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2014年01月07日
Laura Pitter
米政府が国家安全保障局(NSA)の元契約職員エドワード・スノーデン氏に、ある種の恩赦か司法的減免措置を提案する気運が高まっている。ニューヨーク・タイムズ紙とガーディアン紙が、ともにこうした考えに対する支持を明らかにした。NSAでスノーデン事件対策チームを率いるリック・レジェット氏さえも、近ごろテレビ番組「60ミニッツ」内で検討には前向きであると発言した。
ヒューマン・ライツ・ウォッチは当初より、米国政府はスノーデン氏を訴追しない裁量を行使すべきである、と表明している。米国政府の安全保障情報に関する内部告発者保護の体制には重大な欠陥があるからだ。
現行法には少なくとも二つの面で根本的な欠陥がある。第一に、報復なしに内部ルートで政府の不正を告発するシステムがあまりにも不十分である点。これまでも国家安全保障に関する内部告発者たち多くが直面してきた問題だ。米政府の監視活動を再検討する目的でオバマ大統領自身が選んだ専門家グループの報告でさえ、この問題を認めている。第二は、スパイ法に基づく訴追の際、機密漏えいによって発生した損害よりも告発によって得られた公益の方が大きいと証明されても、これが被告人の防御方法として認められていない点である。
スノーデン氏が不正告発をする内部経路はほとんどなかった。が、たとえそうした内部経路が存在したとしても、大規模な不正行為が政府内で制度化されていたことを鑑みれば、大した違いはなかっただろう。自国民そして世界中から空前の量の情報を秘密裏に収集していた米政府の監視活動は政府公認であったし、不正チェックはほとんどなく、極めて高度な秘密体制の中で実施されていた。米国政府は、市民の監視も議論もないまま、この監視制度を全く問題なしと結論づけていた。米議会監視委員会内でこれに反対する委員でさえ、開示できなかったのである。
こうした状況下では、スノーデン氏にとって、知るにいった広範な不正を告発する唯一の方法は、外部告発だったといえる(まずは内部経路を試みたとスノーデン氏は主張しているが)。司法の場では、公益のための告発は犯罪とならないとされるべきだが、同氏の訴追の根拠となっているスパイ法は公益告発を法的防御と認めていない。
この現状に対し、米政府はその責任を認めるべきだ。
米国政府は、機密情報漏えいを阻止するのが国家にとっての最善の利益と考えている。そしてその考えに基づき、情報漏えいを抑止したいと考えるのは理解できる。が、政府が不正行為を秘密裏に行う一方で、個人がその不正を有効に告発することが不可能な場合、政府はその不正行為に対する責任を取る必要がある。そのひとつが、スノーデン氏に対して寛容な対応を取ることであるべきなのだ。
スノーデン氏の司法手続きに対し妥協的態度を取ることは、危険な前例になりかねないという懸念が一部にある。こうした懸念に対処する方法はただひとつ。安全保障関係の情報に関する内部告発者保護強化のため、大統領がしっかりとした法案を提出すべきなのだ。不正を効果的に通報するシステムができれば、内部経路を越えて外部告発する必要は減るだろう。米政府はまた、スノーデン氏が告発した監視制度などの公にとって重要な関心事項について、透明性を高める措置をしっかり講じるべきだ。最後に、米政府は秘密法関連の犯罪について、公益告発を被告人の法的防御として認めるべきだ。より強力な公的告発経路が設置されるに至った場合であっても、不正を有効に告発するためには外部に告発する必要があると考えた事案については、公益告発主張が認められるべきである。米政府が、スノーデン事件における自らの失敗を認め、新たに進む道を模索するべき時期が来た。
http://www.hrw.org/ja/news/2014/01/07
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