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インターネットによる直接民主主義・systemicsarchive(国民が直接米国・霞ヶ関・マスコミを監視する時代です)
http://www.asyura2.com/12/lunchbreak52/msg/637.html
投稿者 小沢内閣待望論 日時 2013 年 2 月 04 日 11:06:08: 4sIKljvd9SgGs
 

http://www.systemicsarchive.com/ja/a/referendum.html
インターネットによる直接民主主義
インターネットが普及したおかげで、有権者が電子投票により、直接公共選択に参加することが技術的に可能になった。問題は、直接民主主義が、現行の間接民主主義よりも優れているかどうかである。

1. 公共選択はどうあるべきか
多くの日本人は、政治に不信感と無力感を抱いている。半数近い有権者は、選挙に行かないし、代議士を自分の代表だとは考えていない。公約違反、収賄、票田の世襲が横行し、民主主義が機能不全に陥っている。政治に民意を反映させるには、有権者が直接政策意思決定に参加するレファレンダム(referendum)が必要である。

レファレンダムの採用は、議会制民主主義を完全に否定するわけではない。議員には、政策立案・法案作成の仕事が残っている。議員に政策パッケージを作らせることで、有権者に過大な負担をかけさせたり、個別に可決された法や政策が相互に不整合となることはなくなる。

有権者が、ネットでの投票を通じて、与えられた政策パッケージに選好順序を与えることで最も高い得点を獲得した案が採択される。こうしたボルダ方式による票の集計は、アナログ投票では時間がかかるが、デジタル投票では簡単にできる。

投票が簡単にできるようになるから、「政策の選挙」だけでなく、「人の選挙」に関しても、従来より範囲を広げることができる。現在、日本国民は、国レベルの行政に対して自分たちの意思を直接に反映させる方法を持たないが、行政の最高責任者は直接国民が選ぶべきだし、その他の行政の上層部も、最高裁判所裁判官と並んで国民審査を受けるべきである。

裁判官の国民審査は、わかりにくくて不評だが、インターネット投票でなら、例えば、過去の論争の余地のある裁判のケースに自分の考えで判決を下し、それらから外れた判決を出した裁判官に、自動的に罷免の票が投じられるようにすれば、陪審制度など導入しなくても、国民の声を司法に反映させることができる。これ以外の投票でも、工夫次第で、わからないから棄権するという人の数を減らすことができる。

2. セキュリティ上の問題はないのか
電子投票システム自体は、国内外で普及しつつある。日本でも、2002年に電子投票特例法が施行され、条例を定めるならば、地方自治体の選挙では、有権者が投票所に出向き、電子投票を行うことが可能となった。電子投票には、開票時間の短縮や人件費削減などのメリットがあるが、他方で、セキュリティ上の問題も指摘されている。2004年に行われたアメリカ大統領選挙では、電子投票が導入されたものの、投票結果が出口調査の結果と大きく食い違うケースが多数あり、ブッシュ陣営による陰謀がささやかれた。

こうした不正は、従来の選挙でも起きうることだが、電子投票、特にインターネットを使った投票では、権力者による干渉やハッカーによる侵入で、集計結果が不正に操作されたり、プライバシーが侵害されるといった不安がより大きいことも事実である。

しかし、ここで、インターネットはもともと、情報処理を脱中心化することでリスクを分散させる軍事技術であったことを思い出さなければならない。権力者による干渉やハッカーによる侵入は、集計主体が一つしかないと容易だが、集計主体の数が増えるにつれて困難になる。これまで非公式に出口調査を行ってきたマスコミを、正式な集計協力者として参加させ、投票結果を多重チェックできるようにすれば良い。

具体的に投票方法を説明しよう。まず、投票のたびに有権者にID番号を割り当て、ID番号とパスワードを有権者に通知すると同時に、そのリストを集計協力者に配布する。これと並行して、投票ソフトが集計協力者に配布され、各協力者は、社内でテストを行い、プログラムの精度を検証する。

次に、投票が始まると、有権者は、投票管理委員会、もしくは、自分が信頼を寄せている集計協力者のサイトに行って、投票を行う。投票サイトが複数あるので、たまたまどこかのサーバーがダウンしていても、投票は正常に行うことができる。投票結果は、ネットを通じて、投票管理委員会とすべての集計協力者に送られる。公開プロクシサーバーを使うこともできるようにすれば、集計協力者がIPアドレスから、IDの身元を割り出すことはできないから、投票者のプライバシーは守られる。

投票終了後、IDごとの投票内容は、各サイトで公表され、投票者は、正しく届いていることを確認できるようにする。棄権者も棄権を確認することができる。こうすれば、他人のIDとパスワードを盗んで投票しても、すぐ発覚する。そして、投票管理委員会の結果がすべての集計協力者の結果と一致するなら、投票結果は信用できる。不一致が生じるなら、調査を行って、原因を究明し、意図的な改竄があれば、処罰を行うべきだ。

