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北朝鮮を・・・何とかして動かさなければダメだ。そのためには非公然活動も止むを得ない」
この言葉を不意に聞かされて、私は顔面蒼白となった。なぜ北朝鮮なのか? どうして彼らをこれから動かさなくてはならないのか? しかもインテリジェンス機関による隠密行動である「非公然活動(covert action)」によって?
なぜ米国のキーパーソンは、北朝鮮に言及したのか
今年(2013年)10月初旬。私は米国の首都ワシントンD.C.にいた。毎年恒例の「世界一周出張」の帰り道、いつものとおり選んだ停泊地がそこだった。ワシントンD.C.はあいにくの雨で、私を迎えてくれた。
私がこの街を訪れたのには訳がある。若い友人であるM君を介して、米国の「対日利権グループ(ジャパン・ハンズ)」を代表する老翁と会うためだ。日 程調整を出発直前から始めたのだが、二転三転を経て「それでは30分だけ」ということで、アポイントメントを取り付けることができた。
だが実際に会ってみると、全くもって話が止まらない。日米関係の今とこれからからに始まり、ありとあらゆる問題について話を聞いて、私はふと腕時計 を見た。会話が始まってから、あっという間に1時間が経っている。「そろそろ次のアポイントメントがありましたよね・・・」と席を立ちかけた私を制するよ うに、老翁は手をこちらに向け、早口で言葉を継いだ。その時言われたのが冒頭の衝撃的なメッセージだったのだ。
12月6日に上梓する最新の小著『ジャパン・ラッシュ――『デフレ縮小化』の中で日本が世界の中心となる』(小社刊)の 「はじめに」で登場するのがこの老翁だ。海の向こう側で戦後、綿々と続いてきた二つの「対日利権グループ」の内、現政権に近いグループのトップを務める人 物である。表面的にはアカデミズムの住人だが、決して絶やさないその笑顔に浮かぶ眼光の鋭さから、本来、権勢の人であることがよくわかる。
突然の発言に面食らっている私のことなどお構いなし、といった調子で、老翁はこうも語った。「インテリジェンス機関による非公然活動・・・そうですね、北朝鮮には例えばサイバー攻撃など仕掛けると有効なのかもしれない」
私は正直唖然とした。北朝鮮をなぜこれから動かさなければならないのか、老翁は全く語らなかった。だがその決然とした語調からは明らかにこのメッセージが単に思い付きなどではなく、米国を動かすエスタブリッシュメントたちの総意であることがうかがわれたのである。
この時、老翁と話した内容についてはその大部分を小著『ジャパン・ラッシュ』の「はじめに」の中で記しておいた。だが、そこで語られた内容のうち、 3つのメッセージだけはあえて“その時”が来るまで公表するのを控えてきた経緯がある。その一つがこの北朝鮮に対する、米系インテリジェンス機関による非 公然活動の開始なのだ。
2013年の北朝鮮軍事パレードの「衝撃」とは
雨の降りしきる肌寒いワシントンD.C.におけるこの会話の後、私はずっとこのメッセージの真意を探り続けてきた。そしてそれから約1か月が経った 11月4日。米国を代表する高等研究機関であるジョンズ・ホプキンス大学米韓研究所(USKI)が運営するサイト「38ノース」が突然、こんな分析記事を掲載したのである。概要はこうだ。
「北朝鮮が2012年に平壌で行った軍事パレードで陳列した“弾道ミサイル”と、今年(2013年)に陳列したそれとの間には明確な違いがあった。 その理由を最もシンプルに説明するならば、要するに可動式の発射台による弾道ミサイルを北朝鮮は新たに開発した可能性が高いということになる」
実にさらりと書いてある分析だが、私はかつて我が国の外務省で北朝鮮班長を務めた者としてこれを見て仰天した。なぜならばこれが事実であるなら、北朝鮮の弾道ミサイル発射はかなり巧妙にその直前まで隠ぺいされることになるからである。
北朝鮮はこれまで弾道ミサイルを地下に創り上げたサイト(ミサイル基地)から発射してきた。だが如何に地下とはいえ、発射よりやや前から液体燃料を ミサイルに注入しなければならず、そうすると白煙が立ち上ることになる。そのため、必ず事前に発射の兆候を掴むことが出来たのである。
だが「可動式の発射台」となると訳が違う。北朝鮮はこれを好きな時に移動させ、そして好きな時に発射することが可能になってくるのである。人工衛星 を使ってウォッチする方は正に神出鬼没の「可動式ミサイル」に翻弄され、当然、発射の兆候をつかむことも難しいのだ。――私はこの分析記事を読んでなぜ米 国がこのタイミングであえてこのことを公言するのかが、気になって仕方がなかった。
