悪そうに施しを受けていました。そんなある日、僕がベンチに座っている例の捕虜をながめていると、父がやってきました。父は僕の頭をなでて、静かな口調で言いました。『怖がっちゃいけないよ。あの人は、戦争の犠牲者なんだ。戦争というのは、何百万人もの不幸な人を生む。別に悪いことをしたわけではないんだ。あの人は軍隊にとられ、戦うために地獄のような対ロシア戦線に送られ、今度はここに運ばれてきた。それで生き残って捕虜になったんだ。故郷のドイツには、彼の奥さんが待っていて、たぶんお前やガーリャのような子どもがいるに違いないよ。』」(本書42〜43ページより)
子供たちが小さかった頃の或る夏、別荘の近くに居たドイツ人捕虜の姿を見たショスタコーヴィチは、自分の子供にこう語ったと言ふ。何と言ふ優しい人だったのだろうか。そして、何と言ふ素晴らしい父親だったのだろうか。本書を音楽に関心の有る人のみならず、現代史に関心の有る全ての人々に推薦する。
(西岡昌紀・内科医/ショスタコーヴィチ没後30年目の日に)
http://blog.livedoor.jp/nishiokamasanori/archives/5819388.html
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