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アスタナ
アスタナ(Astana)は、カザフスタン共和国の首都。1997年にアルマトイから遷都された。旧称はアクモリンスク (Akmolinsk) 、ツェリノグラード (Tselinograd) 、アクモラ (Aqmola) 。アスタナはカザフ語で「首都」の意味。
イシム川右岸にある。推計人口75万人(2008年)でアルマトイに次いで同国2位。1998年のカザフスタン政府主催の国際コンペで1位に選ばれた日本の建築家・黒川紀章の都市計画案に基づき開発が続けられている。
金属加工、農業機関、食品加工、陶器、製材などの工業が行われる。
歴史 [編集]
1824年、オムスクから来たコサック達がイシム川上流に要塞を造り、それが元となってアクモリンスク (Akmolinsk) という都市が出来た。アクモリンスクは鉄道の要衝として、ロシア内戦時まで発展を続けた。ヨシフ・スターリンの時代には、市の周辺には「人民の敵」とされた人々の妻や家族を収容する悪名高いグラグが数多く作られた。1961年、ツェリノグラード (Tselinograd) と改名され、1950年代にニキータ・フルシチョフが主導したカザフスタンを大穀倉地帯に変えるVirgin Lands Campaignの中心地となる。ロシア各地から入植が行われ、その後の民族間対立の土壌が醸成されていく。特に、ナチス・ドイツのロシア侵攻でドイツ系の人々はこの地に強制的に連れて来られた。
1991年、カザフスタンが独立を果たすと、「聖地」を意味するアクモラ (Aqmola) と再度改名される。1994年、アクモラを新首都とすることが決定され、1997年に遷都が行われた。翌年の1998年には名称はカザフ語で首都を意味するアスタナと改名された。アスタナ遷都の理由は、アルマトイが中国との国境に近すぎ、活断層があり地震多発地帯であることや地形的に更なる発展に限界があったことなどが挙げられる。またアスタナが位置するカザフスタン北部にはカザフ人よりもロシア人が多く、遷都することによって北部にもカザフ人の割合を増やし、将来的な分離独立問題を抑え込む意味もあったとされる。しかし、アスタナがカザフスタンの主要軸から外れていて、冬季の気候は酷寒であることや、新首都建設に莫大な費用がかかっているなどの問題点もある。
2008年、カザフスタン国会はアスタナをヌルスルタン・ナザルバエフを称えて「ヌルスルタン」と改名するように提議したが、ナザルバエフが辞退した。
民族構成 [編集]
市の人口は、2007年には遷都時の人口の2倍となり、2030年には100万人に達すると推計される。新首都として有能な若者の国内や近隣国からの移住が続いており、かつての市の民族構成は一変した。
遷都前には大半を占めていたロシア人やウクライナ人などスラブ民族は30%以下となり、かつては10%台だったカザフ人が60%以上を占めるようになった。
地勢 [編集]
カザフスタンの中部に位置し、イシム川が流れる。市域は人口希薄な平坦なステップで半砂漠化している。標高は347m。
気候 [編集]
冬には -50 °Cになることも珍しくなく、ウランバートルに次いで世界で2番目に寒さが厳しい首都、とも言われる。1年の半分以上が氷点下である。ケッペンの気候区分ではステップ気候。
[隠す]アスタナの気候資料
月
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
年
最高気温記録 °C (°F)
3.4
(38.1)
4.8
(40.6)
22.1
(71.8)
30.0
(86)
35.7
(96.3)
40.1
(104.2)
41.6
(106.9)
41.0
(105.8)
36.2
(97.2)
26.7
(80.1)
18.5
(65.3)
4.5
(40.1)
41.6
(106.9)
平均最高気温 °C (°F)
-12.6
(9.3)
-11.3
(11.7)
-5.0
(23)
9.3
(48.7)
19.6
(67.3)
25.3
(77.5)
27.0
(80.6)
24.3
(75.7)
18.6
(65.5)
8.5
(47.3)
-3.0
(26.6)
-9.7
(14.5)
7.6
(45.7)
平均最低気温 °C (°F)
-22.0
(-7.6)
-21.8
(-7.2)
-15.6
(3.9)
-2.4
(27.7)
5.8
(42.4)
11.2
(52.2)
13.4
(56.1)
10.9
(51.6)
5.1
(41.2)
-2.1
(28.2)
-11.2
(11.8)
-18.9
(-2)
-3.97
(24.86)
最低気温記録 °C (°F)
-52.6
(-62.7)
-48.9
(-56)
-38
(-36)
-27.7
(-17.9)
-10.8
(12.6)
-1.5
(29.3)
2.3
(36.1)
-2.2
(28)
-8.2
(17.2)
-25.3
(-13.5)
-39.2
(-38.6)
-43.5
(-46.3)
-52.6
(-62.7)
降水量 mm (inches)
17
(0.67)
15
(0.59)
15
(0.59)
22
(0.87)
33
(1.3)
33
(1.3)
53
(2.09)
35
(1.38)
24
(0.94)
30
(1.18)
21
(0.83)
20
(0.79)
318
(12.52)
平均降水日数
3.9
3.3
3.3
5.4
8.4
10.4
11.6
9.9
6.8
7.4
4.7
3.9
79
出典: World Meteorological Organisation (UN) [1]
行政地区 [編集]
3地区から成る。
アルマトイ地区
エシリ地区
サルィアルカ地区
経済 [編集]
新首都として政治・行政機構が市の経済活動の中心であるが、経済特区でもある。オイルマネーが投入され、壮大な建物が多く、現在でも高層ビルの建設ラッシュが続いている。
都市計画 [編集]
新首都は、黒川紀章の都市計画に基づいて建設されている。鉄道の北は産業地区、及び低所得者の住宅地となっている。鉄道とイシム川の間が市の中心地で、東西に高層住宅と公園が配され、南部に行政機関や大使館が集積されている。黒川の計画を引き継ぎながら、市の全体像の完成は2030年とされている。現在、アスタナの将来モデルはベルリンとされ、キャンベラのような純政治的な都市は志向されていない。
建築 [編集]
バイテレック
アスタナのシンボルで高さ105mのモニュメント。展望台もある。「高いポプラの木」の意味でカザフスタンの民話の「生命の木」と「幸福の魔法の鳥」をイメージしたデザイン
平和のピラミッド
ノーマン・フォスター設計で、各宗教の宗教施設が入っている。オペラハウスや国立博物館、図書館もある。
交通 [編集]
アスタナ国際空港が、アスタナ郊外14kmにある。空港施設はロシア時代に作られたが、新首都となり2005年に黒川紀章設計の近代的新ターミナルがオープンして一新した。旧ソ連各都市の他、中近東や欧州各地へ国際便が就航するようになった。
アスタナ駅 黒川紀章の設計によりリニューアルしたアスタナ駅からはカザフスタン鉄道により国内各地や、ロシア、ウクライナ、ドイツ、キルギス、ウズベキスタン、新疆ウイグル自治区(ウルムチ市)への国際列車も発着する。アルマトイ間はスペイン製のタルゴが夜行の高速列車として走っている。
地下鉄は計画中。
姉妹都市 [編集]
アンカラ、トルコ
モスクワ、ロシア
アンマン、ヨルダン
グダニスク、ポーランド
ワルシャワ、ポーランド
リガ、ラトビア
ソウル特別市、大韓民国
ヴィリニュス、リトアニア
脚注 [編集]
1.^ “World Weather Information Service – Astana”. United Nations. 2010年4月13日閲覧。
外部リンク [編集]
アスタナ市公式サイト (カザフ語)(ロシア語)(英語)
アスタナ国際空港
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