この謎が私の頭の中で氷解したのは、11月24日(日本時間)であった。この日、スイス・ジュネーヴで4日間にわたり行われてきたイランの核問題に 関する7か国協議がようやく最初の合意に到達。イランによる核開発が事実上、米国などによって認められることが決まったのである。
「そんなはずはない。イランは2か所の核関連施設に対して国際原子力機関(IAEA)が毎日査察を行うことを認めたではないか。またプルトニウムが 製造されてしまう危険性があったアラク実験用重水炉についても建設中止を認めた。それなのになぜ『イランによる核開発が事実上認められた』などと断言でき るのか」
無論、こう言うのには理由がある。第一に、最も問題視されていたパルチンにある核関連施設が査察の対象とされなかった。第二に、高度な技術と重大な 実験を伴う核兵器は造れなくとも、イランは核関連物質を通常兵器で撒き散らすという意味での「ダーティ爆弾」を造ることは可能なのである。そのため、今回 の合意をもってして決められたことはただ一つ、「イランによる事実上の核保有国化」であったといっても過言ではないのだ。
あらかじめ「握っていた」米国とイラン
こうなってくると「なぜ米国など参加各国はそうした危険なカードをイランに譲り渡してしまったのか」と読者は疑問に思うに違いない。私が想うに、この疑問を解くカギは一つだけある。
それは今回の「合意」成立の直後、米国務省関係者から行われたこんなリークだ。「米国とイランは数年前から交渉を開始しており、特に今年(2013年)2月からは湾岸諸国の一つ、オマーンで極秘接触を始め、今回の合意にまで辿りついた」。
要するに、この「合意」は何も一朝一夕に決まったものではないということなのだ。そうではなくてむしろ数年越しに米国とイランとが考え抜き、「今こ の瞬間だ」と判断したタイミングで世の中に喧伝した代物であった、というわけなのである。それではなぜ「今この瞬間」にこの合意を国際社会に対して喧伝し なければならなかったのか。「木を見て森を見ない」ではなく、「木を見ないで森を見る」ようにしてみると、マーケットとそれを取り巻く国内外情勢を巡る次 のような構図が浮かび上がって来る。
欧米を襲うデフレ・スパイラル
●米国と欧州は、共に強烈なデフレ・スパイラルに入り始めている。大規模な量的緩和を続け、大量のマネーをマーケットに投げ込んできたが、インフレが進まず、むしろデフレへ、デフレへと落ち込んでしまっている
●デフレに突入すると、とりわけ金融マーケットではちょっとやそっとでは動きが生じなくなる。しかしその結果、ヴォラティリティ(変動率)が発生しなくなると金融商品で投資家たちが利益を上げることが出来なくなってしまう
●そのため、マーケットを動かし、ヴォラティリティを発生させるために巨大なリスクの炸裂が必要となってくるのだ。そこで利用されるリスクは人々が想像すらつかないものであり、したがってその炸裂がサプライズになるものである必要がある
●そこでまず画策されてきたのが「イランの事実上の核保有国化」である。米国がこれを率先して認めることにより、中東諸国の間では衝撃が走る。特に「アラブの盟主」であるサウジアラビアはこうした展開を絶対に認められないはずだ
●そうした流れになることを見越して、米国と密かにシナリオをすり合わせたイスラエルが対イラン攻撃にサウジアラビアをおびき出す。サウジアラビアは空軍基地を貸し出すことでイスラエルに協力し、イランが「大国化」する前に叩こうとする
●これに対してイラン(イスラム教シーア派が多数)が猛烈に反撃を行い、サウジアラビア国内にいるシーア派少数派住民に一斉蜂起を呼びかける。その 結果、かえってサウジアラビアの方が大混乱に陥ってしまう。無論、世界最大の産油国であるサウジアラビアが大混乱に陥ることにより、原油価格が急騰。世界 中の株式マーケットで大暴落が発生し、マネーの逆回転がいよいよ始まることになる
「壮大な謀略」に気づいた、サウジアラビア
ところが、である。どうやらこうした「隠されたシナリオ」にサウジアラビアが気づいたようなのである。先ほどの「合意」が生じてから1日以上も経ってからサウジアラビア政府は公式見解を発表。非常に用心深い言い回しを使いながら、この「合意」を支持するとした。
中東における地政学リスクの炸裂は確かに大仕掛けであり、これが発生した場合の効果は金融マーケットにおけるヴォラティリティの演出という意味では絶大だ。だが、何といってもこれに関わる利害関係国が多すぎるところに最大の問題がある。
