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7日にあったソチ五輪の開会式で、ロシアはきらびやかな舞台装置を使って栄光の歴史を紹介し、「偉大なロシア」を印象づけた。一方で、かつて五輪開催地から先住民族を追い出したことなど暗い過去には触れなかった。
「第22回の冬季五輪の開幕を宣言します」。スポットライトを浴びながら、プーチン大統領がかみしめるように述べると、会場からは盛大な拍手が起きた。7年前にグアテマラで開かれた国際オリンピック委員会(IOC)の総会で、開催地を決める最終プレゼンテーションに臨んだのはプーチン氏自身だった。
「大国ロシアの復活」を掲げて大統領に就任し、国際舞台でも存在感のあるプーチン氏。開会式の内容は、そんな指導者をなぞるような印象すら与えるほど、ロシアの栄光の歴史を紹介した。
開会式は、リュボフ(ロシア語で「愛」の意味)という名の女の子が、夢の中でロシアの歴史的な場面に出合うという設定で始まった。高さ85メートルあるスタジアムの天井から、カムチャツカ半島の火山やシベリアの大地などをイメージした巨大なオブジェをつり下げ、世界一広い国土(1700万平方キロメートル)であることを印象づけた。
欧州列強の仲間入りを実現させた帝政ロシアの初代皇帝、ピョートル1世も紹介。会場を巨大なスクリーン代わりにして、ピョートル大帝が勇ましく進む様子を映し出した。
ロシアの前身で、米国と並ぶ超大国だったソ連については、スターリン様式と呼ばれる荘厳な巨大建築物を数十メートルの天幕に描いたり、ソ連のシンボル、鎌とハンマーを持った巨大な男女のオブジェを登場させたりした。
開会式の中で、ソチ五輪組織委員会のチェルニシェンコ委員長は「ソチはスポーツの世界の中心になった。開会式は、偉大な我が国の、偉大な歴史を見せた。長きにわたり、記憶に残ることだろう」とあいさつした。
一方、19世紀にロシア帝国がソチに侵攻し、50年近くにわたる戦争で多くの先住民が亡くなった過去には触れなかった。先住民のうち、チェルケス人は民族の9割が虐殺されたといい、ロシア内外の子孫たちがロシア政府に対し、虐殺を認めるよう求めたり、五輪開催に抗議する集会を開いたりしている。
カナダ・バンクーバーであった前回大会では、「先住民の参加」を理念の一つに掲げ、先住民の衣装や文化を前面で紹介。先住民の代表者らを招待し、各国の首脳級と同様の待遇でもてなしたのとは対照的だった。一方、ソチ五輪の開会式に、チェルケス人は招待されなかった。
五輪後もソチでは、主要8カ国(G8)首脳会議や自動車レース「F1グランプリ」など国際的なイベントが予定されている。政権がこのまま「少数者の声」に耳を傾けずにいれば、先住民の不満が爆発し、この地域が不安定になる可能性もある。(ソチ=関根和弘)
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