集計は、即座に行われるので、マスコミには、集計協力のメリットがないと思うかもしれないが、付随的なアンケートの結果は、投票したサイトの管理者にしか行かないので、独自取材の余地がある。

セキュリティ上の問題は、これで解決できる。しかし、直接民主主義には、技術的問題とは別に、以下のような政治哲学的な問題が残っている。

3. 直接民主主義は衆愚政治か
大衆の知的水準は低いので、古代ギリシャのときと同様に、直接民主主義は衆愚政治になると危惧する人がいる。私は、政策決定には、大衆ではなくてエリートがリーダーシップを発揮すべきだという主張には賛成であるが、現在のような《大衆の間接決定=エリートの直接決定》ではなくて、《エリートの間接決定=大衆の直接決定》にするべきだと考えている。

大衆は時間的ないしは能力的制約から、政治の本格的研究・調査をすることができない。だから代議士というエリート(フランス語で選ばれた人という意味)がその仕事を代行して、大衆に選択肢を提示する。大衆はどの選択肢を選んでいいのかわからないので、マスメディアに登場する有識者の意見に耳を傾ける。大衆たちが口にする「自分の意見」の大半は、オピニオン・リーダーというエリートの受け売りである。レファレンダムを導入しても、結局政治を動かすのはエリートである。

それならエリートが直接政治を行った方が効率的だと思うかもしれない。しかしエリートとて欲望を持った存在なのだから、無媒介に権力を手にすると、私利私欲のために職権を濫用する危険がある。だから《エリート》と《権力》の間に《大衆》という中間項を媒介させなければならない。《大衆》というフィルターにかけられることによって、《エリート》の決定は、その不純なエゴイズムが取り除かれて政治に反映されるのである。《大衆→エリート→権力》ではなくて、《エリート→大衆→権力》が、《能力はないが、利害を主張すべき大衆》と、《能力はあるが、利害を主張すべきではないエリート》とのあるべき関係なのである。

4. マスコミは世論操作で政治を左右できるか
国民はマスコミの影響を強く受けるので、マスコミが政治を操作することになりかねないという政治家たちの危惧は、もしマスコミがひとつしか存在しない独占体とするならば、妥当である。しかし実際には、マスコミは複数存在するし、最近では、インターネットの普及により、マスコミによる世論操作は、かつてなく難しくなってきている。ネットで誰でも自分の主張ができる環境がある以上、マスコミの力を過大評価するべきではない。

5. 数の暴力をどうやって防ぐか
数の論理で政策決定がなされるというのは、現在の議会制民主主義でも同じことである。現在の政治システムの問題点は、ある特定の少数の意志、例えば特定の圧力団体の意向が、他の少数の意志を押さえることができるところにある。投票率50%の小選挙区の選挙で、有権者の半分以下の票で当選した国会議員が、半数を少し超える数で政治を動かすのだが、与党の意志は、与党の過半数の意志でしかないことを計算に入れると、有権者の16分の1程度の意見で政治が動くこともあることになる。

この点、多数派の利害が反映されるレファレンダムの方がまだましなのだが、どちらにしても、重要なことは、議論を尽くすこと、優れた提案に対しては、たとえ提案者が少数であったとしても聞く耳を持つことである。そのためにはまず、政策決定のプロセスを、料亭での密談からパブリックな討論の場へと移さなければならない。レファレンダムが行われるようになれば、メディアは、政治家の権力闘争を報道する代わりに、討論会を開くようになるだろう。

6. 地域エゴをどう防ぐか
大衆は自分たちの利益しか考えない。住民投票が地域エゴになりがちなように、国民投票は、主権国家のエゴに走る傾向がある。例えば、廃棄物処理所を建設を認めるかどうかという住民投票をすれば、どこでも否決されるに決まっている。そういう場合は、どこに建設するかを、ロールズが謂う所の「無知のベール」で覆って、まずは、廃棄物処理所を建設した際の周辺住民への補償に関する普遍的な法を決め、しかる後に、広域的な範囲でレファレンダムを行えばよい。エゴを否定するのは、常に普遍的な(相手の立場になることができる)法なのである。

7. 投票回数が増えると投票率が下がる
国民の多くは政治に無関心で、選挙をやっても投票率が低いから、本当の民主主義にはならないと言う人もいる。たしかに、国政選挙を例にとっても、投票率は下落傾向にある。かつて70%前後あった衆議院議員選挙の投票率は、平成8年には始めて60%を切り、参議院議員選挙にいたっては、平成7年に45%にまで落ち込んだ。

このことは政治に関心のある人が、有権者の半分程度しかいないということを意味するのではない。政治に関心があるにもかかわらず、いやそれゆえに、現在の政治に幻滅を感じている無党派層はたくさんいるのである。そうした人々は、おそらくレファレンダムを棄権しないであろう。投票率を上げるには、有権者から、間接民主主義につきまとう隔靴靴痒(かっかそうよう)の感を拭い去る必要がある。
 

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