マーケットを飛び回るヘッジファンドや投資銀行たちが織り成すポジションを見ていると、総じて今年(2013年)の8月後半以降、この「中東開戦リ スク」に賭けてきていたことがよくわかる。「すわ開戦」という山場がこれまで何度も何度も訪れ、その度にマーケットは乱高下してきた。
だが賢明なるアラブの盟主は明らかに「罠」に気づいているのである。米国、イスラエル、そしてイランやフランスなどが大立ち回りを演じても、静かに それを見守っている。その結果、このままでは金融マーケットでヴォラティリティが発生せず、実体経済はデフレ縮小化へと突入してしまうのである。米欧から すればこれは実にまずい、まず過ぎるのだ。
「北朝鮮カード」は、「中東カード」と表裏の関係
そこで今度は、中東とカードの「裏表」の関係にある北朝鮮の出番ということになってくる。―――先月(11月)22日、米国務省は突然、85歳にな る元米軍兵士が10月より北朝鮮当局に拘束されていることを発表した。その直前にサンノゼの地方紙にどういうわけか記事が掲載され、それを追認したのだ。
その直後の同月25日、今度はデービス米北朝鮮問題担当大使が訪日。我が国に対して「北朝鮮の核・ミサイル開発の進展阻止を目指し、日米韓に加えて 中国と連携して圧力を強める方針」を確認させたのである。要するにかつての小泉訪朝(2002年)の時のように、「日本だけが抜け駆けをするのは許さな い」というわけなのである。
北朝鮮が望んでいるのは、米国との二国間協議だ。そのためにこれまでも繰り返し仕掛けをしては米国をおびき出そうと躍起になってきた。しかし対する 米国は全く乗ろうとする気配を見せていない。無論、時折「民間人」を派遣して様子をうかがうが、あくまでもそれは形式的なものであり、北朝鮮が望んでいる ような、米国との「名誉ある大団円」には程遠いレヴェルにとどまってきたのだ。
「ならば日本と手を組むぞ」と脅しをかけるために平壌へ招いたのがアントニオ猪木・参議院議員だったと考えれば、一連の顛末にも納得がいく。無論、羽交い絞めにされた日本が今、米国を裏切ってまでも北朝鮮カードを切ることなどできず、不発に終わった。
事ここに至ると、問題は果たして北朝鮮が米国の“真意”をくみ取り、動き出すか否かなのだ。それはすなわち、「デフレの恐怖」に怯える米国、そして 欧州のために、核弾頭が搭載可能なミサイルという大きな“花火”を打ち上げ、それによって金融マーケットでマネーをものの見事に逆回転させることだ。
日中のいさかいは、いわば「フェイク」
1970年代後半から米国が軍・CIAを挙げて取り組んだ「遠隔透視(remote viewing)」研究プログラムである“スターゲート・プロジェクト”の生き証人の一人にエド・デームズ元陸軍少佐がいる。同元少佐は自らの「遠隔透 視」の成果であるとして、2003年から世界中にこんな警告を発していることで知られている。
「これから5つの重大な出来事が地球を襲う。その2番目が日本で大地震が発生し、チェルノブイリ級の原発事故が発生することだ。そしてその次に起きるのが北朝鮮による核ミサイルの発射である」
1番目として語った「アフリカにおける穀物の伝染病発生」と共に2番目まではその後に発生した事実と完全に合致してきている。そのため、今度は3番目である「北朝鮮による核ミサイル発射」が一体いつ起きるのかに注目が集まりつつある。
中東で仕掛けが発動しなければ、追い込まれるのは北朝鮮なのである。いや、仮に中東でそれが発動したとしても、同時に北朝鮮もまた突き動かされるはずなのだ。まさに「想定外の事態」の連続となることは間違いない。
来年(2014年)1月に行う恒例の年頭講演会(「2014年 年頭記念講演会」)では、そうした中、「それでは我が国は、マーケットは、そして世界はこれかどうなるのか」について、私なりの考えをご説明できればと考えている。
ワシントンD.C.の老翁は私に一言たりとも「中国が問題だ」とは語らなかった。“防空識別圏”を巡る大騒動で、にわかに緊迫し始めた日中間のいさ かいこそが、米欧を中心としたグローバル・マクロの流れからすれば壮大なフェイクであることを噛みしめつつ、私たち日本人は今こそ「本当の未来」に備えな ければならない。
年末に「北朝鮮核ミサイル発射」という衝撃「イラン核問題合意」の裏で、密かに脹らむ危機 東洋経済オンライン
http://toyokeizai.net/articles/-/25283
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