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週末。
昼前。
2時間近く待ち時間ができた。
周囲に人がいて、読書の気分でもなかったのでしばらく買い物客にまぎれて
歩くことにした。特に何か目当ての品があるわけではないが、商品と出会い
生産創意的なインスピレーションや産業のバイブを体感したいのである。
はじめに入ったのは、寝室や台所・浴室用の家具や小物を置いている店舗だ。
やたらに従業員が多く便利なのか煩わしいのか有効人事の境界線が入り口から
見え隠れしている。メイン通路の安全地帯に山積みされたまるでプロテインの
容器のようなデカイ円筒型の容器にはいった芳香剤が目に付いた。4種類あり、
セロファンのラップの上から試供にカオリを一服することが可能だった。
ラベンダー、シトラス、コットン、アロエ。
このチョイスでなら、私は普段、迷わず柑橘を選ぶわけだが、この芳香剤の
シリーズではシトラスでなくアロエが一番ぴったり落ち着くセントだった。
2個入りで1000円也。手にとって抱えてしまったじゃないか。もう戻す
動作にたどり着く神経回路が遮断されたようだ。
最近、家で使用している食事・メディア視聴用のカウチに新しいカバーを
つけたのだが、たったそれだけのことでガイド本が書けるほど調査をしつくした
僕はカバーマスターになっていた。なにせミシンのワークショップまで受講した
くらいなのである。もう寝具のフロアは自分の庭のようなものである。
薄手のコンフォターの棚にある「緑」が僕にふりかかってきた。
正確にはコンフォターの生地の一部でライトブルー、グレーとコントラストを
なしていた薄い黄緑が目に付いたということだ。アロエの芳香剤を手にした
つながりか、僕は緑に敏感になっているようだ。
緑。
いつも一番嫌いなカラーであった緑。愚鈍な自然主義者の象徴。
子供の頃に憧れた映画The Wizard of Speed and Timeの主人公も
グリーンの上着をいつもバカにされていたものだ。渋みの感じられない
すっとんきょうな田舎色。緑を遠ざけることが僕にとっての反抗期だったと
いってもいいだろう。宮崎緑だって名前が緑だから、僕は小宮悦子派に
隠れ登録していたのだ。ミリタリー型の服を着るときも黒やカーキを貴重に
した生地のものと決めていた。
しかし、その緑を再評価する時代がやってきた。とはいってもベタ緑ではなく
黄緑や薄緑。スバルの最近の車種に使われているようなささやかな光沢のある
メタリック・グリーンもいい。それらなら特に黒ともいいコントラストになる。
コンフォターは本当にいいポストモダンな柄だった。思わず棚に手を伸ばしたが
定価は1万円。毎日使用するものは早かれ遅かれ元がとれるので購入価格に
こだわるのはバカげている。一万など数ヶ月で回収できる・・。1000円で日々の
生活に張りの出ないようなさえない製品を使うことよりずっと大きな元がとれるのだ。
しかし、いやいや、衝動買いはやめよう。
洗濯バスケットにデザインのおしゃれな新製品を見た!いや、衝動買いはいかん。
この店はもう出ようか。とりあえず芳香剤をバッグに。
長くなるので飛ばすが、最後にはいったのが無印の店。
無印の宣伝をするわけではないが、このブランドは僕にぴったりだ。
シンプルで実用的で産業のサイクルでいうところの発展期にずっと照準を
あわせたような「落ち着いた斬新さ」が僕の心をとらえるのだ。
器のセクションには、僕の求めていたボールがあった。丼みたいなデカいのでもなく
茶碗のように閉じた形でもなく、それだからといってプレートのような平面でもない。
あくまで深さがある程度あるボールなのだが、丸でなく、楕円形で丼の半分くらいの
高さで口が開けているのが理想だった。以前、イギリス製でピタリとくるシリアル・
ボールがあったのだが、2度連続で真っ二つに割れてしまった。
無印には、それに近い形の椀があったのだが・・・・・・残念なことに中には仕切りがあった。
白飯とカレー、パスタとソースのように盛る中身を分けるための仕切り。
これが僕には不要なものだったのである。それさえなければ楕円形中鉢というのは
最高だったのだが・・・・・。
結局、透明のガラスのコップをバッグへ。最近、なかなか毎日使うコップに
満足いってなかったのだな。高い細いは洗いにくいので不衛生。短い広いは
厚手で寸胴なものが多く、最近ガラス製品のシェアを増やしてきた東欧や
中東のものはデザインがちょっとおかしいのだ。その点、無印のコップは
厚さも重さもカーブも完璧である。あえていうなら、あと高さが18ミリくらい
あればよかった。容量でいうと500ml弱くらいでいいのだ。
正直、陶器やガラスの専門でもない無印にここまでの仕事ができてしまうところに
日本の底力をみてしまう。はっきりとした質の違いがここにある。ここ数年、調理器具
はドイツとフランス、コーヒーメーカーはイタリアなどといった貧しいなりのこだわり
を持ってきたのだが、食器に関しては日本製品(和洋折衷)がダントツである。
また衝動買いしてしまった・・・・・
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