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2014年01月13日 板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」
◆米国の敵国はこれまで、「シリア=イラン=パキスタン=中国=北朝鮮」ラインでつながった諸国であった。
だが、米民主党のオバマ大統領は2011年11月、オーストラリアを訪問した際、アジア・太平洋地域を「最優先事項の一つ」と述べ、「リバランス」(再均衡)政策=米国がそれまでの世界戦略を見直し、軍事・外交上の重心をアジア・太平洋地域に移そうとする政策=に立脚して、米軍の配備再編成について、日本・韓国・オーストラリアなどの同盟国との関係を再強化して軍事力の配備を最適化し、「斬新で、コストが低く、フットプリントの少ないプレゼンス」を目指している。すなわち、中近東のイラク、アフガニスタンから「脱出」して、アジア・太平洋地域に戻ろうとしている。
この背景には、米共和党のブッシュ前大統領が「不朽の自由」を旗印に主導した「アフガニスタン・イラク戦争」で巨額の戦費を費やし、多数将兵を消耗(戦死傷)させたにもかかわらず、事実上敗北しているうえに米連邦政府の財政をピンチに陥れた深刻な事態がある。
◆この政策の下で、オバマ大統領は「シリア=イラン=パキスタン=中国=北朝鮮」ラインのうち、まず「化学兵器(サリン)」の使用が問題となった「シリア」に対して、地中海に配備の空母や駆逐艦から巡航ミサイルを発射し攻撃すると息巻いたものの、実行できなかった。ロシアが仲介して、シリアに「化学兵器(サリン)」の廃棄処分を行わせることになったからであった。だが、現実には、米国は、シリア攻撃に踏み切れるだけの戦費を調達できず、将兵の給料も遅配が続いていて、「士気」が上がらず、戦争どころではなかった。
イランは、米国の味方であるイスラエルとの間で何度も「核戦争」寸前の危機状態に陥っていた。だが、2013年11月24日、イランが核兵器開発への利用が疑われるウラン濃縮活動を制限する見返りに、欧米側が経済制裁の一部を緩和するという「第1段階の措置」について合意し、問題解決に向けて前進し始めている。
パキスタン軍やその情報機関は、アフガニスタンのタリバンを育てた国だが、オバマ大統領は、2014年末までにアフガニスタンから駐留米軍を完全撤退させようと懸命である。そればかりか、インド人を「偽のタリバン」に仕立てて、パキスタンを攻撃させている。偽タリバンに扮したインド人の死体を調べると、「タトゥー(入れ墨)」が入っていたり、「割礼」がされていないことなどで偽タリバンであることがわかるという。イスラム人は「タトゥー」が禁止されており、イスラム人やユダヤ人は宗教上の理由から、必ず「割礼」をしているという。
オバマ大統領は、中国とは、基本的に戦いたくない。広大な国土に人口が14億人(一説には20億人)と言われている中国市場を念頭に北京政府が米中関係を律する新たな原則として主張している「新しい大国関係」に同調する姿勢を示している。
北朝鮮の金正恩第1書記=元帥(背後に女帝)は、北京政府の習近平国家主席、李克強首相ら「チャイナ・セブン」の最高指導部、また、胡錦濤前首相、温家宝前首相から「可愛がられている」ので、親中派と見られていた義理の叔父・張成沢国防副委員長を処刑(猛獣犬に食わせる刑)した後も、北京政府は、依然として「北朝鮮の後ろ盾」である。
このため、オバマ大統領は、北朝鮮にうっかり軍事行動は取れない。「シリア=イラン=パキスタン=中国=北朝鮮」ラインでつながった諸国のなかで、「イラン」との敵対関係を解消しようとしてきた努力を、次には、北朝鮮にも同様に行わなくてはならない立場に立たされている。
それどころか、中国東北部(旧満州)に「ユダヤ人国家=ネオ・マンチュリア建国」「第2の日本・北朝鮮の金正恩第1書記=元帥による朝鮮半島統一・大高句麗建国」(背後にイスラエル、米国、日本、中国、ロシア)を実現させようとしている。これが「オバマ大統領は、韓国を本気で守ろうとしていない」と言われている最大の理由なのだ。
安倍晋三首相も、「第2の日本」として建国された北朝鮮とは、もとより戦争できない。北朝鮮は、中国、ロシアに隣接し、「38度線」を境に韓国との間でいわゆる「緩衝国」となり、日本列島の防波堤の役割を果たしてきた。
◆米国ロバート・マイケル・ゲーツ元国防長官は、1月14日発刊、発売の回想録「デューティ(任務)」になかで、オバマ大統領に対して、「戦争指導のできない大統領」と痛烈に批判している。産経新聞msn産経ニュースが1月8日午後8時58分、「『オバマ氏は司令官を信頼せず』 ゲーツ元国防長官が回顧録で痛烈批判」という見出しをつけて配信している。
けれども、ブッシュ政権とオバマ政権の国防長官を務めた経験から、ブッシュ前大統領とオバマ大統領を比較して、オバマ大統領を酷評しているのであろうが、これは、米国連邦政府が、財政ピンチの「金欠病」に陥り「戦争ができない国」になっているという厳然たる事実を無視した暴論である。
実は、米国防総省(ペンタゴン)・米軍・米CIAは、東アジア地域において、「中国・北朝鮮の危険」を意識的に煽り、宣伝して、国防予算を確保してきた経緯がある。
これを先頭に立って推進してきたのが、リチャード・アーミテージ元国務副長官(ブッシュ政権第1期)らのいわゆる「ジャパン・ハンドラーズ」(日本操縦者)であった。ブッシュ政権誕生直前からこれまでに3回、「ハード・パワー論」をベースにした「アーミテージ・レポート」を作成し、このなかで、危機意識を日本政府にも吹き込んできた。すなわち、「抑止力強化」を唱え、駐留米軍に対する「思いやり予算」の増額を要求、「最新鋭戦闘機、イージス艦など武器の購入」を促し、さらに「防衛庁の省への昇格」「防衛予算10倍増」「日本版NSC設置」「特定秘密保護法制定」「集団的自衛権行使容認」「武器輸出3原則の見直し」「日本国憲法改正(国防軍創設)」などを強く求めてきたのである。これに対応したのが、米国防総省を後ろ盾にしている自民党の石破茂幹事長ら防衛族であった。
だが、オバマ大統領は、「ハード・パワー」から「ソフト・パワー」「スマート・パワー」へと軍事・外交政策を大転換している。この事実に、気づいていない、あるいは気づいていても認めたくないのが、自民党の石破茂幹事長ら防衛族である。安倍晋三首相も、同類なのだ。
一口に「米国」と言っても、一様ではない。ゲーツ元国防長官は、回想録のなかで「ドニロン前大統領補佐官ら側近が取り仕切るオバマ政権の体制を歴代政権のなかでも『最も中央集権的で、安全保障にも口を出す』と指摘。国防総省には『ホワイトハウスに情報を与えすぎるな』と指示していた」(産経新聞msn産経ニュースが1月8日、配信記事)という。ホワイトハウスと国防総省が一枚岩ではなく、対立関係にもあるという意味である。
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