01. 2013年10月31日 13:56:27
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サーカシビリ氏の逮捕はグルジアをロシア勢力圏に追い込む 2013年10月30日(Wed) Financial Times (2013年10月29日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) グルジアは「バラ革命」後の10年間で、破綻国家に近い状態から、しっかり機能し、経済も成長している若い民主主義国家へと変身を遂げた。2008年のロシアとの戦争、バラ革命を主導したミハイル・サーカシビリ氏の政権の権力独占志向、昨年行われた富豪の首相への平和的な権力移行といった出来事があった後でさえ、グルジアの変身に影響は及んでいない。 しかし、ここに来ていくつかのリスクが頭をもたげている。特に重要なのは、大統領を退任するサーカシビリ氏が逮捕される恐れがあることだ。また、同氏の仲間の多くには汚職の容疑がかけられているが、彼らはこれを政治的なものだと話している。 機を見るに敏なビジナ・イワニシビリ首相も、自らの率いる政党連合「グルジアの夢」が議会選挙で勝利してからわずか1年で辞任する予定だが、最近は一見矛盾したメッセージを発している。自分はいかなる犯罪捜査からも距離を置いていると話す一方で、捜査が近々行われそうだと繰り返し述べているのだ。 グルジアのみならず旧ソ連圏すべての民主主義の希望に打撃 「露軍侵攻」の虚偽報道に国民怒り爆発、野党との火種にも グルジア 大統領を退任するミハイル・サーカシビリ氏の運命は?〔AFPBB News〕 この発言は、サーカシビリ氏の運命――逮捕され、裁判にかけられて収監される――は既に決したというシグナルにも聞こえるし、同氏に出国を促す試みのようでもある。友人らの話によれば、サーカシビリ氏は米国訪問を検討しているものの、気が進まない様子だという。 サーカシビリ氏は、在任中に政治的な過ちを犯したことを認めている。だが、もし同氏が逮捕されれば、グルジアのみならず旧ソビエト連邦のすべての国々における民主主義の希望にとっても打撃になるだろう。 まず、民主的な発展の継続に欠かせない欧州連合(EU)との広範囲な政治・通商協定を締結するグルジアの計画は、ほぼ確実にストップするだろう。いくつかの旧ソ連諸国と同様に、グルジア政府も来月の首脳会議でこの協定の仮調印――正式署名の前の最終段階――にこぎ着けたいと考えている。 もしバラ革命の指導者が収監されることになれば、このグルジアの革命に触発されて2004年にウクライナで行われたオレンジ革命の共同リーダー、ユリア・ティモシェンコ氏の収監の再現となるだろう。 欧州の首脳は、ティモシェンコ氏の釈放をウクライナとの協定締結の条件にした後だけに、グルジアに対して異なる対応を取ることは到底できないだろう(もっとも、ビクトル・ヤヌコビッチ氏が2010年に大統領に就任してからのウクライナで見られた民主化の後退の方が、グルジアのそれよりもはるかにひどいが)。 グルジアのイワニシビリ首相は既にロシアとの関係の再構築に乗り出しているが、EUと協定を結べなければ、グルジアはロシアとの関係改善をさらに進める以外に選択肢がほとんどない状態になる可能性がある。場合によっては、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が旧ソ連のベラルーシやカザフスタンと結成した関税同盟に加わることになるかもしれない。 グルジアの首都トビリシを本拠地とする外交問題のベテランアナリスト、アレクサンダー・ロンデリ氏は、ウクライナの民主化後退やエジプトの政変を目の当たりにした米国は、自分たちの民主化推進の努力が失敗する事態はもう避けたいと思っていると指摘し、「我々は、残された最大の希望の星なのだ」と話している。 サーカシビリ大統領の側近の1人も、もし大統領が逮捕されたら、「自由選挙はやってはいけない。監獄に送られるかもしれないぞ」というメッセージが旧ソ連諸国の指導者たちに伝わることになると述べている。 とはいえ、退任するサーカシビリ大統領に迫る脅威を除けば、グルジアの夢が政権を担ったこの1年間にはプラスの面もいくつかあった。 まず、政治やメディアはより多元的になり、議会でも議論が行われるようになった。サーカシビリ氏の率いる「統一国民運動」は、責任ある野党というしかるべき位置についている。 汚職の捜査のために投資プロジェクトがストップしたことを背景に、経済成長率は2012年の6.1%から2013年上半期の1.9%に低下している。しかし、グルジアでビジネスに携わる人々によれば、経済政策の立案状況は当初の低い期待を上回る出来であり、経済成長率も上向く公算が大きいという。 グルジアの針路は大富豪のイワニシビリ氏の手中に? 一部には、グルジアの司法システムは以前より独立性が高まっているとの指摘もある。ただ、サーカシビリ大統領の支持者らは、裁判所の中にはグルジアの夢に忠実なところがあり、政府はサーカシビリ派の人々を被告とする事件をそうした裁判所に移していると述べている。 グルジア議会選、サーカシビリ大統領が敗北宣言 グルジア一の富豪のビジナ・イワニシビリ氏〔AFPBB News〕 イワニシビリ氏の盟友で、控えめな物腰のギオルギ・マルグベラシビリ氏が勝利を収めた日曜日の大統領選挙は、グルジア史上、最も平穏で最も自由な選挙だった。 マイナス面に目を向けると、グルジアの夢はその前の統一国民運動と同様に、政界を支配する決意のように見える。また、イワニシビリ氏が今後も舞台裏で糸を引くとの懸念もある。マルグベラシビリ氏も次期首相も、億万長者のイワニシビリ氏のおかげでその地位を得ているからだ。 イワニシビリ氏は、グルジアは欧州流の民主主義に向かっていると主張するが、それには20年の歳月を要するかもしれない。自ら築き上げた権力構造がその道を進む障害になるか、あるいは国をその道に沿って一段と前進させることになるかは、グルジア一の富豪の判断にかかっているのかもしれない。 By Neil Buckley in Tbilisi
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